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『ゴールデンカムイ』25巻レビュー

 海賊房太郎が表紙です。ネタバレ込みですので、以下ご注意ください。

長州枠の海賊房太郎と上エ地

 山口訛りの親族ということで、彼は長州枠だとは思いました。美男で粋なところもそんな雰囲気はある。ただ、薩摩枠鯉登と比較するとあんまり存在感がない。北海道開拓史の反映でもあるのかな。
 上エ地も長州枠が、薩長土肥の薩摩以外のどれかかと思われます。冷静に考えると北海道開拓史はグロテスクかつ滑稽ではある。戦争で戦った同士が、勝っった側が支配者、負けた側が屯田兵になっているわけですから。
 しかもある程度開拓が済んだところで、開拓使事件だの、土地の買い叩きだの、成果をかっさらうような展開が待っています。

北海道大河を作るべし

 グロいだのなんだの言われる本作ですが、それは北海道開拓史ならばそういうものだとは思う。ついでに言えば、屯田兵題材の大河ドラマができない時点で、この国は何かがおかしい。
「えーでも、そんなの見たくないっしょ! 三英傑! 幕末!」
 三英傑は中部より、幕末は薩長土(肥前の悲哀……)集中。たまに会津。今年は水戸か。主に本州でウダウダして、日本史ファンから平然と悪意なしに「アイヌの大河なんて数字取れない」と出てくるあたりに問題があると思うんですよね。要するに差別です。
 朝ドラの『なつぞら』放映時に反応を見ていて、屯田兵の苦難の歴史にあまりにも無関心な反応を見てしまったからにはどうしたらよいものやら。

 とりあえず、もしも、大河『ゴールデンカムイ』があるのであれば。キロランケは宇梶剛志さん、鯉登には染谷将太さん、土方には草刈正雄さん、鶴見には長谷川博己さんでどうでしょう?

SDGsにはアイヌの知恵が有効だ

 クライマックスの25巻は、アシリパが語るアイヌと動植物のこと。モモンガがアッカムイとして信奉されているとか。
 本作のうまさ。それはこういうアイヌの伝承を穏やかに優しく伝えたあとで、和人の木材伐採と対比させるところ。和人の知恵と、エドウィン・ダンのようなお雇外国人の知恵が融合し、北海道は開拓されてゆきます。
 和人にせよ、お雇い外国人にせよ。狩猟採取よりも農耕牧畜を選んだ人類とは、自然破壊をしすぎるという宿命的な欠点があります。

 マンモスやダイアウルフが絶滅してしまった。それはなぜか? 気候変動だの疫病だの推測されていたけれども、近年はヒトが効率的に殺しすぎた結果ではないかとされつつあります。
 そういう破滅的な破壊、絶滅に追いやるような知恵を見直す必要がある。アイヌのような人々は持っている。とりすぎず、社会を壊さない歴史がある。
 SDGsを掲げている今、彼らの知恵を振り返り、学ぶべきだとされつつあります。アイヌのような民族は滅びゆくものでかわいそうだから守るという考え方は古い。知恵があるからその教えをきき、共存共栄していくこと。二十一世紀はそういう時代になりました。
 でも、アシリパと杉元は二十世紀初頭をまだ生きていると。

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『ゴールデンカムイ』アニメ、本誌、単行本感想をまとめました。無料分が長いので投げ銭感覚でどうぞ。武将ジャパンに掲載していました。歴史ネタでより楽しめることをめざします。

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