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ふたりのおうち

はるまきごはんの最新アルバムがとても良い。

元々VOCALOID曲のみを発信してる人だったけど、今回のアルバムは全曲はるまきごはん本人歌唱のセルフカバー版が収録されている。これがめちゃくちゃ好き。かすれ気味な優しい声は、友達が好きだった曲を口ずさんでいるような思いやりを感じる。誰に聞かせるわけでもなさそうな素直さが綺麗。

彼の曲はどれもきらきらと明るくて、いつも少しさみしい。とても安心する。独りに嫌味なく寄り添うのが上手。心のパーソナルスペースに無理やり侵入するのではなく、隣の部屋から優しい子守唄が聞こえてくるような距離感がちょうどいい。

明るい寂しさは、今みたいな夏の終わりによく似ている。季節柄に合った最高の音楽を受け取れることができて嬉しい。中学生の夏に友達と意味もなく残った放課後の教室の温度をなんとなく思い出した。

大仰な物語なんかじゃなくていい。些細だけど優しい時間を好きな人と過ごした金平糖みたいな思い出を慈しんで生きていていい。放っておいても人生は前に進んでしまうので、時間に追われるのに疲れたときにふらっと帰れる心の家は多ければ多いほどいい。

とりあえず、最初のトラックを聴いてみてほしい。はるまきごはんが思い出のドアを開けて待ってくれている。きっと新しい家になる。

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