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けやきひろばに行きました

3年ぶり復活となった「けやきひろばビール祭り」に行ってきました、という話。

去る5月13日(金)、さいたまスーパーアリーナで開催された「けやきひろばビール祭り」に行ってきた。日本最大級のビール祭りと称されるこのイベント、開催されるのは2019年以来。チケットは全て事前予約制の指定席、出店者数も’19年秋の半分以下という、昨今の状況に配慮した形。とはいえ、クラフトブルワリーを中心に36の出展者が一堂に会し、その様々な味覚と創意が楽しめるイベントというのは、ここ2年間は得難かった機会であり、多くのビールファンと同様、私も開催告知が出た時からとても楽しみにしていた。

そして事実、久々の「けやき」は楽しい経験だった。参加当日、仕事を早めに上がって、チケットは16:00からの2時間制。13日の金曜日に相応しく週末は大雨が予報されていたが、実際の北与野の天気は軽い雨降り程度。早足で駅からスーパーアリーナ……の、コミュニティアリーナのまどろっこしいゲートに向かう時点で、少々、日頃の運動不足由来とは違うタイプの鼓動の高鳴りを感じた。行きしなの自販機でミネラルウォーターに点灯する売切ランプ、すれ違う、当然勤務中の新都心ビジネスパーソン、そしてエントランスを通って見えた、待ちに待った大型ビアフェスの風景

黄色いビールグラス型バルーンが出迎える入口から見えるのは、各ブルワリーのブース、幟、そして多くはTシャツ姿の、注ぎ手売り手の活気ある姿。ビッグネーム、地方の実力派、気鋭の初出店。往年の同イベントからすると人出は確かに少なく、混雑らしい混雑は見られないが、老若男女が笑顔でビールを囲む光景は「けやき」復活を確かに印象づけた(乾杯の発声は、原義の「ルネッサ〜ンス」が良かったかもしれない)。物見・回遊しつつの「ながら飲み」もかつての醍醐味の一つだったが、今回は席以外での飲食は禁止。波々と注がれたプラカップを持ってソロリソロリ自席に向かうのも、ビルドバックベターを試されるこの時代に、美味いビールにありつくための一種の儀式……等と思えば乙ではある。自分の席は店舗ブースから離れたかなり端の方であり、さすがに苦労したが。

特に美味しいと感じたのは、反射炉ビヤの Border Crossers . 『ビール王国』誌上での、牛久醸造場・角井さんと反射炉ビヤ・山田さんの醸造家対談から生まれたコラボビールで、同レシピの品が牛久醸造場からも販売されている。発酵にワイン酵母を使っており、第一印象はリンゴ、白ブドウを想起させる華やかな香り。飲むと華やかさに加えて、果実味に少々のアルコールが載った芳醇なニュアンスが飲みごたえを生んでいる。 飲後感は白ワインのそれに近く、飲んでから鼻抜けまでのジャーニーでリフレッシュとリッチな充足を共に楽しめるよう。ペアリングのポテンシャルも高く秘めていると思う。

他の酒類と製法や原料を掛け合わせたビールはこれまでも多くあるが、時折「これだったら●●(掛け合わせ先の酒類)飲めばよくない?」というような品に当たることもある。しかし Border Crossers では、その種の折衷ゆえのブレやチグハグさを感じさせない。ワイン酵母を使ったビールだが、とても偉そうに言えば、足し算以上の、新しい風味と刺激の価値を創造している。そんな一杯だと思いました。

他には、那須高原ビールのスコティッシュエール、正直、名作ナインテイルドフォックスが売切のタイミングだったため試してみた銘柄だったが、期待以上に輪郭のクッキリした、ライトめな中にも香ばしさと深みを味わえる濃色エールで……といった具合に次々堪能し、2時間という限られた時間ではあったが、結局5社5銘柄と少々のおつまみ。満足満腹の状態で帰路に着くことができた。

で、ここまでが「けやき」感想の本編なんですが、イベントそのものというか、これを経た内面で少しグズグズした内容があったので、別記事にしました。ピンとこない方が多いであろう私的な話なのですが、一応ご報告まで。



以下、飲んだビールの感想ツイートを一部貼っておきます。


あんまり関係ない話。

先月より「ビールの放課後(作業用)」というYoutube 音声番組に参加しています。だいたい隔週〜1月おきに、ゆるゆるとビールの話をしてまいります。ぜひ、日常の「ながら聴き」にお楽しみください。

以上


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