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美しいものは手から生み出される

アナログな仕事で起業して7年目となる。

最初の頃は「お仕事は何をされているのですか?」
と初対面の方に聞かれた時

「黒板を書く仕事をしています」

とお答えすると、
「それって仕事なんですか?職業なんですか?」
と聞き返されることがとても多くて、
自分って相当変わっている人
と思われているんだろうな、
と毎回恥ずかしく感じていた。

その頃は「黒板?なんだそれは!」と
吹き出し付きだったような気がしていて、
堂々と「黒板マーケティング研究所」と自己紹介できなかった
記憶がある。

そんなスタートだったので、なかなか自信を持って
自分の仕事を説明できなかったけれど、
多くの現場を訪れ、多岐に渡る業種を垣間見て
自分の手を動かしかなりの数の黒板を書いてきた。

多い時は、月に50枚黒板を書いた。
その一枚一枚全てインタビューして
そのお店や会社に合うキャッチコピー、色、レイアウトを
考えて書いているので、一枚として同じものはない。

大手企業様から、個人店までをとにかく当然ながら
全て自分の手でポスカという水性ペンで書いてきた。

黒板を書いている時に、
とある大手スーパーさんの営業部長に

「そういうのは、データに取り込んで黒板に貼り付けたら

もっと楽なんじゃないの?」

と言われたこともあったんだけど、
なにしろ手で書くことが伝わり方の温度が違うということを
現場で沢山見てきたので、
「まぁとりあえず、書いたものを売り場に置いてみてくださいね」
な〜んて答えていた。

すると後日
「黒板ってすごいね!売り場に置いたら、そこに立ち止まっている
お客様が何人もいらっしゃって。スタッフがそこに立っているみたいだね」
とおしゃっていただいたりもした。

だいたいが期待値が最初はとにかく低い。
だから、そのポテンシャルの高さを知るとみなさんが驚く。

そんなパターンが他のお店や企業さんでも続き、
自分の中でもだんだんと自信のようなものが
生まれてきた。

なんでもそうだけれども、一気に広がったり理解してもらえたりはしない。

「そう簡単に理解はしてもらえない」
という前提が自分の中で理解できるようになると
不思議なことに
「黒板マーケティング研究所」です。
と名乗れるようになってきた(笑)

本当に最初は全く自信がなかった。

世はまさにデジタル全盛期。
時代にどんどん逆行している感もなきにしもあらず。

そんな時にとても素敵な言葉を頂いた。

その方は、コピーライター。
資生堂名誉会長さんとお仕事をなさった時に、
同社の意匠も随分見せていただいたり、お話しも沢山
伺ったとの事でした。
資生堂の椿の絵は先先代がご自分でお描きになられたものだとか。
名誉会長は
「美しいものは手から生み出されるんだよ」と
常々おしゃっていたそうだ。

藍田さんの「手の技」は何物にも代え難いもの。
アナログの価値はますます高くなっていくに違いないです!

と付け加えて下さった。
もちろん資生堂とは比較にもなりませんけれど、
とても励みにもなり涙が出そうになりました。

自分を信じて進んでいこう!

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定期的に書き換えをしている飲食店さんのウィンドウ。
変化をさせることがとても大切。

変化なくして進化なし。

お客様がお店に入店してくださるまで、
思っている以上にハードルが高いんですよね。

その距離をポスカ一本で縮めることができたらという想いで
毎回書き換えています。

手から生み出すものの可能性を信じて
今後も精進していきます。

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