見出し画像

20211203

 飼っている瞳がガラスのネズミを、部屋で逃がしてしまった。襖の溝、すのこの隙間、絨毯の裏。懸命に探したが見つからない。よく金を借りにくる親戚のおばはん方が部屋に居て、居座り、役に立たない案を喚く。無視して、気付かずにネズミを踏んでしまわないよう細心の注意を払っていると、見つけて、手のひらの中でふくふくと暖かい。

 腹の裂けた虫ほどの大きさの猫が足元で両の前足を広げて横たわり、内蔵が床に引きずられている。
 戸棚の中では胴が鰻の獣がのたくっている。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?