人事が「理由を考えない練習」につかえる『Tシャツ部・新人向けマニュアル 2020年版』
この記事は、#HRアドベントカレンダー2020「○△に大切な□✕」の記事です。人事は、整理をしたり、目的を考えたり、物事の理由を考えるようなことばかりやっています。それでは魂が弱くなりますので、「理由を考えない練習」として私が実践している「Tシャツ部」をご紹介します。
「Tシャツ部」とは?
「Tシャツ部」は、私が働いている面白法人カヤックという会社で、365日Tシャツのみを着用することをルールとしたサークル活動です。私はその5代目部長の柴田と申します。現在のTシャツ部の部員は2名。私は9年ぐらい活動しています。
「Tシャツ部マニュアル」は新入部員向け
このマニュアルは新しくTシャツ部へ入部する部員向けです。このマニュアルに書かれている方法は、一つの答えに過ぎません。我々が必要としているのは、常に疑問を抱き、自分の力で考えられる人材です。
「Tシャツ部」のルール
ルール1:「365日Tシャツだけで過ごす」
Tシャツ部の最も重要なルールは、「Tシャツだけで過ごす」。
上着を着てはいけないということです。
ルール2:「Tシャツで過ごす理由を考えてはいけない」
人はすぐに理由を求めます。しかしそれがよくない。Tシャツ部の目的を考えてはいけません。特に真冬は寒いので「なぜこんなことをやっているんだ」と考えてしまいます。ダメです。
私が廃止にしたルールもあります。
(参考)廃止された過去のルール1:「腕を組んではいけない」
(参考)廃止された過去のルール2:「ポケットに手を入れてはいけない」
冬にTシャツだけでいることは寒いので、それを我慢するような仕草はいけない、という発想ですね。しかし、人間は寒くなくてもポケットに手を入れて歩きたいときがあります。腕を組みたいときもあります。よって当時の部員全員(私1名)の賛成多数で廃止となりました。
入部資格
Tシャツ部にはこれといった入部資格はなく、どんな人でも入部できます。
たまに年中Tシャツ短パンで過ごす子どもがいますが、そういうもともとTシャツ部としての素質がある人でなくても大丈夫です。
ちなみに、私の小学校時代の集合写真を見つけたところ、1人だけTシャツでした。これは偶然なのか必然なのか・・・自分でもビックリです。
ほらまたこうやってすぐに「意味」を見いだそうとする、それが人間の病(やまい)なのです。
オリジナルTシャツをつくろう
Tシャツ部に入ったら、まずはオリジナルのTシャツをつくることをおすすめします。必須条件ではありませんが、オリジナルのTシャツを着ることで、最も避けなければならない質問である
「なぜいつもTシャツなのか」
を回避できる可能性が高まります。
こちらが私のTシャツです。まず老若男女にわかりやすく理解してもらえることを目指し、自分の名前(柴田の「柴」)を書いたTシャツとしました。
「柴田だから、柴と書いてあるTシャツを着てるんですね」
大多数の人は、勝手に理由を推測し(ここ重要)納得してくれます。なぜ自分の名前が書かれたTシャツを着ているのか、そっちのほうが謎なのですが、その理由を聞いてくる人はほぼいません。Tシャツは1回で20〜30着をつくって、半年に1回ぐらいで全部とりかえています。
以下、事例を紹介します。ケーススタディです。
ケース1:「なぜいつもTシャツなのか?」への対応
「なぜいつもTシャツなのですか?」と聞かれます。この質問には、相手の望む答えを返しましょう。
「Tシャツが好きだから」
「健康法です」
など。
本当の目的を答える必要はなく、表面的な答えで構いません。なぜなら相手もあなたがTシャツでいる本当の理由などには興味がなく、単なる雑談としての質問でしかない場合がほとんどのためです。
ケース2:寒いのではなく、気温が低いだけ
先代の部長が残してくれた名言をご紹介します。
「寒いのではなく、気温が低いだけ」
「今日は寒い」のではなく「今日は気温が低い」と捉えましょう。
しかし、こちらの心構えがどうあれ、「寒くないのですか?」と真冬の外出中でよく聞かれます。その場合、回答にはサービス精神が必要です。
「寒くないですよ!」
と元気いっぱいに答えるべきか、
「寒いに決まっているでしょう」
と答えるべきか。
質問してきた人の特徴によって瞬時に判断する必要があります。
本当に冬にTシャツだけで歩いていることに対する「驚き」や「不安」が大きい方には、安心感を与えるために「寒くないです!」と元気に答えます。主に高齢者の方などに、道ばたで聞かれる場合はこちらです。
「こいつちょっと変な人なのでは?」という面白半分で「寒くないですか?」という質問をしている方には、「寒いに決まっているでしょう!」という答えのほうが喜ばれます。
ケース3:風邪をひいた場合、医者に怒られない方法
