情景描写練習

木陰の線を男が一人出てくる。

おもむろにしゃがみ込み、鳩に手をさしのばした。

鳩は横を向く。目は合わないものだと心得たように男は立ち上がった。

横断歩道を待つ男に戻る。

日が照って白線が黄ばんで見える。もう少し暑くなれば陽炎が出てくる。

男はワイシャツのボタンをびっちりと閉め、実用的な青いリュックを上の方で背負っている。

薄い色のジーパンの足を片方伸ばし伸ばしして、長い信号を待っている。

凪いでいる。

ふいに横断歩道を渡ったところに男と全く同じ背格好の男が立った。

二人はすれ違った時になにかを交信したりするだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?