1993夏・根室本線沿いをSRV250でツーリング


奥尻島を津波が襲った大きな地震に驚いた翌朝、日本海沿いの留萌本線を単行のキハ54が増毛方面に回送されてゆきます、ここは日本海を目の前に望む無人駅=礼受。使用済み貨車を待合所に誂えたほかは短いホームがあるだけ。目の前は国道231号を挟んで日本海の海面からほんの数メートルの標高です。一つ留萌よりの瀬越の駅は目の前に短い夏の間だけ賑わう瀬越の海水浴場に直結。日本海の海水浴場?というと冷水を我慢して・・・・の先入観がありますが対馬海峡を越えてやってくるのは対馬海流。黒潮並みの水温のまま、北日本まで流れてきます。だから湘南と同じように海で泳ぐことができます。寒いのは日没後の外気温のほうで、留萌の女の子たちが水着を買わない理由は(多分)ありません。

実のところ、昨夜は津波が心配で高台の公園でしばらく過ごしていました。街の人たちも続々車で押しかけ、ちょっとした混み具合に。でも真っ暗な海を見る限り津波らしきものはみえません。

ラジオで奥尻方面の甚大な被害を知るのは留萌の町を遠ざかってから後のことでした。向かっていたのは根室本線沿いのルートです。
北海道からほぼ全ての炭鉱が廃止され、炭鉱由来の町はさびれるばかり。深川から分岐する最初の拠点駅〜赤平は立派な駅舎を持っています。

現在は煉瓦造り風の新しい駅舎に改められていますが、旧駅舎もかつての繁栄を象徴するような立派なものだったと記憶しています。(新駅舎は1999落成の地域センターを内包する駅舎)単線なので列車の交換もできる複線ホーム、切符の購買もできたと記憶しています。

そばには使用を終えた住友鉱山の立坑やぐらがモニュメントのように聳え立ち、この街のメインエンジンだったことを窺わせます。
さらに根室本線沿いに富良野方面へ進むと茂尻、平岸という無人駅。

茂尻の駅はやはり列車の交換ができる2本のホームとそれを繋ぐ跨線橋、待合室を備えた平屋の駅舎がありますが、ご多分に漏れず無人駅。22時を過ぎて到着する最終列車からも地元高校生が何人も降りてゆきます。
駅前に広がる町内を見下ろすように高台に位置した駅舎の前にはロータリーが敷設できそうな広い車よせ。赤平のベットタウンだったのでしょうか?誇らしげな佇まいが無人駅とは・・・・


ここからはもう一つの炭鉱の街、芦別に向かって国道、空知川、根室本線が並行して平地を進んでいきます。
芦別を目指したのはテーマパーク=カナディアンワールドの写真を撮るためでした。時は90年代初頭、ハウステンボスを筆頭に全国にテーマパークが乱立した時代です。ここ北海道にもヨーロッパの古い住宅群を模した建物と、赤毛のアンをイメージしたカナダっぽい風景が出現していました。東京ドームシティよりやや広そうな敷地は山間地のなか、芦別駅前の繁華街からはちょっと離れた場所にあります。

大きなボウル状の敷地はもともと露天掘りの採掘現場だったところ。
アンの家があったり、パスポートを模した入場チケットがあったり、一見すると西欧の街並みをバックに写真を撮ってきたの?と聞かれるような映えスポットでした。経営破綻後閉園したとニュースで知りましたが、市営公演」に移管後現在は自主再開されています。関係者のみなさんの努力には頭が下がる思いですが、素晴らしいロケーションと施設群なので、とりわけコスプレの撮影場所を探しているグループにも訪問をお勧めしたい場所の一つです。

もう一つ、別の時期に訪れたテーマパークを紹介しておくと、帯広空港のすぐ隣に存在したグリュック王国が思い出されます。ドイツの古い建物群を集めたテーマパークでした。が、リーマン・ショックの前に閉鎖。こちらはそのまま手付かずで立ち入りが禁止されています。建物は残っているようなので再開を望みたいところですが、帯広市内ならともかく空港の至近距離ではタイミング的に立ち寄るのが難しいのでしょうか?鉄道利用者には背を向けたような立地も災いしたのかもしれません。設計施工は本物志向だっただけに、惜しまれる観光遺産です。(現状で公開したらホーンテッド・マンションにしかならないかもしれませんが)

順序が前後しますが三笠にある鉄道記念館も紹介しておきたいテーマパークの一環です。館内展示よりも屋外に展示された車両の方に魅力を感じます。北海道の特急ネットワークを構築したキハ82系が車両単位ではなく、編成単位で見られる場所は他に思いつきません。北海道のある種主役だったキハ22や旧型客車もそそられます。さらには北海道発祥の急行型気動車27・56系やDD51といったお馴染みの役者も。
もともと三笠は小樽と鉄道で繋がっていた古い路線の一部。だから車両の輸送も昔は自走や配給輸送が可能だった訳です。編成ごと展示できたのもこんな成り立ちがあっての事。旧広尾線だった幸福駅にキハが展示されているのも同様・・・・・現役時代が偲ばれます

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