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梅ジュースが飲みたくて

梅干しは好んで食べないけれど、梅は好きだ。
幼い頃、この季節になると母と一緒に青梅をいっぱい広げて、爪楊枝でぷちぷちと穴を開けた。いっぱい開けた。すべてはおいしい梅ジュースのために。

とても面倒なのだけど、母も私もちまちまとした作業が好きなタイプだから楽しんでいた。
梅を氷砂糖と一緒に漬けて、毎日眺めて、梅がしわしわになっていくなかで何回も「もう飲める?」と聞いた気がする。

そういえばいつから作らなくなったんだろうな。気づけば実家から姿を消していた風物詩だった。私が高校生の頃にはもうなかった気がする。

代わりに今は、この季節になるとコレを探す。

チョーヤの『梅しぼり』。
毎年、1本目を飲むたびに「コレが飲みたかったんや……!」と感動する。

今年は冒頭の写真の通り、自分で作ってみた。
なぜそうしようと思ったのかといえば、そういうタイミングにあったからだ。

たまたま、本当にたまたま。4月にお会いした漫画家のお姉さんがキウイビネガーを作ったからと瓶ごとくださった。キウイが大きくて、見るからに「これは絶対甘いやつ!」と思えるもので、1週間ほどまだかまだかと冷蔵庫で育て、炭酸水で割って飲んだら驚きのおいしさだった。
作り方もイラスト付きでキレイにプリントして添えてくれていたから、これは自分でも作ってみようと、キウイ、イチゴ、パイナップル……と、自分が楽しむ分だけの少量を作っては飲み切っていた。

というので、氷砂糖のストックが家にあった。
スーパーにも梅が並び始めた。
梅シロップはその2つがあれば作ることができる。

ひとつ問題なのは、今はちまちまとした作業をやっている暇がないということだった。ので、すぐにレシピを調べた。

べつにちまちま穴開けんでも作れるんやん。


ヘタの根っこ(?)だけ取ってしまえばそのままでいいと知り、私はいそいそと梅のヘタを取り、きれいに実を洗い、少し乾かし、水気をふき取り、瓶を熱湯消毒した。
思いついたままの勢いで作ったから、瓶の外側の水滴は見て見ぬふりをしてさっさと進めた。雑な性格が出ている。内側は完璧だ。こういうのは水気と菌が大敵だから。

ねこが寄ってきた

……こんなんだったっけ、とちょっと不安になったけど、一応はレシピ通りだしと自分を納得させた。
母に言ったら、「ちまちま穴を開けたら果汁がよく出るのよ」とのことだったけど、私は梅が自力で頑張ってくれることを願っている。
なんでも「ひと手間」が大事。それは知ってる。

この時点でもう、「やっぱり母が作ったやつが飲みたいな」と言っている未来が見えるのだけど、そうなったら来年は作ってもらうか、久々に一緒に作るのもまあ……いいかもしれない。いや、やっぱりちまちまやるのは面倒だな。どっちやねん。と自問自答している。

ちなみにうちの中3女子は、梅が苦手だ。
梅しぼりが奪い合いにならないなんてどういうことだ、と毎年思う。


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