会社を風邪で休んだ場合、「Tシャツだから風邪を引くんだよ」といわれることもあります。しかし、人間はTシャツでなくとも風邪をひきます。
私の経験によると、真冬は気合いが入っているのでTシャツでも風邪をひきません。季節の変わり目には風邪をひきます。これも他の人と一緒です。
風邪をひいてTシャツで病院に行くと、お医者さまから怒られます。もちろん私も怒られました。そこで私は怒られないための解決策を見つけました。
上着を着ずに病院まで持って行き、さも待合室で脱いだ体をとってください。(熱が出ていて熱いから脱いだ、というような感じを出します)
これによって、風邪を引いて病院にTシャツで行くことと、医者に怒られないことを両立できます。今年は特にこんな理由で病院にいったら怒られそうなので、上着を忘れないように気をつけてください。
ケース4:「柴」のつく名字の人が話しかけてきた場合
実話です(今までのも全部実話です)。東京駅で信号待ちをしていたとき、目の前にタクシーが止まり、後部座席の窓があきました。座席の男性が
「私は柴崎というのですが、そのTシャツはどこで売っているのですか?」
と質問してきました。
私は
「自分でつくりました」
と解答し、男性は
「すげー」
といって、窓を閉めタクシーは走り去りました。
本来は、鞄の中にはいっていた「着替え用柴Tシャツ」をプレゼントする、もしくは名刺交換をしておくなど、今後の展開につながる活動を瞬時に行うべきでした。失敗事例として同じ状況が発生した場合は気をつけてください。
ケース5:amazonで「柴Tシャツ」が大量に販売されていることを発見された場合
キャズムを超えたということです。
ケース6:リモートワークの場合
通常通り仕事をしているとカメラに柴Tが映りません。今後の検討課題です。
ケース7:「柴」に関するお土産をもらった場合
だるまをもらいました。
焼き印をもらいました。「実家の倉からみつかりまして!」と興奮して私にプレゼントしてくれました。
別にそういうことではないのですが、ありがとうと言っておけば大丈夫です。引き寄せの法則です。
注意点:Tシャツ部の苦手なこと
これまで、Tシャツ部のさまざまな側面を述べてきましたが、この手法には当然デメリットもあります。
デメリット1:Tシャツでいくと怒られる場所に、Tシャツでいくと怒られる。
これは、法人としてチームで仕事をする限り、上司などTシャツ以外の服を着ることができる社員にお願いし、代わりに参加してもらうしかありません。
デメリット2:Tシャツだけでいくと寒い場所に、Tシャツでいくと寒い。
寒い場所にTシャツでいくと、寒いです。
気温が低いだけではなく、寒いです。
最後に
以上、Tシャツ部の心構えやさまざまな場面での正しい対応方法をまとめてみました。基本的な方針を理解したら、あとは自分自身でTシャツ部としてのキャリアをつくってください。
ちなみにこの記事は「2018年のTシャツ部マニュアル」をアップデートしたものです。変更点としては部員が1名から2名になりました。あと、東京駅で柴崎さんに話しかけられたエピソードと、amazonで柴田Tシャツが販売されている事例、テレワーク対応、柴に関するお土産をもらった場合を追加しました。
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バックオフィス/管理部門と言われる部署は「コスト削減」によって成果をみられがちです。売上が存在しない分、費用削減で利益に貢献しろという発想です。やる気のある社員からすると、「もっといろいろな形で貢献したり、改善したいのに、コスト削減ばかり言われる」というフラストレーションがたまっているのではないでしょうか。
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今回は、2つの観点から考える予定です。
1.総務部の成果の定義を決めるのは、本来は総務部長ではなく、その上司ではないか。では、上司が明確に決められない場合にどうするか。
本当は、管理部門を束ねる責任者(総務部長の上司)が決めるべきで、総務部長はその「成果」の実行方法にコミットするのがあるべき姿かなと考えます。総務部長が自分で考えられると最高なのですが。上司が設定してくれない場合にどうするかを考えます。
2.管理部門の成果の定義は「会社の資産」をつくるという観点から考えるとよさそう。
売上がない管理部門の仕事は「どんな会社の資産をつくると、事業側がそれを活用して利益を生み出せるのか?」という仮説を作り、そこから考えるという案です。この部分に関して、当日までにカヤック総務部の成果の定義を試行錯誤して考えてみて、みなさんにお伝えできればと思います。
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