ご近所で、あちこちに春の花が咲いていることを、教えてもらった日。
2階の部屋で、作業をしていたら、1階から妻に声をかけられた。
「ウグイスが鳴いてる」。
ウグイスの声
階段を降りて、外へ出て、耳を澄ます。
少し遠いところの葉桜になりかかっている桜並木のあたりから、ちょっと鳴き声が聞こえる。
ケキョ。
ケキョ、ケキョ。
しばらく道路にいたけれど、それ以上は、その時は聞こえなかったが、他の機会に、聞こえてきた。
ホーホケキョ。
とてもはっきりとして、声も強かった。
妻によると、今年はウグイスが、この近所では多いらしく、それも声が強いから、最初はテープで流していると思ったらしい。
改めて、ウグイスは変わった鳴き声だと思った。
マンサクの花
「知ってる? マンサクの花咲いてるよ」
ぼんやりとした記憶しかない花の名前を妻に言われ、だけど、その花びらのことを、妻は「ハタキの先みたい」という表現をしているし、それで、花が咲いている期間は限られているとも思ったので、見に行きたいと思った。
家からちょっとだけ離れているので、気にしすぎかもしれないけれど、二人で出かけると、家のカギも閉めないといけなくて、だから、妻には家の前にいてもらって、そこから、私はリモートコントロールされるように、マンサクの花を見にいくことにした。
家を出て、まっすぐ歩く。
この時点では、花は見えない。
短く刈り取られたイチョウ並木の下を歩く。
「セブンイレブンの向かいの感じ」。
そう言われて、家から一番近いコンビニの小さい十字路を右に曲がる。
左にコンビニ。右にはマンション。
「そのマンションのすぐそばに、3本くらいあるから」
そんなことを言われていたのだけど、最初は分からなかったのは、マンサクの花、という響きで、なんとなくコブシの花、とイメージを重ねていて、だから白い花を探していたせいだった。
マンサクの花は赤かった。
ハタキの先、と言われていたので、見つかったが、それはハタキという、道具のような感じではなく、花はハチや虫を誘惑している、といった表現の方がピッタリするような気配があって、その赤さが空間に少しはみ出しているようにも見えた。
これだけ、周囲にアピールしているような花なのに、近くを通りかかっているのに、気がつかなったし、妻に教えてもらわなかったから、分からないままだった。
何枚か写真も撮ったけれど、日陰になっているせいか、こんなに明るいのにフラッシュがたかれてしまった。
それから、戻っていき、道路に立って、待っていてくれた妻に声をかけ、おかげで見られたことにお礼を言い、花の色が白だと思い込んでいたことも伝えたら、ちょっと不思議な顔をされた。
花が赤いことは、当然だと思っていたせいらしい。
ご近所の花々
それから、さらにご近所の家の庭に、藤の花が咲いているのを、妻に教えてもらう。
こんなにそばに、こんなきれいな色で、今、咲いているのを知らなかった。
ちょうど通りかかったご近所の男性に、妻が声をかけたら、その人も、何度も通っているはずなのに、気がついていなかったらしい。
確かに、注意が向かないと、分からないと、自分でも思った。
さらに、違うご近所の庭には、ハマミズキの白い花が咲いていることも、妻に促されて、初めて知った。
他にも、気がつけば、いろいろな花が咲いているし、思った以上の多彩な色が、おそらくは駅まで歩く10分足らずの時間にもあふれているのだろうと思った。
でも、視界に入っているのに、注意が向かないと気がつかないのを、改めて知った。
人によって、見ている世界は、たぶん、全く違うのだろう。
家のハナズオウは、妻がかなり刈り込んでくれたのだけど、それでも、小さく花が咲いていた。
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