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洋服の定番を考える3つの言葉

世のファッション業界には「定番」と言う言葉が溢れかえっている。トレンドに左右されないタイムレスなモノとして多くの人が「定番」と称されたモノを好む時代だ。

だが、「定番」という考えにも様々ある。今回は「定番」を掘り下げて考えていきたい。


定番を表現する言葉は沢山ある。


定番を表現する言葉は沢山ある。
ベーシック、スタンダード、オーソドックス、オーセンティック、トラディショナル。このような言葉がオンラインストアやファッション雑誌に無数に立ち並ぶ。

あまり深く考えずに使ったり、受け止めたりしている人も多い事だろう。

ただ、言葉には意味があるし、自分の中で解釈もある。私が洋服の定番について考える際、3つの言葉の表現に絞っている。ベーシック、オーセンティック、クラシックの3つだ。

直訳すると、ベーシックは基本、基礎。オーセンティックは本物、正統。クラシックは古典的、格式高い、などと表現される。

実際の使われ方としては実に曖昧だ。

ベーシック

オーセンティック

クラシック

個人的な解釈では上記の順番で積み重ねられた歴史の長さがあると思っている。時系列のような物だ。

トレンドで産まれた物が昇華され、ベーシックになり、更に昇華されるとオーセンティックになり、クラシックとなる。

トレンドは勿論だが、ベーシックも時代によって変わる。その時代に多くの人に認められ、買われ、使われるとベーシックになるのだと思う。

例えば、シエラデザインのマウンテンパーカーはベーシックであり、オーセンティックだが、クラシックやトラディショナルには至っていないのだと思う。

ノースフェイスのキャンプシエラや、ポーターのタンカー、パタゴニアのレトロXなども個人的には同じような位置付けで、オーセンティックに入る。

リーバイスの501はオーセンティックからクラシックに格上げされているだろう。エルメスのバーキンやケリー、パテック・フィリップのカラトラバはクラシック。

バラクータのG9はオーセンティックかクラシックかは微妙なところ。フェリージのブリーフケースはクラシックと表現する人は多いが、私の中では化繊を用いると古典的という表現がどうもしっくりこないため、クラシックとは呼びづらい。

何となく私の考える基準は伝わるだろうか。

批判もあるかもしれないが、個人的にはそのように解釈をしている。

ベーシックと言う言葉に騙されてはいけない

ベーシックと言う言葉は先程挙げたように時代によって都合良く使われているように思う。例えば、ユニクロのヒートテックは平成に産まれたベーシックだろう。多くの人が買い、着用する中で、その時代の中のベーシックとなるわけだが、必ずしもオーセンティックやクラシックに格上げされていくかと言うとそうでもない。

恐らく、この先化繊は更に進化し、ヒートテックは陳腐化するように思う。そうやって時代のスタンダード、ベーシックと言われる圧倒的な支持を受けた物でも、時に陳腐化し、淘汰される。

ベーシックと言う物は、何となく末永く使える、着れる物として認識しているはずだが、ヒートテックを子孫に受け継いで行く人はいない。

ベーシックという言葉に騙されず、果たしてオーセンティックやクラシックと将来的に呼ばれるようなものなのかどうかを見極めていく必要があるだろう。

自分の中の定番とは

私の定番といえるものは、上記の解釈であればオーセンティックなものになる。クラシックも嫌いなわけではないが、オーセンティックなもののほうが自由度高く肩ひじ張る必要もない気軽に着れるものだ。

自分の中の定番とはどこに当たるのか。それを知ることによって洋服選びや買い物の仕方も精度が上がってくるのではないだろうか。

まとめ

世の中にあふれる定番という言葉。その定番を具体的に解釈することによって、自分の好みや趣向、買い物の仕方などに影響するのではないだろうか。何でもかんでも定番な訳ではない。定番と呼ばれるものが廃れないわけでもない。時代時代によって定番が存在し、それらが昇華されていき、オーセンティックやクラシックへと変化する。その中で陳腐化し淘汰されていくものもたくさん存在するのだ。

本物の定番は受け継がれ、支持され続け、生き残った優れたプロダクトであり、そう多く存在するものでもない。物に対しての審美眼を身に着け、ありふれた言葉に惑わされないようにしていきたい。

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