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〈フロントマンの涙〉

11月25日、26日とCNBLUEのライブ(神戸)に行ってきた。
6年ぶりのアルバムを引っさげてのツアー。

今回のツアーはこの神戸でファイナルだ。
リーダーでありボーカル・ギター・鍵盤もやっちゃうマルチなヨンファ、
サブボーカル兼ベースのジョンシン、ドラムのミンヒョク。
みんな30代になり、演奏と歌にも説得力と10年以上のキャリアを見せ、
重みのあるものになったと思う。

1曲目の〈Synchronize〉からアクセル全開!!!
彼らのロックを見せつけてきた。
毎回、バンドである醍醐味や演奏して歌うことが好きだと言うことを
思いっきり表現してくる彼らは本当に楽しそうであり、今この瞬間がある
ことに感謝しているように歌い、演奏していた。
ロックありバラードありヨンファ曰くエモい(笑)曲ありとバライティに
とんだ楽曲たちが生き生きと会場に響き渡り、会場中が彼らの音楽に
圧倒され、高揚感をもたらしている感じがした。
もちろん私も「やっぱり彼らの音楽はいいなぁ」としみじみしながら全力で彼らと音を楽しんだ。

日本でインディーズデビュー14年、メジャーデビュー12年、地道に彼らは
日韓はもとより他の国でも活動してきた。
その中でもここ数年は苦しみと悲しみがたくさんあったと思う。
兵役に行くという選択をそれぞれしてバンドを休止したこと、
サブボーカル兼メインギターのメンバーが個人的なゴタゴタで脱退して
しまったこと、除隊後にバンドを続けていくか悩んだこと、
コロナ渦で思うようにライブができなかったこと、
…キンプリもそうだが、今までいた人がいなくなってしまったグループを
続けていくことって難しい。

サブボーカル兼ギターを失い、曲もふたりで書いていたものが
ヨンファひとりになり、3人でバンドを続けることを決めたものの、
維持すること、立て直すことの難しさを感じたはずだ。
サブボーカルはベースのジョンシンが引き継いだ。
ジョンシンは今までコーラスはやっていたものの、圧倒的な歌唱力と表現力のあるヨンファに対して色艶のある声だった元メンバーと同じ並びで歌う
ことへのプレッシャーは半端ないと思ったし、ファンが納得するものを
魅せることへの恐怖心もあっただろう。
いっぱい挫折しながらも練習したであろう成果は本当に素晴らしく、
ジョンシンの透き通った声が会場中に響いて心地よく、私は嬉しかった。
また、ドラムのミンヒョクは以前よりももっと力強くて存在感のある演奏になった気がする。
曲のラスト、3人でセッションする際は誰よりも前へ音を出し、バンドで
あることを表現するドラムさばきがかっこよくて涙が出た。
フロントマンでありリーダーのヨンファは元々責任感が強く、音楽を心から愛し、彼の持つカリスマ性と才能を惜しげもなく表に出せる、とても素直でかわいい人だと私は思っていたが、ここ数年、途轍もない責任感を感じて
いたんだろうと思う。
元々、私は辞めちゃった元メンバーのファンだったから抜けた時はかなり
辛かったし、悔しかったし、何よりもメンバーである自覚のなさと言葉の
足りなさにガッカリして、彼らの音楽はもう聴けないとさえ思ったことも
あったが、3人が続ける判断をしたことは嬉しかったし、3人でやる音楽が
どうなるのかが単純に知りたかった。
恐る恐る3人で出した曲を聴いて心底ホッとしたし、続ける決断をしてくれて改めて感謝した。

サポートメンバーさんたちの力も借り、どの曲も楽しく、彼ららしい演奏と歌で会場全体が沸いていた。
客層もまさに老若男女だった。もちろん男性も多い。
ヨンファがテンポのよい曲ではステージを縦横無尽に走り回り、
ジョンシンがベースを弾きながらゆっくり会場を見渡し、ミンヒョクが体をめいっぱい使ってのドラムで盛り上げる。
この光景がやはり好きだ。
MCもいつも流暢な日本語でペラペラスラスラしゃべってくれて楽しい。
今回も食リポタイムは盛り上がった。
そんな時、ふと思った。ヨンファは本当に今年は忙しいと思う。
韓国では6年ぶりのコンサートをやり、ソロもやって、日韓バンドオーディションに参加して、優勝したHi-Fi Un!cornのプロデュースをして、
その間に曲を作り、アルバム作ってこのツアー。
来年早々には日本でのソロコンツアーも控えている。
こんなにも日々忙しいから体調を心配するがそんなことを感じさせない
くらい楽しんでいた。

今、K-POPのグループが当たり前のようにコンサートやライブをしたことが日本のメディアに載る。
しかし、10年以上やっている彼らが武道館を埋め尽くしてもあまり話題に
ならない。
バンドというジャンルは関心を集めていないのか?
今は踊って歌うアイドルグループが主流なんだろうなぁ…
とても残念に思うし、昨日の神戸もほぼ満員、武道館が埋まる彼らに注目
しないのはもったいないとさえ思うのはファンだからだろうか?
切ないものである。

オーラスの2日目。
あの元気でいつも楽しそうにライブをするヨンファが泣いた。
「辛かった…」
その言葉を聞いて会場中が涙した。
いつも元気でポジティブな彼がそんな本音を漏らすのは10年以上彼らを
聴きに行っていた私も初めてだった。
去ってしまったサブボーカル兼ギターは彼のよき理解者であり相棒だった。
月と太陽という関係でとても魅力的なふたりだった。
大事な人ともう一緒にバンドができないもどかしさと悔しさがあった
だろう。
そして、ミンヒョクとジョンシンは弟的な存在、事務所でもヨンファは上にいる位置だ。
いつも誰かを引っ張っていく存在、お手本とならないといけない存在。
周囲の期待を一身にずっと背負ってきたはずだ。
ひたむきに音楽に向き合って曲を作って、国に帰れば俳優としても求められ、それにしっかり応える。
真面目にやってきたのに周りの悪影響で思うように動けないことや成果が
でないことがもどかしく、続けることへの辛さや大変さは容易ではなかったという涙はとても残酷な現実であるけれど、それでも彼らは音楽を続けて
いこうと前を向いて頑張っている。
「大丈夫!!彼らの音楽は絶対に消えないし、消させない!!」
ヨンファの本音に触れて思った。
そんなひたむきな彼らとこれからも一緒に歩もうと思った。
彼らには目標がある。
それが叶うようにこれからも応援したいな。

そうそう、2日目のオープニングアクトにHi-Fi Un!cornが登場。
彼らも先輩たちのステージのオープニングアクトやフリーライブ、
1st Liveをやってどんどん表現力や演奏がいい感じになってて、
盛り上げ方もBAND KINGDOMより良くなってた~!!
次は毎年恒例の事務所祭り=KINGDOMだ。
ダンスグループや俳優さんはわからないけど、バンド4組はしっかりと
盛り上げたいと思う。
初のCDがいよいよ29日発売。楽しみだなぁ~♪

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