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狙い目は、メリットが分かりにくく、デメリットが分かりやすいもの

まとめ

・明確にメリットが大きいものは競争が激しくなる
・メリットだけ分かりやすく、デメリットが曖昧なものは、裏がある
・メリットが分かりにくく、デメリットが分かりやすいものが狙い目
・デメリットを許容範囲内にサイエンス的な方法で制限して、メリットをアート的な行動で紡ぎ出す。つまり、小さく試すとよい
・信頼貯金をつかうポイントはここなのでは

以下、詳細。4つに分けて考える。

「分かりやすい」「分かりにくい」に極端な定義をして話をすすめる。

分かりやすい:情報の非対称性がなく、公開されている。定量化されて比較可能。
分かりにくい:情報の非対称性があり、一部の人だけ知っているものがある。定量化して比較できない。

分かりやすい、分かりにくいの今回の定義

メリットもデメリットも分かりやすい場合

これはメリットデメリット比較して判断すればいい。比較してメリットが多いと、みんな集まってくる。そして競争が激しくなる。

メリットが分かりやすく、デメリットは分かりにくい場合

「おいしい話」ってやつだ。デメリットは分かりにくいだけで、存在している。この話を持ってくる人には何かしらの意図があり、そこまで把握した上で判断する必要がある。

どっちも分かりにくい場合

ここも面白そうなんだけど、今回は考えない。何もわからないから注目されない、無視されるとする。

ここまでをまとめてみる。


メリットが分かりにくく、デメリットが分かりやすい場合が狙い目(ここが本題)

なぜ狙い目なのか?

分かりやすいデメリットは論理的に対策が打ちやすい(=サイエンス的発想)

デメリットがわかっていれば、対策ができる。ここは論理的に考えていけば、思いつく対策も多い。実行するのは大変なんだけど。

分かりにくいメリットから、想定外のメリットを紡ぎ出す(=アート的発想)

ここが今回一番書きたかったことで、最近ちょっとわかってきたことだ。デメリットと比較して、メリットにはいろんな可能性がある。論理的に考えただけでは思いつかないし、実際に行動してみて、想定外の情報から「メリットを紡ぎ出す」というニュアンスがしっくりくる。

ダメージを許容範囲内におさえる準備をして、リターンを探索しながら紡ぎ出してみる

「小さく試す」ってやつだ。

では、いま私がやっている具体例で書く。

事例:鎌倉の会社の管理部門の責任者をしながら、北海道の自治体で働いてみる

2019年ぐらいから、今の会社の管理部門の責任者をやっている。2022年6月から、会社員のまま自治体に派遣できる制度「地域活性化起業人」を利用して、北海道の自治体でも働き始めた。

このとき自分なりの仮説があり、管理部門の責任者を仕事を減らさずに、追加で仕事を増やすというチャレンジしてみることにした。この理由を説明することで具体例としてみたい。

予想される分かりやすいデメリット:仕事量が増えるし、移動時間も大変そうだけど大丈夫か?

想定されるデメリット
・自治体で働く前から、そもそも仕事量が多いのに増やして大丈夫なのか?
・バックオフィスの責任者がオフィスにいない時間が長くても大丈夫なのか?(ルール上、5割以上は北海道に滞在する必要がある)
冬でもTシャツだけで過ごす活動は北海道でも維持するのか?
・ミッションは自治体DXだが、私の能力的にできるのか?

他にもいろいろ思いつくはずだが、いったんこの4つを考える。

想定されるデメリットに対する対策
・今の会社には10年ほど働いており、社内の人的ネットワークはかなり構築されている。昨今の状況から、オフィスに出社してもオンライン会議が日常。いまも週2で在宅勤務なので、北海道にいない日にオフィス出社を増やせば実質的には似たようなもの。
・業務量が明らかに増えることが予想されるので、追い詰められて新しい画期的な対策のアイデアが出るはず。公開できないが、実はもういくつか出ている。任せようと思えば他の人に依頼できるものもまだまだあった。
・体を半分北海道におくことと、業務時間の半分を自治体の仕事に使うことは別。6月から開始したとして、最初のうちは半分を自治体の業務で使うことは困難。徐々に増えていくことが予想されるため、移行期間は想定より長くとれる。
・真冬の北海道でTシャツだけで過ごす対策は未定。むしろこれはメリットの可能性もあるから季節が来るまで放置する。
・私自身はDXについて詳しくないが、社内には詳しい人材もいる。「知らないことに対して、自分なりに理解して、誰に何を聞いていけばいいか」に対しては自分の中に知見がある。実際には組織マネジメントに関しての施策が多くなるはずで、むしろ今までの知見が活かせるのではという予想。DXの前にIT化が必要という感じ。

開始前に「分かりにくいメリット」の仮説はつくっている

ほぼ伏せ字の資料だが、得られるメリットをある程度構造的に仮説はつくっていることは伝わるだろう。ダメージを許容範囲内におさえる準備をして、どんなリターンを探索したいかの仮説はつくっていた。

得られるリターンの仮説資料その1
得られるリターンの仮説資料その2

この図は、以下の記事でフォーマットを説明している。

社外人事の神谷さんがこんなツイートをしていた。

いま働いている会社の地域に物理的に体をおいてても、伸びしろがないと感じていたのかもしれない。

今働いている会社は「地域資本主義」、ざっくり書くと「地域経営とそこに存在する企業の経営をシンクロさせ、地域が個性化して、その結果としていい感じになる」という世界を目指している。それに対して、「地域経営側」の自分なりの知見を深めることは、企業の全社戦略(=複数事業を束ねる側の方針)を担当する役割として、意味があるはずなのだ。極端な話、日々の仕事が多少滞ったところで、3-5年後に目指す姿がアップデートされ、それにあわせて会社のロードマップがアップデートされたほうが全体としてのメリットは大きいという見立てだ。

派遣されている北海道の下川町は、2019年ぐらいから交流があり、自治体の皆さんの柔軟性は知っていたし、試行錯誤するのに最適だと思われた。また、私が北海道の出身ということもプラスに働くだろうと考えた。

例えばどんなことが「会社の将来のロードマップ」に反映されるのだろうか。

下川町は、旭川空港から車で2時間だ。運転しながら最初に感じたことは、「今後人口密度が減ることを踏まえると、日本全国でこのインフラをずっと維持できるとは思えない」という感想だった。「危機感」を持った、という表現が近い。この感覚は鎌倉にいると持てなかっただろう。ここに対して自分たちは何ができるのか。そんな問いがロードマップに反映されるはずだ。

信頼貯金を使うならここ

「分かりやすいデメリット」と「分かりにくいメリット」の行動が許可されるかどうかは、実行する人の信頼度も関係するはずだ。日々の仕事で信頼貯金を貯めて、ここで使ってみてはどうだろう。

今回は以上です!


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