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利益は誰のもの?

今日は損益計算書の中でも利益に着目して整理したいと思う。
損益計算書は財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)のうちの1つで、その会社が1年間の活動でどれだけの利益を上げているかってのを計算している表のこと。

よく『損益計算書は企業の成績表』なんて言われたりもする。まあ、1年間の活動を数値に置き換えてみている表なので確かに成績表みたいなもんだけど、儲かっているから良くて赤字だから悪いって単純な判断にはならない。

『利益』を計算する表ってことなんだけど、その『利益』には5種類ある。
・売上総利益
・営業利益
・経常利益
・税金等調整前当期利益
・当期利益
という感じ。

まず、『売上総利益』は売上高から原価を引いたもの、粗利(あらり)なんて呼ばれたりする。売上総利益を売上高で割った(売上総利益÷売上高)のが売上総利益率とか粗利益率と呼ばれるもの。この率が高ければ高いほど、その商品やサービスに競争力があるという感じ。例えば、ユニクロのTシャツと高級ブランドのTシャツだと元々の材料費はそれほど大差ないと思うけど、売ってる値段は10倍以上って感じだと思う。それだけの値段を出してもそのロゴマークを欲しがる人がいるってことだね。

次の『営業利益』は、売上総利益から販売管理費と言われるいわゆる活動費を引いたもので、本業の実力を表しているといわれる。売上高営業利益率(営業利益÷売上高)が高ければ、本業で儲ける力が強いってこと。例えば、一般的にメーカーは商社より営業利益率が高い。メーカーはモノを作って付加価値をつけて販売していて、商社は薄利多売で転売する商売だから。

本業の儲けである『営業利益』に利息や本業以外の損益を加減したのが『経常利益』で経常的に得られる利益ってこと。他社の株式を保有していてその配当金があったり、銀行から借入していて利息を支払ったりという本業での活動以外の収入や支出などのことで、借金が多い会社は営業利益>経常利益という感じになる。

『税金等調整前当期利益』っていうのは読んで字のごとくなんだけど、経常利益に臨時で巨額な特別損益を加減したもの。例えば、店舗を閉店するので持っていた厨房機器を売却した時の儲けや損だったり、借りていた店舗をスケルトンで返却するための現状回復費用とか、大地震で店舗が倒壊したとかなど、めったに起きなくて金額が大きくなる損益のこと。ちょっと業績が悪くなってきた外食企業は『減損損失』ってのを計上しないといけなくなるので特別損失が大きく膨らみ、経常利益では黒字だったのに税金等調整前当期利益では赤字になる、なんてこともある。

最後が『当期利益』で税金等調整前当期利益から法人税を引いて残った利益のこと。これが株主への配当や翌期以降の投資の源泉になる。

これらの利益はステークホルダーを基準に考えるのもわかりやすいと思う。ステークホルダーとは企業活動を行う上で関わるすべての人のことで取引先、従業員、地域住民、金融機関、官公庁、株主などなど。
売上高からは取引先(いわゆる仕入先)が取り分を取って残ったのが『売上総利益』で、そこから従業員や取引先などが取り分を取って残ったのが『営業利益』、金融機関の利息などがそこから取られて残ったのが『経常利益』、そこから税金を納めて残ったのが『当期利益』で、これを株主がとっていく、という感じ。逆にわかりにくいか(笑)

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