読書感想 #11
守屋洋さんの『孫子の兵法』
いまさら感があるし、今までも何度か読んだ気がするが、改めて読んでみた。
こんなすごい本が2500年以上前に書かれていたって信じられない。
もちろん兵法書なので戦争を想定して書かれているものだけど、企業経営や組織論なんかにも当然応用ができる。
それだけ、 人間の本質をとらえた書籍であるということなんだろうけど、逆にいうと2500年経っても人間の本質はあんまり変わらないってことなのかな?
『風林火山』や『彼を知り己を知れば百戦殆からず』とか有名な名言もたくさん書かれているけど、これ、ほとんどが名言と言っても過言ではないと思う。
その中でもいくつか心に残った言葉を記しておきたい。
『謀攻編』に『勝算がなければ戦わない』という言葉がある。当たり前だと思うような内容だけど、これを実践できている企業は本当に少ない気がする。
『現代の企業経営においても、ゴー・サインは誰にでも出しやすい。トップとしての資質が問われるのは、形勢利あらず、劣勢に立たされたときの判断である。撤退の時期を誤らないことこそすぐれた経営者の条件といえる。』とも書かれている。
自分たちで苦労して作り上げた自慢の商品や店舗からの撤退をタイムリーに決断できるって、かなり大変なことだと思う。ついつい、もう少ししたら回復すると思ってしまいズルズルと負けを長引かせてしまうというのを目の当たりにしてきた。
また、同じ章に『補佐役の力を引き出せるかどうかは、トップの出方いかんにかかっている』とも書かれている。
結局トップの器以上に会社は大きくならないというのと同じだと思う。トップが将軍(補佐役であり、現場のトップ)を差し置いてよけいな口出しをすれば、当然現場は混乱するし、士気も下がる。そして最後には競合に負けてしまう。
まさにその通りだと思う。
『軍形編』には『先ず勝つべからざるをなして、もって敵の勝つべきを待つ』という言葉がある。
いきなり攻撃するのではなく、まず万全の守りを固め、その上で、相手の隙を見出して、攻撃に転ずるべきである、と。
ここは本当に大きな声で伝えたい!!
自ら創業した社長さん達は、過去の成功体験もあり、自分に自信もあるから、とにかくガンガン攻撃(売上獲得や新規出店)に出たがる。
気持ちはわかる。
『兵は拙速を聞く』とも言うし、意思決定のスピード感は大事だ!
それでも、本拠地(バックオフィス)の守りがそんなに手薄で攻めてしまっては、手痛い反撃を食らってしまう、もしくは自滅してしまうよ!と心配になってしまう。
売上を生み出さないバックオフィスにお金をかけたくないという気持ちは良くわかる。
それでも、そこをバランス良く対応している企業が生き残っているんだと思っている。
飲食店はこれからますます厳しい時代になっていくと思うので、全てを癒す売上が欲しい気持ちは良くわかるが、その前に、守りを固めておくことをオススメしたい。
まだまだ、たくさんの名言がある。社会人経験を積んできて初めて理解できる言葉もある。月並みだが座右の書にしよう。
久々に書くことができた。
せっかく『書く習慣』が身についてきたと思ったら、本業でバタバタして書くことが途絶えてしまった。反省し今後につなげたい。