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毎日の測定、明日への道程

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架空の日記
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2020年8月の記事一覧

8/1(土)晴

夕方原田が来た。
散歩しようと言うので川沿いを一時間ほど歩いた。
原田は殆ど喋らなかった。微笑んでいた、ように見えた。
何も言われないことが何かを示唆しているかのような、無言で幸せを噛み締めているだけの男を横目で眺めているような(何せ彼は私と一緒に川縁を歩くという栄誉に与っているのだ)、変な時間だった。落ち着かなかった。
もっと、もっとなんというか、喋って欲しい。こう書くとアホみたいだな。

彼の

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8/2(日)晴

暑い。
部屋にいる間ずっとクーラーかけっぱなし。どう考えても体に悪いが体に良くて暑いより体に悪くて涼しい方が良い。

岸先生から確認の電話。
お互い当初の予定よりこの仕事に本気になっていることが面白く、話していると笑いが絶えない。これが趣味を持つっていうことなんだろうね、と言われハッとする。
高校の時にこの道に入ってから趣味らしい趣味を持っていなかったことは自覚しているが、その前は?覚えてない。小

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8/3(月)雨

そう言えば梅雨って終わったのだろうか。雨降りすぎだろ。と、思って端末検索をかけようとするときに、被統制階級は情報を欲したりしないのだろうかと思う。しないのだろう、だから被統制階級なのだ。だが身近にいるとそうも思えないし、同じ人間だとすら思える(あとで見返したときに冗談に思えるだろうか)。

三級だと思っていた。未満だとは。未満。「彼らは考えない」。だからコロナウイルスが本当にあると思っている。「だ

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8/4(火)曇

雨が降ったあとでも暑い。
部屋でクーラーをかけてひたすら来るべき時に向けて作業。ほぼ工作。最大効率で要所に設置することを考えても電池が足りないか。
作業後は部屋の掃除。普段のズボラが災いし時間がかかる。途中で面倒臭くてやめそうになるがこの間原田にPCを見られたことを思いだしがんばる。PCは見たことない人間には何だか分からないらしい。まさか「照明の一部」だという自分でもどうかと思う誤魔化しが通じると

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8/5(水)晴

定期連絡。
いつもと同じように喫煙所で雑談するなかでいつもと同じように出てくる差別ジョークにもう笑えない。
だからといって私が差別していないということではない、ということを気づきたくないのに気づかされた、いや気づいていたのに無視してきたことを目の前に突きつけられた気分だ。もっというならば差別はあるものだし奴らは差別されてしかるべきだと思っている(そう未だに思っている)ことのツケが、生きているうちに

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8/6(木)晴

三十六歳の誕生日。
夕方から原田が来る。ビーフシチューを作って二人で食べた。指輪を贈られる。特に深い意味はないとのこと。あったら困る。私には結婚願望はない。原田も口ではそういっている。
気分は盛り上がらないが取り敢えず「誕生日のお祝い」的なムードとイベントをこなす。原田は私の気分を知ってか知らずか、健気に喋り続ける。善良なのだ。

父が死んでちょうど二十年。誕生日を迎える度に、暴動を思い出す。安

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8/7(金)曇

家にいるといろんなことを考えて気が滅入るので弁当を作って近所の公園へ。
コロナのせいか遊んでいる子供が殆どおらず、母親達のうるさいお喋りのようなものは全くない。
なんだこりゃ、家に居るのと変わらないなと思い弁当を食べたあとすぐに帰ろうとするが、そもそも私はそんなものが見たくてここへ来たのだろうかと思い直ししばらくベンチで佇む。
たまにいる子供を見て、あの子の母親は情報階級で正しい判断ができているか

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8/8(土)晴

母に仕送り。特に金銭的に困ってはいないと思うが。
月一回の仕送りとその報告の電話が数少ないコミュニケーションだが最近は話すべきことがない。
私が自立して15年、というより階級教育プログラムに進んでから20年か。毎年正月に帰省するが、母は故国にも帰れず日本式の行事にも興味がなく、何より夫を亡くしているので気力がない。もうずっと。
昔は父と下らない口論の末に、冗談のように口走っていた「帰化するんじゃな

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8/9(日)晴

暑い。クーラー病。体がダルい。

原田がコロナウィルスの実在性に疑問を持っている。何故そんなことを思うか聞いてみると、何の躊躇もなくどこそこでそんな話をしているのを聞いたと言う。場所だけでは判断はつかない。誰が言ってた?他にどんな人が聞いてた?どういう状況?普通の茶飲み話か、集会みたいな催しか?その話を聞いてあなたはどう思った?

それとなく聞き出すと言うのは難しい。だがだいたい

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8/10(月)晴

朝、珍しく岸先生から連絡があり、明後日の定期連絡でおそらく命令が下るだろうとのこと。
準備はできている旨伝える。我々のユニットは一片の躊躇もなく計画を実行に移すことができるだろうし、ついでにこの世で最も画期的な編み物の本を作ることも出来るだろうと言うと、いつもの関西弁で「何のついでで何してんねん」と笑われた。

計画実行後、おそらく予定どおり住所変更、ユニット組み換えが行われるだろうから、最後に少

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8/11(火)

山口と連絡。昨日岸先生と話したことを伝える。私もあんたと話しておきたかった、と山口。
この十一年間何もなかったけれども、自分達の使命と誇りを忘れたことはない、と芝居がかった口調で言うのに笑いそうになる。というか笑った。二人とも。
欲を言えば他には会社で働くくらいしかやることないんだからもっと一緒に働きたかったと。

いや、だから。フリーを勧めたのはあんたでしょ、同じことを二度言わせるん

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8/12(水)曇

今後日記をつけるかどうか少し迷ったが、後から見返してそのときの心情などが知れるのも一興かと思い書いておく。どうせ私しか読まない。

定期連絡にて予想通り命令が下った。
当然だが任された地域は熟知している。どこを停電させれば効果的か、仕掛けるときに人目につかないルート、人を集めておく方法。シミュレーションはし飽きている。

成功は疑い無い。心理面も含めて。被統制階級は教育されていないだけという融和主

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8/13(木)晴

ついさっきまで書いては消していたがしょうがない、そのまま書きなぐろう。

晴れてはいたが風の強い日だった。午後一時、第三区画の商工会議所にアリが群がる。代表らしき人間はどこぞの商店街で見たような顔だ。なかなか貫禄のある話しぶりで、四十年も前に論理的にも功利的にも否定された、まぁお定まりの情報機会均等法の導入と失敗する権利についての演説で聴衆をあおり、反響も悪くない。次の登壇者が恐らくコロナウィルス

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8/14(金)晴

昨夜は一連の作業(というと味気ないが)が終わりすぐに帰宅。殆ど体力を使わなかったので横になっても余り眠れなかった。

暑い。目覚ましで起きたのか暑さで起きたのか。

一網打尽にするはずが相手の怠惰を読みきれずに成果はギリギリ及第というところだったので、ユニット解散と転居が保留に。
特に議題も無くリモートで雑談。次の命令がすぐ下るのかは全くわからないという。なんだそりゃ。我々はこんな間抜けな空気を吸

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