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飲食店さんの黒板

今月に入って大きめの黒板5枚書き終わりました。

2枚はスーパーマーケット様用の黒板で、
あとの3枚は飲食店さん用の黒板です。

書く前に大切な取材をすると、
飲食店さんの場合は大抵
「メニューと金額を書いて欲しいです」
とご依頼を頂きます。

飲食店さんの場合に限らずですが、
そのお店に行く前と行った後、自分がどう変わるのかがわからないと
お客様って入店してくれないんですよね。

そこが理解できているかいないかはとても重要です。

お客様のほとんどが「金額でお店に入るか入らないかを決めている」
という前提だと、金額を黒板に書いてしまうんです。
でもお客様って損はしたくないって思っているし、
これだけいろいろなお店があって、金額だけで決めている
わけではないのです。

そのお店に行くとどんな経験ができるのか?

それが今の時代とても大切です。
食べて美味しいのはもちろんです。
でも美味しいものは沢山溢れています。

そのお店にしかないもの、そのお店でしか体験できないもの。

それを黒板に書かないと、お客様は通り過ぎて行きます。
大体が、メニューと金額を書いて
「これ食べてくださいね」と言っている。

だから、取材する時にお客様はどう感じるかを
お客様目線でインタビューする。
「そんなこと聞いてどうするの?」という顔を
されることも時々あります。

今回黒板を書かせて頂いた飲食店さんは
お店に大きな窓ガラスがあり、
「そこからみる風景は唯一無二のものです」
とオーナーさんが話されていた。

確かに、このお店に来店しなければ見ることができない。
オーナーは続けてこうおっしゃった。
「この景色を眺めながら、女将が選んだ器とお料理を楽しんで欲しいし、
お酒もお料理に寄り添うものをじっくり選んでいる」

器好きの女将さんは、ご自身でも陶芸を習いに行きその器で
お料理をお出しすることもあるそう。
また、全国の酒蔵巡りの時には、窯元もセットで訪れるということで、
器へのこだわりが感じられた。

そんなオーナーご夫妻の想いを伺ったのですが、その気になるところが
どこにも書かれていないし、発信されていない。

そこがとてももったいないと感じた。

通りに面した、お客様が最初に目にするところへ設置する黒板を
こんな風に仕上げた。

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全くもって、飲食店の黒板らしからぬ趣。
全然お料理のイラストも書いていない。

でも黒板を書いている時に何人かの方が通ったのですが
その方々に、
「えー!!これ見たら、入って来ちゃうよね〜」
とおっしゃっていただけました。
まずは少し安心♪

行き交う人々にまず目を留めてもらうことが、
店頭黒板の重要任務です。

そして中に入ってもらいさえすれば、
お料理のメニューは詳しく説明してあげれば良い。

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今日は午前中から書き始めて、夜までかかってしまった。
長い1日だった。

私が書いた黒板ではあるけれど、
「作品」ではないので、また書き換えをする時がくる。

その時まで、良い仕事をして欲しいと
書き終わると毎回そんな気持ちになる。

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