透明なナイフ

全然傷つく準備をしてない時に鋭角から言葉がぶっ刺さることがある。今だ。

ある文章の賞に寄せられたコメントだった。

何よりの決め手は、「この人の文章をまた読みたい」と思ったことでした。もしかしたら突然ふっと書くことをやめてしまうかもしれない。続けるも止めるも当人の自由なのですが、それを食い止めるのは誰かが対価を支払って「求めること」だと思います。この賞が彼女が「書き続けてみようかな」と思う〝きっかけ〟になればいい。そのような想いも込めました。だってこんなにも素敵な才能があるのだから。

読んだ瞬間、雷よりずっと早く涙が出た。こんなに自分の作るものが求められたなら。もう人生何も怖いことない。ひたすらに羨ましかった。これはもうゴールじゃん。

作るのってめちゃくちゃ孤独。少なくとも私はそう。

今よりもっといろいろ病んでいた時に、星の王子さまのメッセージアプリで「自分の作品がどうしても好きになれない」と会ったこともない人に零していた。誰に相談するべきかも見失っていたからとりあえず声に出せるだけ楽だった。

話を聞いてくれたのは作曲家の人だった。「作品は自分を映す鏡だから、もしかしたら君は自分のことがあまり好きになれていないのかな。」と言われた。ど真ん中100点だ。自分のことが好きじゃないから、せめて自分の作るもので美しくありたい。多分そのはずだったけど、自分のことは自分で信じないと作品を信じられなくなるのは考えてみれば当然だった。

作曲家の彼は自分の作品をつまらないと思ったことがないと言っていた。つまらなければ形にできないし、面白くするために頑張った分を自分でちゃんと認めるから納得したものしか形にならないらしい。健康的なものづくりだと思った。

どうしたら自分の作品、というか自分を好きになれるか。全然答えは見つからない。でも自分の作るものを本気で肯定してくれる他人が現れたら。その時きっと変われるのかもしれない。自分の人生の評価を他人に委ねるべきじゃない。それでもどうしても孤独。頑張ってるけど毎日不安で怖い。

孤独な宇宙遊泳。サン=テグジュペリの飛行機は行方不明。目的地を失っているのに頭上に見える星ばかりが綺麗。コックピットで泣いても誰にもわからない。

私はこの寂しい戦いを、周りの誰にも言えていない。夜は長い。

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