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がん保険は要らないって本当!?|ぼったくり保険を回避、FPが解説

家計の見直しに役立つ保険講座、今回はがん保険不要論です。

がん保険のいらない理由はつぎの2つ

  1. 払い込む保険料ばかり膨らみ、保障が少ない

  2. 健康保険制度と高額医療費制度で治療費の支払いが軽減される

保険外交員は不安をあおり、がん保険を勧めてきますが、実はこれぼったくり保険商品なのです。ファイナンシャルプランナーの筆者が、実際のがん保険の契約内容を挙げて検証・解説していきます。



実際のがん保険の契約内容を分析・検証する

ある保険会社のがん終身保険を、実際の契約内容をみながら検証します。

がん終身保険
男性 契約時35歳

保障内容
がん診断給付金 50万円
がん入院給付金 日額10,000円

保険料3,580円/月

がんと診断されて給付される保険金は50万円、それに入院日数はだいたい10日程度ですから、合計60万円の保険金がおります。

一方、保険料の払込額はどうでしょうか。月3,580円の保険料を10年払い続けると43万円、20年で86万円になります。

20年後にがんになって60万円の保険金を受け取ったとしても、それまでに払い込んだ保険料は86万円、受け取る保険金より払い込む保険料のほうが多くなっている・・・!?

がんの治療に必要な費用はだいたい50万~100万円です。この程度のお金ならそもそも自分で用意できるのではないでしょうか。これくらいのお金すら用意できないのはムダな保険に入って毎月掛け金を払っているから、つまり保険に入っていることで逆効果になっているのです。

終身タイプであれば保険料を生涯払い続けるわけですから、30年後には払い込んだ掛け金が129万円にものぼり、60万円を受け取るために129万円を払い込む、これでよいのでしょうか?

もしがんにならなかったら払い込んだ保険料はぜんぶ保険会社のものになります。がんになって保険金を受け取っても払い込んだ保険料のほうが多いのですから、どちらにしても意味がない保険といえますよね。



医療費が安くなる国の制度がある

ここで医療費の自己負担を軽減するための国の制度をみていきます。日本では健康保険制度があり、全国民が加入しています。みなさん健康保険証を持っていますよね。このおかげで医療費の自己負担額は3割でよいのです。

がんの手術・治療を受ければ3割といっても高額になることが予想されるでしょう。しかし高額医療費制度で1か月の医療費自己負担が10万円程度になるのです。

高額医療費限度額認定証の交付を受ける

  • 自営業者など国民健康保険の人は住んでいる市区町村に申請

  • 会社員など健康保険の人は協会けんぽに申請

医療費が高額になりそうなとき、保険証と一緒に限度額認定証を医療機関の会計に提示することで1か月間(各月1日~末日)の医療費自己負担額が10万円程度になるのです。

くわしくはこちらの記事で解説

がんの治療は入院にかかる費用を含めたとしても、50万~100万円です。ムダな保険に入ってお金を失うことはやめて、貯金で備えましょう。今回例示したがん保険は保険料が月3,580円でしたね。がん保険に入るのではなく、この3,580円を毎月貯金すれば10年で43万円、20年で86万円貯まります。

これなら、高額医療費制度を利用して自己負担分を十分支払うことができますよね。もしがんにならなかったらこの貯金をほかのことにも使えます。

実際のがん保険を分析・検証すると、がん保険は入る必要がないことがわかりますね。保険外交員は高額医療費制度をお客に教えないようにしているのです。教えたらがん保険に入ってもらえませんからね・・・!

わたしたちがかけるべき保険は3つだけ

  1. 生命保険(死亡保障)

  2. 自動車保険(対人・対物賠償)

  3. 火災保険(建物、家財)

保険とは自分の持ち金で対応・賠償できないリスクに対してかけるのが原則です。



まとめ:がん保険はただのぼったくり保険、高額医療費制度を使おう!

今回は実際のがん保険の保障内容と、がん保険が不要である理由について解説しました。2人に1人はがんになるといわれていますが、たくさんの人が保険金を請求すると保険会社はつぶれてしまいますよね。保険会社ががん保険を販売しながら事業を継続できるのは、今回解説したがん保険のしくみ、すなわち「高い保険料で低い保障」になっているからです。契約後、一定期間を過ぎると受け取る保険金より払い込む保険料のほうが多くなっているのはなかなかショッキングだったのではないでしょうか。「お金がないから保険に入る」という理論が一般的に意識されがちですが、実際は「意味のない保険に入ってムダに掛け金を払っているからお金がない」という逆効果になっているわけです。がんの治療にかかる費用は、そもそも自分で用意できる額です。いらない保険とサヨナラして、家計の支出をスリムにしていきましょう。

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