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本当になかった変な話

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2021年8月の記事一覧

良い人

倒れていた男を助けた婦人。

「あ、気がつかれましたか。倒れていたのでここで横になって貰っていたのですよ。貴方は丸2日眠り続けていました」
「う…そうでしたか。実は旅をしていたのですが途中で食料が尽きてしまい、なんとかこの町にたどり着いて…そこから覚えていません。助けて頂いてありがとうございます」
「いえいえ。さあ、栄養を採らないと。でもいきなり沢山は食べられないと思ってスープをご用意しています」

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弱肉強食

個人経営の雑貨屋のレジ、店主の若い女と客の中年男性

「気に食わん。なんで応対しに出てくるのにこんなに時間がかかったのだ」
「申し訳ございません」
「いや、理由を聞いているのだ」
「お客様がいらっしゃったことに気づきませんで…」
「それでも接客業か!今日はサービスしてくれるんだろうな」
「商品の割引という意味ですか」
「そうだな」
「何故?」
「『なぜ』?だから、応対しに出てくるのが遅かったから…

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最前線の緊張

2人。

「見てや。肘のとこ。蚊に噛まれてさ、めっちゃ腫れてんねんけど」
「うわほんまや。肘2個あるみたいなってるやん」
「肘は2個あんねんけどな」
「そうか、お前アホやもんな」
「うん」
「…いやほな言うほど腫れてないやないか!」
「しっ、声でかい。俺ら偵察部隊やぞ」
「すまん。でも見てみ。とっくに敵に見つかってもうてる」
「ええー!」

ライトに照らされる2人。敵の斥候1人。

敵「さっきから

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プロポーズ

「結婚を前提にUNOやろう」
「ええよ(ポッ)」
「ほなドロー4」
「なんやこいつ」

水くさい

最前線。飛び交う弾丸。

「うっ!」
「どうした、あっ、撃たれたか!」
「は、はい…すいません、自分はもうダメです」
「いやお前、もう死にかけてんのに敬語やめろや。もうええやろ」
「は…自分が死んだら故郷(くに)の両親に伝えてください。義弘は立派に戦っ…」
「お前義弘いうんか。付き合い長いのに知らんかったなぁ。てかマジ敬語やめろって」
「あと女房に…て…下さい…」
「最期まで敬語やん、なんやねんこ

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THE MASTER MIND

冬。学校からの帰り道。
「マスターマインド!…今日寒くない?」
「え、うん。寒いな」
「ちょ、寒すぎる。コンビニ寄ろう」
「ええで」
「肉まん買お」
「俺飲みもん取ってくる」
「うん」
「(飲み物コーナーで1人うろつきながら)…マスター…マインド…?」

「おい、何してんねん、飲みもん決まった?」
「あ、ああ。ちょっと待って」
「俺もう買ったから外出とくで」
「わかった(マスターマインド……とは?

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