『おちょやん』39 カネが尽き、気力も尽きる芸能界

　試験不合格を女給仲間に伝える千代。結局金やな……そう一瞬しんみりとしたあとで、宮元が「ビール月間」の告知をします。今度こそ一等をめざせ！　そうハッパをかけてきてくる。
　一等賞は金一封と知り、横で聞いていたテルヲもやる気を出しています。一等賞は洋子が五連覇中！　千代は最高順位四等。それって要するに、ドベ争いということでは。

ガラの悪い連中がカフェーに来た

　そんなカフェーの前に、ガラの悪い連中が大勢来ているそうです。なんやなんや！　それは鶴亀撮影所の人々でした。なんか知らんけど、割引券を大量にもらったから来たらしい。テルヲが盗み、片金に渡したやつやな。どういうものか言えずにとりあえず配ったと。割とゲスいな……。
　そんな中、小暮も来ています。うーん、医者をしている父が帰ってこいと言う理由もわかります。不良になっちゃいそうではある。女給たちがビール瓶を片手に千代ちゃんにはもったいないなんて言い出します。古風な美男ちゅうことや。メイクもあるのでしょうけど、若葉竜也さんを見つけてきたことはえらいと思う。ええやん。古風な感じがでとる。女給組もそうですね。

　そんなセクシー女給から引き離し（あと細かいところやけど、このビール瓶作っとる小道具さんはがんばっとるで！）、千代は小暮の前にちんまりとしています。テルヲが呼んでもいないのに来ていて飲もうとする。働かざるもの飲むべからず！　千代はキッパリと言います。そしてテルヲは「働いテルヲ！」というしょうもねえことを言う。こんなんでええとこもあるとか主張すんなよ！　テルヲには安心感あるわ。思い切りカスと言い切ってもええ。『スカーレット』のジョーですらええとこはあったのに、なんなんこいつ。

壁にぶつかる撮影所の面々

　撮影所の男たちは、滝野川恵に文句タラタラですわ。わがままなんやて。ここでしょうもねえバトル勃発や。

【しゃあない金がなければ撮影できない派】
VS
【金がなくとも撮影するべし派】

　アホやん。
　そう突っ込みたくなりますが、宮元は平田に止めないのか聞かれても見守っています。それだけ映画が好きなのだろうって。まあ、当時の人は血の気が現代人よりはるかに多いから。

　小暮は脚本をかいて、千代を主演にして、高城百合子のような大女優にすると叫びます。働きたい！　そう言い、さらには「働いテルヲ！」で大爆笑をしているのです。あかん、酔っ払ってしもた。
　でも、人間って酔っ払うと本音が出るわけですから。かなり焦燥しているとはわかるのです。