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小説講座:第16回 書籍を実際に作る時の話

今回は、小説で書籍を実際に作る際に注意することとか書こうかなーと思います。
運良く書籍化して、実際に本を作るとき、どういう工程になるのかな、みたいなそういう。

ちょうど先日自分の本が出たばかりですし(╹◡╹)

また、挿絵としてもいろいろ関わってたりなので、そこそこ紹介は出来るかなあと。

そんなわけで、大事な心構えとか、実際の工程でこの辺は知っておくと便利なんじゃないかなというところなどを取り上げたいなーと思います。
そういう点を踏まえつつ、工程などの紹介がてら、ちょっとしたコツや戦略を紹介する、みたいな感じで。

なので、業界話として読んでもらえると幸いです。
よろしくおねがいします。

とか言ってるけどかなりガチだぞこれ_(:3」∠)_


■まず前置き

事務的に書いてもいいんですが、そもそも本になるとはどういうことか、というのだけは先に書いておきます。

これ、やらかしちゃう人がいるので。


■本になるというのは、共同制作ということ

これ、創作において結構忘れがちになるんですが、が。
本にするというのは、共同制作物になるということです。

Webや公募などから実際に取り上げられて書籍化することが決まった時。
その瞬間からあなたの創作はあなた一人の創作物じゃなくなります。

その瞬間からあなたは他人と関わることを余儀なくされます。
社会活動としての「仕事」っていう側面を持つのですな。

つまり、個人だけの自由は利かないことが増えます。

これガチで忘れやすいし、そもそも「自分の創作が世間に認められたヤッター」ってなってる時は、本当に頭からスッポ抜けたりするんですが。

そもそも出版社は「あなたの創作を使って将来性を見込んで投資したい」ってだけなんです。
なので、すごい言い方をすると、もともとあなたを育てる義務も、面倒を見る義務もありません。

別にやましい気持ちで接してくるわけではないし、見込んだのも認めたのも本当で本物です。

ただ、出版社は作家ではないし、親でも先生でも師匠でもないんで。
イラストレーターやデザイナーも作家の奴隷ではないし、わがままを聞いてくれる道具でもないです。

出版社はあなたの代わりに、会社っていう社会的信用を本に与えて、全国に配ってくれるだけです。
イラストレーターやデザイナーも、あなたの代わりに、描けないビジュアル面を受け持ってくれるだけです。

個人が出来ない部分を代わりに背負ってくれるだけなので。

自分のために他人が何でもしてくれるようになるわけではない、ってのを書いておきます。

いやホント、作家として社会に認められた時は「ついに我が世の春来たれり! やっと俺にもモテ期到来!」みたいになりやすいんで。マジで。
(俺にはこれしかないとか、社会に爪痕を残したいとか、創作に自己実現や自己存在への依存性が強い場合は、特にそうなりやすい傾向)

嬉しいのは全然構わないし、それは素敵で素晴らしいことではあるんですが、が。

それはあなたの創作が社会の一員になったことを意味します。

社会って何かって言われたら、ひとりじゃなく、他人と関わって生きていくスタンスです。

一人で出来ないから分担する。
分担する代わりに、それぞれが不都合や面倒なことを少しずつ受け入れ合う。

そういう属性をOKする関係になった、ってのが社会です。
制作に複数人数がかかわること。一人で出来ない代わりにそれ以上のことが出来ること。
それが本にすることだと言っても過言ではないと思います。

もし可能なら自分で出版社を作って自分で絵を描いてデザインをして、自分で流通させ、自分で営業して、自分で本屋をすればいいので。
(ちなみに同人誌はそれに近いですが、それでも印刷代や場所代はお願いしています)

それが出来ないから、代わりにやってもらってる……ってのをまず念頭に置くのが結構大事だと思います。

こんな内容から始まってしまって申し訳ないと思うのですが。
でも、これでやらかす人がたまに出てくるので、知識だけでもまずは配っておこうかなと。

書籍にすることをOKしたとき。
それは自分だけの創作ではなくなることを、肯定したってことになるので。
(もちろんメインは自分なんですけども)

仲間に対して後ろから撃つようなことはしないようにしましょう。

書籍を出すってとき、個人事業主として一人会社の社長みたいな立場になったって考えると大体あってます。
使われる側でも使う側でもなく、仕事のパートナーなので!


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