見出し画像

【レポート】ANTEROOM TABLE:「知らんけど」

HOTEL ANTEROOM KYOTO で開催している哲学カフェ「ANTEROOM TABLE」。いつもは会場の展示にちなんだテーマにしているのですが、今回は展示がお休みだったので最近流行りの言葉「知らんけど」をテーマにしました。

関西発祥の言葉でありながら、昨年の流行語にも選ばれたこの言葉。
どうして若い人がこの言葉を使うようになったのか。「知らんけど」という言葉の持つ役割や、広がった背景にある時代の文化について考えていきました。

当日ご参加いただいた人にお伺いすると、8割の方が「知らんけど」を日常で使用することがあるということで(さすが関西)、みなさんが使用するシチュエーションをお聞きしていきました。普段この言葉を使わないという方からは、関西に引っ越してきたときにこの言葉のニュアンスがわからず、「なんで知らないのに言うの?」と疑問に思った、というエピソードも。

「知らんけど」を使うシチュエーションとしては、不確かな情報の際に使う、話にオチをつけたい際に使う、自分の発言に自信がないときに使う…などがよく挙がりました。あとで見つけたのですが、この辺りはNHKのこの記事とも共通していますね。

また、実際は(確かな情報源があるなどの理由で)自信のある意見にもかかわらず、それを明示して話すと角が立ちそうなので友達とのコミュニケーションではあえて「知らんけど」という言葉で曖昧に表現する、という例も出されました。この辺りの使い方は個人的に興味深いなと思います。

後半はSNSの流行など、言葉の流行の背景にある文化的な要素についても語っていきました。SNSがTwitterのリツイートなどの「伝言」文化であり、「知らんけど」という言葉と相性がよいのでは、という指摘や、「知らんけど」という言葉が、それ以上質問ができなくなると言う意味で対話を打ち切ってしまう言葉であると言う指摘から、現代のコミュニケーション文化について議論される一幕もありました。「知らんけど」という言葉はほとんどの場合語尾につくという指摘から、日本語の構造についても話題になるなど、今回も多様な観点からじっくりと考える時間となりました。ご参加いただいた皆さまありがとうございました。

次回のANTEROOM TABLEは3月12日(日)開催、テーマは現在開催中の展示“SSS Re\arise #1.5 EXHIBITION KYOTO”からインスピレーションを得て「てざわり」というテーマで開催します。ご興味ある方はチェックしてみてください。

(おわり)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?