年収2.5億円の開業医が考えていること
今回は、炎上覚悟でお金の記事を書いてみます。
皆が興味を持ちそうなテーマを試験的に探っています。
私の場合、開業後の年収は勤務医時代の10倍になりました。
10年分を1年で稼げたということです。
それに伴う、生活や心境の変化をお伝えします。
理想と現実
勤務医時代の開業医のイメージでは、
当直がなくなり、自由な時間が増える
好きなメンバーを選んで働ける
やりたくない仕事はやらない
この理想は半分くらい当たって、半分外れました。
当直はなくなりましたが、医療以外の雑務が増え、帰宅後や休日も常に仕事の事を考えるため、負担は開業前の3倍ほどに感じられます。
夫婦の会話でさえ、仕事の話になりピリピリします。
寝当直で爆睡したいと思うことすらあります。
好きなメンバーとも働けますが、そうでないメンバーも入ってくるため、採用、育成、退職の手続きや手間がかかります。
やりたくない仕事はホームページには書かないようにしましたが、他院からの紹介で来る場合には、断るわけにもいかず、結局完全に避けることはできません。
幸福度
年収が800万円を越えると幸福度は変わらないという説は、まさに当たっていて、収入は上がれば上がるだけもっと欲しくなるのが人間の性で、逆らうことはできません。
目標にするのは、去年の自分の売上のため、上がれば上がるほど、次の年のプレッシャーがきつくなり、それにともない忙しくて日々ヘトヘトになるという悪循環に陥ります。
売上が下がっても不安、上がったら仕事量がきついのです。
私は今、子供の教育費と借金返済のために働きながら、体と気持ちが壊れていく事に危機感を感じています。
金額に関係なく、労働者である限りラットレースからは抜け出せないのです。
生活レベル
生活レベルは全く変わりません。
そもそも我々の世代はあまり物欲は無いですし、使う暇も無いです。
車もファミリーカーが一台。
時計無し。
家は中古マンション。
ふるさと納税で温泉に行くのが唯一の贅沢です。
時間効率とモチベーション
重い税負担のため、稼いだ約6割は税金で無くなります。
週に5日働いて、2日分しか残らないということになります。
「税金を払うのも社会のため」「地域医療を支えるのも人のため」と思って頑張りますが、時に書き込まれる一部の心ない口コミや、他院の嫌がらせの書き込みで心は折れそうになります。
片思いなんだなーと虚しさを感じます。
適性
私の場合、売上を上げるという意味では達成することができましたが、この仕事が向いているのかというとまた別な話です。
雇用トラブル、バツコミ、クレーム、合併症、売上減少、自身の健康問題等の様々なリスクをストレスと感じない人こそが適性があると思います。
私が開業医を辞める理由
まず私が開業した理由。
それは、専門医として一定のキャリアを積み終えて、新しいことに挑戦したかったからです。
開業から5年が過ぎた今、成長は止まり、毎日が同じ繰り返し。しかも多忙。
子供の頃から私は大人しい人間です。
本来気を許した人としか話したくはありません。
開業することで、医師として毎日おしゃべりする自分に加え、経営トップとして指導する自分、家族としての自分、それぞれの役割を演じているうちに、本当の自分が圧し殺され、本当にやりたいことがわからなくなっている。
資本主義の奴隷です。
心はまだ大丈夫ですが、年齢とストレスで体には異常が出始めました。
必要な額を稼いだら、新しいステージへと向かいます。
ついてきてくれてるスタッフや地域の患者さんが困らないようなかたちで、引退できるように。
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