人差し指で指し示すのは

趣味は読書と言えるほど本を読むわけではないし、本が好きと言えるほど本を読んできたわけでもない。
それでも図書館は大好きだし、本屋にはよく足を運ぶ。

主にこれは図書館にいるときに感じることだけれど、本のある空間にいる人たちはただひたすらに本の世界に入り込んでいる。静かに、自分の世界へ情熱を燃やしている。そう思っている。
図書館や本屋の書架の前に立ち、ただひたすらに興味の惹かれる本を探している自分も、傍から見ればおそらくそう見えるのだと思う。
書架の前に立っているとき、私は自分の興味に無心で耳を傾けている。その時は、真剣に自分の世界に入り込んでいるのだ。

とはいえ、冒頭でも触れたように私は読書が趣味と言えるほど本を読むわけではないし、本が好きというほど本を読んできたわけではない。
多読というより、気に入った本をずっと読み返すことが好きだ。特定の作家を好きだと感じることもない。

中学生の頃は『図書館戦争』(有川浩)にハマって、図書館で借りた本を夜中まで読みふけり、お気に入りのシーンをノートに書き写していた。
柴崎が好きで、別冊のⅡはとくに何度も借りた。
それと同じく、『少女は卒業しない』(朝井リョウ)も好きで、学校の図書室でずっと読んでいた。国語で本を紹介する授業があり、私がクラスメイトに紹介をして見事にA評価をもらったのもこの本だった。
なぜかわからないけれどハードカバーの本をとても崇拝していて、ハードカバーは芸術、と宣うような中学生だった。

高校に入学してから部活に熱を燃やすようになったことで読書量は減り、大学に入ってからは推しアイドルの出演舞台の原作を読む程度になった。
それでもV6の三宅くんが出演していたドラマの原作本である『ネバーランド』(恩田陸)を平日夕方、人が少ない図書館の端っこで読んだときの、悪いことをしているようなドキドキ感は今でも覚えている。秘密基地で聞いてはいけない話を聞いているような感覚に陥り、自分も松籟館に残った生徒になったような気分だった。最高に楽しかった。
KinKi Kidsが主演をつとめたドラマ『人間・失格』(野島伸司)の文庫本もお気に入りで割と頻繁に読み返している。人間・失格に関しては本がというより作品自体がとても好きなので読み返しているとも言えるけれど…。

ハードカバーが芸術だという思考より、収納や持ち運びやすさを重視するようになり、文庫本を多く買うようになった。

読書量は減っているが、本屋に行く回数は増えた。
暇があったり、時間ができたら本屋に行くことも多い。最近はジャニオタなので本屋で購入する本はもっぱら雑誌、次点で文房具といった感じだけれど。
なにかを買うわけではないのだけれど、やはりいるだけで楽しいと感じるし、時間つぶしにはもってこいの場所だと思っている。

最近本屋でよく見かける中で、一番読みたい本は『死にがいを求めて生きているの(朝井リョウ)』。
『少女は卒業しない』が大好きなこともあり、朝井リョウの小説は割と読むのだけれど、誰もが心に持っているけれど表に出すことのない感情を引きずり出すのが上手いなと思って読んでいる。
読んだあとは大体 精神的に落ち込むことが多い。だけど、普段蓋をして隠している感情を引きずり出されることによってスッキリすることもあるので、つい読んでしまう。
まだ発売されたばかりで、ハードカバーでしか出版されていない。
久しぶりにハードカバーで買おうかな、と思える本に出会えて、少しだけドキドキしている。
読書量は減ったけれど、未だに本は好きだ。


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