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コロナ禍の黄色いバスの運転手・オンラインインタビュー<真夏の置き去り事故>from USA

NY州でスクールバスの運転手をされているボリス・クルシンさんのインタビューNo.2です。前回のインタビューはこちらボリスさんのプロフィールはこちら

――アメリカのバス会社の組織体制についていろいろと伺いたいところなのですが、その前に少しシリアスなトピックを。先日幼稚園のスクールバスの中に子供が置き去りになり、残念ながら亡くなってしまうという痛ましい事故が起きました。真夏の炎天下の中では毎年のようにこのような事故が発生しています。アメリカでもこういった事故は起きていますか?

ボリスさん:はい、残念ながらあります。

――そうですか、日本だけの問題ではないのですね。御社またはアメリカ全体として、何か対策はされていますか?

ボリスさん:はい、バスドライバーは必ず毎回送迎が終わった後、車内の後部座席まで歩いて寝てしまっている子供がいないかなど確認を行う必要があります。全体的にスクールバスのシステムに関してアメリカはとても先進的で、新しい要項や技術がとても頻繁に通知されてきます。

――たとえば?

ボリスさん:この確認作業を確実なものとするために、アラーム機器が導入されています。バスの一番後ろの壁にボタンが取り付けられていて、エンジンを止めてから20秒以内にそのボタンを手で押して止めないと、警告音が鳴るようになっています。

――20秒以内とは、本当にすぐ止めにいかないといけないですね。

ボリスさん:毎度のことなので、忘れがちになります。送迎後でなくとも、ガソリンを入れるためにエンジンを止めても音が鳴ってしまうので、バスの駐車場ではしょっちゅうビービー音が鳴ってますよ。クラクションと同じ音なので、けっこう大きな音量です。

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――はは、それはちょっと大変な状況ですね。そういえば、車内にはカメラを設置して中の様子もモニターしているのですよね?

ボリスさん:はい、基本3台カメラが付いてます。運転席から前の車道を映すもの、社内の前から後ろ全体を映すもの、それから後部から前方を映すものです。

――ライブ中継で監視されているのですか?

ボリスさん:いえ、生中継ではないです。1週間分記録を撮っておいて、何かあったらそのビデオを後から確認するという方法です。

――1週間分しか残らないということですか?

ボリスさん:各バスで1週間分レコードして、そのデータをオフィス内の機器にバックアップとして保存します。僕の知っている限り、バックアップデータをあえて消している様子はありません。

――では何かしらの問題が起きた時には、数カ月でも数年でもさかのぼって確認できるということですね。

ボリスさん:そうです。あと、何か起こらずとも、時々ランダムにビデオのチェックはしているみたいです。

――へぇ。では、車内の様子や雰囲気も、会社は把握しているということですね。

ボリスさん:バスの運転手が毎回自分で車内を歩いて確認する、これは地味な作業ですがとても大切です。こういう風にルールを決めて機械を導入しても、事故はゼロにはならないのが現実です。

――1件でも悲しい事故が起きることを防ぐために、日々地道な作業が繰り返されているのですね。ここまでありがとうございました。アメリカのスクールバス事情について、まだまだインタビューは続きます!