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【1月23日~29日】はじめましてで笑った話


「やるべきことはもちろんやるぜ。でもさ、それだけだと何で頑張っているかわからなくなっちゃうから、今年は色々な景色を見ていきたいし、旅人としての人生に戻ってもいく」とか、自分で自由にやっていきたい。

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このようなことを昨年もちょくちょく言われていた蟹座。
後にも先にもないほどハードだった2022、やるべきことをやるだけだとホントに仕事ばかりになってしまうなあと思い、会いたい人にはサクッと会いに行き、行きたい場所にもサクサク行くようにしていた。
結果、例年よりもプライベートがアクティブになったうえ仕事もちゃんとできた。やればできるもんだ。今年も引き続きそうしたい。
動かないと景色は変わらないので。

「そちらに行く予定があるんですけど、お食事でも一緒にどうですか」

誰かを誘う時はだいたいそれで始まる。場所が東京であれば、誘う相手は同業のシナリオライターさん。Twitterでの交流だけで会ったことのない人も含まれる。私の人見知りな性質は、仕事に関する興味には負けるらしい。
この冬、とても印象深かった出会いの時もそうだった。

かねてよりずっと会って話してみたい人がいた。
もしかして東京で会えるタイミングなのではないか、と思いきって連絡してみたら、信じられないくらいあっさりと、そして思っていた100倍くらいの優しさで受け止めてくださり、一緒に食事に行くことになった。
ついにつかまえてしまった。むしろ逮捕と言いたい。
お相手は私も携わっているお医者さんタイトルでイケオジキャラをご担当されているライターさんだ。「逮捕」はそこでよく使われている。

ストーカーのようにシナリオを読み漁ってからというものもう好きしかなかったので、実際お会いできるとなって緊張よりなにを聞こうかというワクワクのほうが完全に勝っていた。さらば人見知り。もう二度と出てこなくていいぞ。
あとDMでのやり取りに溢れていた、やわらかい、やさしい人柄にすっかり安心していたというのも大きかった。

お互い顔を知らないので、当日の私は目印になるべくパープルのワンピースを着ており、彼女にもそう伝えていた。袖なし深めのVネック。ニットやシャツとレイヤードしてあれこれ考えずにざっくり着られるうえに、今年っぽさを兼ね備えている有能な1着だ。
普段の外出は近所のスーパーか中1女子の送迎が大きく占めている私の、今シーズンっぽさのある唯一の格好だった。
コートを羽織るとはいえ面積大きめのパープルはきっとわかりやすい。
そう思って、待ち合わせ場所の品川駅改札で彼女を待った。
約束の時間より前にもう着いていると連絡があったが、どこにいるかわからない。このパープルを持ってしても見つけてもらえない人の多さ、これが大都会東京なのかと慄いた。コートで隠れてしまう分わかりづらかったのか。

……と思ったら、「寧花さん……?」と後ろから声をかけられた。どうやら気持ちが前のめりになっていた私は、体も前に出すぎていたらしい。
とても穏やかで、やわらかで、やさしい印象そのままの女性がそこにいた。
もちろん人見知りがまるっと消えているわけではないので多少の緊張はあったけれど、その時点で私はすでに安心していた。

しかし、事件はもう起きていた。

お店に着いてお互いコートを脱いだ、というか脱ごうとしたあたりで、彼女の視線がやけに刺さった。なにか言いづらそうにしている気もしたけれど、会えた喜びでほわほわしている私はいつも以上に気が利かない。
「もしかして、とは思ってたんですけど……」と遠慮がちに言われた。なんだろう、と思いながら、しかしなんて感じのいい人なんだろうな~好きだな~~と私はのん気にしていた。白のニットに淡い色目のワンピースを重ねたその着こなしも彼女によく似合っていた。
その直後、よく似合っ……ああっ!? となったのをよく覚えている。
もしやそれは深めのVネックの、ニットやシャツとレイヤードして着られるうえにあれこれ考えずにざっくりいけて、今年っぽさまで兼ね備えているやつではありませんか。

なんと私たちは同じかたちの色違いのワンピースを着ていた。
初対面でリンクコーデをしてしまったらしい。「こんなことある!?」とふたりで笑った。おかげで打ち解けるのは早かった。
シナリオ上でわちゃわちゃした会話はスルッと書けるけど、本人は喋るのヘタクソなので、いくら人見知りがしゅんっと姿を消してくれても今度は理想には程遠いおしゃべりスキルに打ちのめされる。それがわかっていても、なんとなく大丈夫だと思えた夜だった。

ほかにもいきなりお誘いして下北沢でおいしいお刺身を食べさせてもらったり、六本木ヒルズで合流してもらっておいしいチーズに出会えたり、エビが食べたい私を横浜の中華のお店に連れて行ってもらったり、東京ドームでのライブまでの時間に一緒にランチしてもらったり、鎌倉案内してもらったり、わざわざそこまで来てくださったり……と、これまでも東京方面のライターさんたちを誘っておきながら、東京の勝手がわからぬゆえにお世話になってばかりなのだけど。「お食事でも!」のひと言で生まれる時間がいつもとてもありがたい。

今週もお声がけしたり、されたりすることがちらほらあった。
今年もいろんな人に会えますように。


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