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寮 good のころ

独身寮時代が夢なんて、という話。

Belching Beaver の10周年銘柄を飲みました。

解説するのも野暮ですが、銘柄名は、ビーバーが造る Dam と俗語の Damn Good を掛けているのでしょうか。

桃のネクターのような風味を強く感じる銘柄で、かつ添加されたテルペン(香料などに用いられる植物精油の主成分)からくる「ダンク」さ、甘味も楽しめる銘柄で、マニアも、最近同社のビールに出会った人も、どちらも楽しめるように思いました。

飲みながら、ふと、そろそろ自分の社会人生活も満10年になる、ということに気づきました。Damn Good ・・・正直、程遠い。

程遠いのは間違いないのですが、似たような感慨はつい最近も抱いたような。そういえば一週間ほど前、勤務先の入社同期と代々木上原のスワンレイクビール直営店カフェ・ド・テテに行き、昔話などしながら閉店までゆったり飲んだのでした。

とても旨かったスワンレイクIPA

入社と同時に指定されたのは、当時すでに築50年近い独身寮でした。

その寮は千葉県の中西部で、当時の職場から1時間半ほどの立地。都内配属だと聞き、寮も23 区内にあると思いこんでいたところ、知らない路線の知らない駅名を指定され挨拶に行くよう指示されました。

高度成長時代の団地を思わせる鉄コン筋クリートな外観はともかく、リフォームの甲斐あり、内装はぱっと見、最近の築とも見間違えるような清潔感で一安心。部屋も、恐らく昔の2部屋を1部屋に改装したらしく、社会人一年目の部屋としては広々として快適でした。

それでも、実際に住んでみると、さすが築50年の寮。なかなか難しい側面が見えてきます。まず風呂、トイレ、洗濯は百人近くの居住者で共同利用(さらに、一人暮らし初体験勢が全てを滅茶苦茶に水浸しにする)。部屋の高窓・・・といえば聞こえはいいが、普通サイズの窓の上についてる小さな窓がやたら薄く、また隙間だらけ(近隣で竜巻騒動があったときは命の危険を感じた)。広々とした大浴場は広々としすぎて天井が5mくらいあり、必然、掃除が行き届かず、真っ黒になった天井からポタポタと水滴が垂れてくる(身体洗った意味!)。いや、全然ダメだな。

それでもトータルで、寮に入ったことはプラスだったと思っていて、特に、なかなか人と仲良くならない自分にとっては、今も飲みに行けるような同期の友人を何人も得られたことは幸運でした。みんな元々は地方出身者で、だらしのない飲兵衛、という属性が共通していたのも良かったかもしれません。金曜夜は毎週共用リビングで明け方まで飲み会をやり、上野で飲み、錦糸町で飲み、財布を紛失し、近くの市で飲み、タクシー代を折半し、近隣のビール祭りにも行きました。

それぞれの部署が離れていたので、当時は仕事で絡むこともなく、ほぼ愚痴と飲みの友達という感じでした。その分なんのわだかまりもなく付き合っていけました。寮を離れた後も、彼らとは前述のようにビールを飲みに行ったり、お互いの結婚式に出たり、今もなんだかんだ交流が続いています。

住めば都で、結局寮には3年以上いました。

私の勤務先も含めて、今は会社が運営する独身寮というのは減少し、借上げのアパートなどが代わりに提供されているようです。当然の流れだと思います。日常的に触れ合う人間関係なんかストレスになる場合の方が多いだろうし、仲良くなりたければ現代なりのやり方もあるでしょう。少なくとも、借上げアパートの方式なら、窓の隙間からの砂埃で咳喘息になったり、100人の男の汗が交雑する風呂のせいで見たことないタイプの水虫になったりすることは、ないでしょう。

とはいえ、どんどん世の中から少なくなっていく集団生活的なあり方に少しの期間にしろ触れられたのは、私にとっては面白い体験だったと思います。

という、decade のうち3年の話。別に続かない。

以上



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