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20210806

 皮脂を食う魚を買ってきた、と父が言って、紐を引くと口が閉じるビニール製の、縁日で見るような袋を開くと、中に居たその魚数匹が宙を泳ぎ始めた。
 蛍光灯の紐や食器棚の取っ手や神棚、線香立てなどの側を漂った後、私の手の小指球に吸い付いて離れなくなった。しばらく、そう言うものか、と無頓着で居たが、吸い付く魚の数が増え、むず痒さが徐々に痛みに至って、痛みを訴えながら手を振る。いくら振っても離れない。痛みが増して手首に血が伝う。手を振る、血が顔に飛ぶ。魚は離れない。脂汗が出る、目が覚める




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