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好きな本の書き出し「畜犬談(太宰治)」

好きな本の一つである太宰治著「畜犬談」。
何が好きかって書き出しから痺れる。


 私は、犬については自信がある。いつの日か、かならず喰くいつかれるであろうという自信である。私は、きっと噛まれるにちがいない。自信があるのである。よくぞ、きょうまで喰いつかれもせず無事に過してきたものだと不思議な気さえしているのである。諸君、犬は猛獣である。馬を斃おし、たまさかには獅子と戦ってさえこれを征服するとかいうではないか。さもありなんと私はひとり淋しく首肯しているのだ。……(本文は続く)

このユーモアセンス。
私は太宰治は相当、お笑い能力の高い面白い人だったと推測している。

〈了〉

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