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車椅子におけるフィッティングとシーティング

 みなさんこんにちは。

 
 今回は、車椅子におけるフィッティングとシーティングについてお話ししたいと思います。



 はじめに、フィッティングと聞くと、シートが体に合い、座位がうまく保てる状態を思い浮かべます。それは間違いではありませんが、それはシーティング姿勢で、座位姿勢でのポジショニングのことです。

 

 今回はもう少し広い意味でフィッティングという言葉を定義します。 例えば、体にはとても合っているけど、とても使いづらい車椅子をフィッティングできているとはとらえません。

 また、本人が気に入らない、嫌がって乗りたくない車椅子もフィッティングできているとは言えません。

 そこで、ここでのフィッティングはその車椅子を利用する人を中心として、用具を身体的、環境的、目的的、社会的に最適化するプロセスと定義します。

 

 車椅子を車と椅子2つの機能に分けると、車は移動を支援する機能、 椅子は座位を支援する機能です。
 それぞれの機能について、誰が、どこで、何のために使うものか、という3つの視点でフィッティングを見ていきます。そして、この誰が、どこで、何のためにというみかたは、福祉用具だけでなくあらゆる工業製品やサービスに置き換えて考えることができます。



 フィッティングという言葉について考えてみましょう。まず「誰が」、とは利用者像についてです。その車椅子を使用するのが、青年なのか、高齢者なのか、男性なのか、女性なのかで車椅子のサイズが異なります。

 
 次に「どこで」、は使用場面を考えます。その車椅子を屋内で使うのか、屋外で使うのかなど、使用する場所は車椅子の選定を行う上で重要な要素です。


 次に「何のために」、は目的です。その車椅子を、スポーツに使うのか、生活の中の移動手段として使うのかなど、目的によって使用する車椅子というものが随分違ってきます。

 またプラスアルファとして、車椅子を手に入れるには費用が必要です。対象者が車椅子を手に入れるための制度は何があるかも考えていけると良いでしょう。



 シーティングという言葉について、日本車椅子シーティング協会は、「障害者や高齢者の社会活動を実現するために、姿勢を最適化するアプローチ」、  日本シーティング・コンサルタント協会は、「発達障害者や障害者、高齢者が自立生活を築くための支援と二次障害の予防、介護者の負担を軽減する技術」と定義しています。

 各団体でも微妙に違うため、明確なものがないのが現状です。各施設にあうものを使用していくことが良いでしょう。


 また2017年、厚生労働省はリハビリテーションスタッフが患者の身体機能を評価し、適切な姿勢で座位を保つことや、褥瘡予防を行うシーティングを行うことで、疾患別リハビリテーション料を算定できることを明らかにしました。


 疾患別リハビリテーション料の算定対象になるのは、患者が車椅子で適切な姿勢を保持できず、食事摂取などの日常生活動作能力が低下するようなケースです。

 適切な姿勢を保てるようにしたり、褥瘡を予防したりするために、リハビリスタッフが患者の体を評価した上で、例えば必要な座面クッションを選んだ場合に診療報酬を算定できるという解釈になっています。



 診療報酬というお金が絡む以上、シーティング作業はこれまで以上に客観的な効果の証明が求められるのは当然です。

 リハビリスタッフが中心となり、積極的にシーティングを実施していくことで、患者の身体機能の向上、二次的障害の予防、褥瘡の改善、食事が可能となることで栄養状態も改善するなど、様々な効果が期待できると考えます。

 しかし、単なる離床目的で車椅子座位を取らせるような場合は、これに該当しないとのことなので注意が必要です。


しっかりと、評価をした上で、必要なシーティングを行っていたいですね!



最後まで読んでいただきありがとうございました!!

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