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「うざっ」、上等やん!

 ちょっとした朝食に始まり、お弁当、部活前と部活後の軽食と、高校1年のあなたは大量の食料を持っていく。

コロナ禍で自宅にいた母は張り切って作っていたけど、食べ盛りなはずのあなたは結構残してくる。だから工夫をした。例えば、たくさんのおにぎりには何の具かわかるようにマスキングテープで「シャケ」だ「明太子」だと書いたり、甘い軽食にはプロテインを小麦粉に混ぜて作ったり…。(といっても仕事をしている母は出張にでてしまえば何もできないんだけど)

それに、スマホから顔をあげないあなたとなかなか話ができないので「あなたは強い」「やった分、伸びる」とかポストイットに書いて弁当箱に貼ったりもした。最近は手間を省いてLINEで今日のメニューとイチローの一言(イチローの言葉と書いた方が開封率が高いとにらんで)を送るようになった。だからってあなたは別に「やめてよ!」とも言ってこない。今のあなたからすると「どーでもいいこと」の領域なのかもしれない。

 この話を受講生にしたら、若い受講生男子から「それ、めんどくさい」との発言。その気持ちは当然わかる。私が高校生なら面倒臭いと思うもん。

子育てはよくわからないことだらけ。
「良い」と言われていたものが10年後「ダメ」になっていたりすることは子育てにはよくある。子どものことを考えてやったことが身を結ぶとは限らない。良かれと思ってやったことが返ってアカンこともあるだろう。一方で、ひょんなことから良い方向へ向かうこともある。私たちの考える範囲を超えた、見えない力を信じざる得ないと感じることは子育てにはしょっちゅうだ。

だから、祈るような思いで親は子を育てる。
いろんなことを想定しながらできる最大をやるしかない。面倒くさいと思われようが、うざっと思われようがやれることはやる。大人になってからかもしれないけど、どこかで効く時がくるわずかな可能性があれば、それを祈ってやる。もちろん、まったく意味がないかもしれない。しかし、母が3年間LINEで今日の献立と一言を送ったからってあなたの害にはならないはずだ。母にとって全然面倒じゃないといえば嘘になる。しかし、大切なんだよ。私にとってあなたは。それにあなたが大人になった時に「あれ、ウザかったー!」と笑いあえたら最高にいいなとも思う。

子育てには終期がある。
親がやれることにも限りがある。私があなたに直接的に関われるのは高校まで。あと2年ちょっと。母にとっての子育て終了は目前。ラストスパートですよ。「うざっ」と言われるのにも言うことにも終わりがくるから。
「うざっ」、上等やん。そう思うなら直接言ってこい!
距離は当然はかりつつ終期までは怯まず関わり続けるからねっ。