生物はなぜ死ぬのか?
小林武彦の「生物はなぜ死ぬのか」を読んだ。
第1章では生物がなぜ誕生したのかについて簡単に説明されていた。
ビックバンから始まり地球の成り立ちを述べつつ、奇跡的な環境や奇跡的な確率により遺伝物質(RNAなど)の自己複製ができるようになったことにより、生物のタネが誕生していった。
第2章では、絶滅に関すること述べられていた。
最近は進化や絶滅の本をいくつか読んでいたので、共通する部分もあった。
第3章では、生物がどのように死ぬのかについて述べられていた。
生物の死に方には大きく分けて2通りあり、「アクシデント」による死 と 「寿命」による死があるらしい。
「アクシデント」による死とは、別の生物に食べられたり、病気になったり、飢えたりするなどや隕石や気候変動など外的要因の影響による死である。
「寿命」による死とは、文字通りの意味で遺伝的にプログラムされているもので、種によってその長さは異なる。
例外として、寿命のないプラナリアや生育の過程で若返ることのあるベニクラゲについても述べられていて、興味深かった。
生殖の際に自ら子どもに食べられて死ぬ昆虫や他の生物に食べられること前提で大量に増殖するハツカネズミなどの話も書いてあり、死に方や増え方にも生物それぞれの多様性があるなと改めて思った。
第4章では、ヒトはどのようにして死ぬのかが述べられていた。
現在の日本人の平均寿命は80歳以上であるが、2500年前は15歳ほどが平均寿命だったらしい、かなりの違いである。
国立がん研究センターのデータをもとにした資料によると55歳を超えるとがんによる死亡率が急上昇していることから、ゲノム自体の寿命は55歳とも考えられるとも書かれており、興味深かった。
細胞の老化の面からも死についても記載されていた。
ほとんどの細胞は約50回分裂すると死ぬらしい。
ゲノムやテロメア、DNAなどの専門的なことも解説されていたので、なんとなーくは仕組みはわかったような気がしないでもないように思える。
最終章では、タイトルにもある生物はなぜ死ぬのか についてがまとめられていた。
2章でも触れられていたが、多様性や進化(適応)のために、個体の死を踏まえた上での、遺伝情報の更新が重要になってくる。
新しいもののために古いものが死ぬ、当たり前のようだがやはりそれが死が必要な理由のようだ。
アンチエイジングに関する研究に関しても少し書かれていた。
糖尿病の治療に使われる薬を飲んでいた人々が長生きだったという報告があったりなど、その他にも様々な研究がなされているようで興味深かった。
食事の回数を減らすと健康に良いなどはよく言われているが、それについても少し触れられており、食事が減ることで栄養の摂取量が減り、代謝が落ち、それによって細胞の活動が低下して細胞の死が遅くなるのが要因として考えらるなと思った。
人は必ず死ぬ。
自分もいつか死ぬからこそ、科学的な死の仕組みや宗教的な死への考え方などについて、もっと知識を深めていきたい。
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