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ニュースにもなった1984年のカブリオレ,ミッドシップを後ろから前から、外から子ベンツ

サラエボとLAでオリンピックが開催された1984年、公費によらず広告・放送収入で収支をまかなったロス五輪は後々五輪の商業化,巨大化に道を開きました。ロスと聞いて疑惑と続いたがこの年のワイドショーの新聞タイトル、グリコ森永をめぐる食品会社脅迫事件も大きな社会問題となり,お菓子の包装がとたんに厳重化されたのもこれ以降です。
そんなTVのニュースで相次ぎ国産の新車のデビューが報じられました1つはホンダシティに追加されたオシャレな都会派カブリオレ・バージョン、
もう一台はトヨタの国産車初のミドシップスポーツカーMR2でした。

シティカブリオはゴルフのそれに倣ったロールバー付き新世代のコンバーチブルでピニンファリナとの共同開発、久々に国産車でもオープン・ドライブが楽しめる車として,NHKのニュース番組も採り上げた程の注目度の高ささでした。今でも人気のホンダ車です。

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片やランボルギーニ・ミウラやフェラーリ365BBの様なミッドシップ配置のレイアウトで大衆車カローラの部品を利用した安価に素直な操縦が楽しめるドライビング・カー.MR2は前年のモーターショーに出品されたSV3そのもの、前輪駆動化が世界レベルで進む中、後輪の駆動力をコントロール出来る後輪駆動車を実現する一つのアプローチとしてフィアットX1/9の様にFFユニットをそのまま後方に移動したミッドシップ配置が将来の有望株と目されていたものです。

ニュースになったと言えば業界の注目を浴びたのは日産が国内生産したVW車サンタナも同様。オースチンとの提携以来となる欧州車国産化でしたが、提携関係はやがて解消,日本では忘れられた存在になって、中国市場に上陸後は彼方で最もポピュラーな欧州車のひとつとして生き延びています。


世界的なFF化、前輪駆動への移行期にあって、トヨタも日産も主要な量販車種のFF化を表明しており,トヨタは後輪駆動のまま残された大衆車スターレットをエンジンもろとも白紙から開発し前輪駆動化。若手の登竜門レースで絶大な人気を獲得しました。同時期には縦置きエンジンのまま前輪駆動化したコルサ、ターセルのシリーズも併売されており同クラスに2種類のFF用レイアウトが混在した形となっています。これはやがてコルサ一族がスターレットに倣って,E型エンジンを横置き配置にしたレイアウトに統一される事になる訳です。

軽自動車でも長く後輪駆動のまま忘れられた感のある三菱ミニカが大胆に変身を遂げました.ミニカF4以来、基本設計が変わったのは10数年ぶりの事で,やはりこの年2世代目に進化したアルトやミラに比べても見劣りしない斬新なデザインとターボで武装した高出力エンジンで注目を集めています。

スバルは軽のRexを拡幅してリッターカーに仕立てたジャスティをリリース,のちにはCVTを初搭載して日本車のAT化を加速させる存在に。

前輪駆動ではパイオニア的存在ともいえるスバル・レオーネはこの年,3代目に移行.サイズアップして時流にのった四角いシャープなデザインに生まれ変わりました.得意の4輪駆動ワゴンも装備を充実、パートタイム四駆の自動化などフルタイム4WDへの道を辿ります。この時点でスプリンターカリブと言う四輪駆動ワゴンをはじめシビックシャトルに四輪駆動車が追加されるなどライバル達もこの鉱脈に目をつけ始めたのが目立ちます。

四輪駆動の大御所のようなトヨタ・ランドクルーザーがこの年歴史的なモデルチェンジを断行しています。それまで続いて来たヨンマル系と呼ばれるデビュー時以来のスタイルを近代化したモダンなデザインに刷新。空調も完備した快適な運転環境が整いました。今尚続く70系の原型はこれ以来変わっていません。
フェンダーを傷付けたとしてもランプ類にダメージが及ばないよう考えられた独立したフロントフェンダーを持つのはヨンマル系由来でした。が、これは後年普通の形に改められます。
昔懐かしいヨンマル系は根強いファンも少なくなく後年FJクルーザーとして蘇るのですが...
北米でヒットしていた四輪駆動トラックのブーム,火付け役の一台ハイラックスにサーフと呼ばれる五人乗りワゴンが追加されます。2人乗り用の車体にFRPのルーフとリアシートを設けたカジュアルなランドクルーザーと見なすことも出来、日本でもファッション系RVとしてパジェロなどの人気に対抗します。

五輪の年はマークII三兄弟のモデルチェンジが恒例で,この時代においてはハイソカーと呼ばれ人気の頂点にありました。トヨタは創業から50年を迎えシェア50%を標榜する大販売合戦を仕掛けます。

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