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【ビールの本棚】ビール世界史紀行 ビール通のための15章

どんな分野にもある"入門書の次が専門書"問題。先日、とあるビール屋さんとそんな話題になりました。曰く「ビールのことを勉強しようとすると初心者向けか詳しい人向けの情報ばかり」と。その解になるかもしれないと思う一冊をご紹介します。

5000年以上の歴史をもち、世界中で飲まれているビール。メソポタミアでの発祥、修道院でのビール造り、そして日本への伝来まで、そのルーツと歴史をたどる。それぞれの時代の製法やマルチン・ルター、森鴎外など歴史上の人物とのかかわり、エールとラガーの違いなど、ビール好きなら知っておきたい知識もまじえ、ビールとその歴史を学ぶための決定版といえる一冊。便利な「ビール小事典」付き。

ビールにまつわるトピックを15の章に分け、その歴史的背景とともに説き明かしていきます。大学の講義に使う教材をまとめた講義録という成り立ちから、入門以上専門未満のギャップを埋めてくれるのではないかと思います。本書との出会いはキリンビール大学がきっかけでした。キリンビール大学も入門以上専門未満を埋めてくれる素晴らしいコンテンツと思いますが、その中でも興味深いと思うネタの参考文献として、本書の名前がそこかしこに登場していたのです。

ある程度のビールの知識があったほうが読みやすいとは思いますが、初心者でも十分に読めるわかりやすい文章。予備知識としてはむしろ世界史や地理を知っておくほうが役に立ちそうです。説明書きに「ルーツと背景をたどる」とありますが編年体ではありません。それぞれの章は多数の小見出しが付いていますので、隙間時間に少しずつ読み進める、なんて読み方もOK。

初版が発行されたのは2010年、元となった講義が行われたのが1998年頃ということで、ここ最近のクラフトビールブームについての記述はありません。また、ワーディングが現代の標準なそれとはやや異なる部分もあります。外国語をカタカナで表記する際にはある程度はぶれるものですが、気になる方はご注意を。

ということで今回は書籍のご紹介でした。それらしいタイトルを付けている通りシリーズ化していくつもりです。それでは。

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