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【1月30日~2月5日】あのときのタクシーの運転手さん


今週の蟹座の運勢にはかなり勢いがあります。「今まで保護されてきた火種が、外に向かって一斉に火の柱を上げていく」みたいな形で、色々な方向性に向かって爆走していきます。案件や誘いなどに関しても、よい意味で「予想を超えた展開」になりやすく、結構面白い一週間になりそう。

VOGUE GIRL WEEKLY! しいたけ占い

やることなすこと予想を超えた展開になったので、週末にしいたけ占いを読んで(遅)びっくりした。
ちょうど打合せで東京へ行っていたのだけど、行き帰りの道中も、会議そのものの成果も良い意味で驚いたし、そのつもりはなかったのになんでこうなった!? みたいな出来事が続いた。

品川に着いたら、JRが止まってた

その日は神戸空港でのいつものルーティンが崩れたところから始まった。
車を降りたら1階のトイレへ直行し、それからやれやれと2階のチェックインカウンターへ。そしてバトンドールを買い足し、時間があれば3階の上島珈琲店でコーヒーを飲みながらひと息つく。というのがいつもの流れだ。
今日はコーヒーだけじゃなくてがっつり食べたい、クラブハウスサンドかな、この時間からカレーってやってるんだったかな、と考えながら3階へ向かうと、上島珈琲店には臨時休業と書かれた紙が貼られていた。あらまあ。
こうなったら肉を食べようと、別のお店で自分的には早めのランチ、お店的にはモーニングメニューのハンバーグ定食を食べた。ごはんは少なめでお願いしたのだけどもりもりと盛られており、上島珈琲店のコーヒーを逃したあととあってなんとなくまたしょぼんとした気分になった。なお、ごはんは食べきったので、べつに少なめでなくても問題はなかったかもしれない。
ただなんとなくいつもと違う。小さなツイてない出来事が続いたことが気になった。

そして羽田へ飛び、そこから京急に乗ってもうすぐ品川に着く、というところでJR山手線が動いていないというアナウンスがあった。またしてもツキが見えない。「通勤」というものがなくなって久しいため、そんな洗礼も懐かしいのだけど、できれば懐かしがりたくはない事案だ。困った。
いつもなら品川で山手線に乗り換えて恵比寿へ向かう。
運転再開見込みは30分後とのことだったけど、それでは約束の時間に着くにはギリギリすぎるし、その通りに再開するのかもわからない。うーん、と思いながら、とりあえず高輪口からひょいっと外へ出てみた。タクシー乗り場にはすでに長い列ができていて、これは電車でもタクシーでも間に合わないのでは、と絶望感がじわじわと迫ってくる。
こんな事情だから、遅れることを先に伝えておけばもちろん理解してもらえるのだけど、できれば予定通り到着して、より長く会議に時間をかけたい。
実は前回の会議でも私は自分のうっかりで遅刻してしまった経緯があった。2回連続はなんとしても避けたい。納期と時間だけは守り抜くという唯一の誇りがホコリのように散ってしまいそうな感覚も嫌だったのだ。
祈るような思いで、ひとまずタクシー待ちの行列に並んだ。
30分待っても順番が来なかったら、遅刻の連絡をすることに決めた。

1人で乗るタクシーが好きだったりする

見知らぬ他人と狭い空間をともにするばかりか、その見知らぬ他人に気軽に命を預ける。タクシーというのは不思議な乗り物だ。
万が一それで事故に遭って一緒に死ぬようなことがあれば、ブラッシュアップライフのあの白い空間で、見知らぬ他人とおろおろすることになってしまう。
できれば来世も人間になるようなタイプの運転手さんに命を預けたい。そこでもし来世はハエとか蚊とでも言われていようものなら、自分の運のなさを呪いそうなので。

そんなことを考えておきながら、1人で乗るのが好きな理由とは矛盾がある。運転手さんがいい人でもクセのある人でも、人柄が見える時間に興味があるから、というのが好きな理由だ。来世がハエの人であろうとそれはそれでいい。好んで嫌な思いをしたいわけではないが。
複数で乗ると運転手さんに意識はあまり向かないから、問答無用でいい人を望む。

もちろんタクシーで嫌な思いをしたこともある。今回はどうかなー、とどこかアトラクションを楽しむような気分で列に並んだ。
そして、30分で乗れるんかいな、と思っていたくらいなのに、結果として15分くらいで乗れた。大都会の駅前のタクシーの回転率のよさに驚いた。

行き先を告げると、運転手さんは電車止まってますもんね、と気さくに話しかけてくれた。感じのいいおじさんでほっとした。
母へのLINEの返信を終えて顔を上げたタイミングで、関西の方ですか? と聞かれた。どんなに東京者を装おうとしてもすぐにバレるイントネーションの不思議。「はい、すぐわかりますよねやっぱり」と答えると、「いいじゃないですか関西弁」と笑ってくれた。
そこから、出張で来たこととか、さっきの回転率のこととか、東京のホテルの値上がりがとんでもないこととか、恵比寿までの道すがら世間話をした。とても自然で、話しやすいし聞きやすい。

途中、私がスマホを触っていると、その間は放っておいてくれる。そうしてスマホをコートのポケットにつっこむと、少ししてまた軽い話題を振ってくれて、私も喜んで返した。予定通りではなかったけど、この運転手さんと話せたわけだし結果オーライだなー、と思った。
さりげない気遣いがとても心地よかったから。

降りるときに「本当に助かりました。あと、楽しかったです」と伝えた。「お気をつけて。お仕事頑張ってください」と笑顔で返された。
ありがとう運転手さん。このあとも乗せるお客さんがみんないい人で、無駄なく効率よくがっつりお稼ぎになりますようにと念を飛ばしてタクシーを見送った。
そして、気分がいいあまり手元が狂い、土産を入れていたバッグを派手に地面に落とした。運転手さんはスマートだったのに、さすが私は私クオリティだ。こんなところで予想通りのことをしなくていいのに。
でも、遅刻はしなかった。
朝からなんだかツイてないな、と思っていたことも帳消しになるどころかプラスだ。

二度と会うことはないのだけど、あのときの運転手さんとして、きっとずっと覚えている。

タクシーの話をしておきながら帰りの空港の写真しかなかった。


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