最前線の緊張

2人。

「見てや。肘のとこ。蚊に噛まれてさ、めっちゃ腫れてんねんけど」
「うわほんまや。肘2個あるみたいなってるやん」
「肘は2個あんねんけどな」
「そうか、お前アホやもんな」
「うん」
「…いやほな言うほど腫れてないやないか!」
「しっ、声でかい。俺ら偵察部隊やぞ」
「すまん。でも見てみ。とっくに敵に見つかってもうてる」
「ええー!」

ライトに照らされる2人。敵の斥候1人。

敵「さっきから聞いてたらお前もアホやないか。アホに肘が2個あるなら、お前にも2個あるやろ」
「え、あるけど?」
敵「あんのかい。あるんやったらこいつに『お前アホやもんな』言うたらあかんやろ。お前はアホではない感じ出てまうやろ。せめて言うなら、お前『も』アホやもんな、やろ」

ターン(銃声)!

「なんやこいつ、敵を前にベラベラと」
「あ、見てみ」
「いやこいつも肘2個あんのかい」

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