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買い替えた「財布」が、満足感が高い理由

 夏を過ぎた頃から、財布の痛みが気になっていた。
 ズボンの尻の左ポケットにいつも入れているから、汗かきなので、財布まで湿ることまであり、それによって劣化も進んでしまっていた。

 改めて見ないと、気が付きにくいし、多少、ボロくなっても、いろいろなことに目をつぶれば、さらに使い続けることもできたのだけど、家にいる機会が増え、ただ机に置いてある財布を見る回数が増えたせいか、その痛みが気になったのだと思う。

 さらには、自分が使っている財布の色と、家計のための財布の色が、とても似ていて、それで間違えることも多くなったことも、買い替える気持ちが後押しされた。

無印良品の財布

 それまで、何代かは、無印の財布を使い続けてきた。
 1万円以下で買えるし、目立つようなマークもなく、使いやすくもあったし、2つ折りのサイズがちょうどポケットに入りやすかったので、ありがたかった。
 
 生成りの革製があって、いつも、買おうかどうかを一瞬迷うのだけど、それを妻に少し打診すると、汚れやすい、といったことで反対されて、すぐに引っ込めていた。その商品の広告写真を見ると、最初とは違って、使い込むことで色合いがかなり変わっている財布も写されていて、そういうものに、ミーハーだけど、古くなって味があるというメリットを感じたい、という浅ましい心もあったのだけど、そんなに本気でなかったせいか、ちょっとした反対を受けると、くじけるのも早かった。

 だから、オーソドックスな茶色と黒色を交互に使い続けていたと思う。
 同時に、毎回、微妙にデザインも変わっていて、気に入り方の程度も少し変わるものの、それでも、生活の中で使う分には、特に不満もなかった。

「春財布」の記憶

 これは、一般的でないのかもしれないけれど、妻に教えてもらったのが「春財布」のことだった。
 それは、財布は自分で買うよりも、自分よりも収入が高い人から、春にもらう方がいいよ、という話だった。

 そして、その言葉に従うように、妻から何度か財布をもらった記憶があって、その時は、私の方が収入も低かったし、何しろ、そういう気持ちはうれしかった。

 学生の頃は、財布は布製だったりもしたし、社会人でも若い頃は、今よりも少しはいろいろなデザインのものも買ったりもしていた。

 ときおり、持っている財布の〇〇倍が収入になるから、なるべく自分が買える範囲で高いものを買った方がいい、といった言い伝えを聞いたり、長財布の方が、お金が居心地がいいから長財布がいい、という「法則」のようなものを耳にしたこともあったけれど、そうしたことはほぼ気にならずに、ある年齢からは、ずっと2つ折りの皮の財布で、黒か茶色のなるべく目立たない財布を使い続けた。それは、道具、という気持ちが強くなっていたような気がする。

新しく買い替えるときに思い出したこと

 そして、また買い替える時期になったと思って、コロナ禍になっていた時だったから、一度、無印良品のショップに何かのついでに行って、財布のことを聞いた時には、トラベル用の布製しかありませんが、と言われる。それが続いたので、サイトを確認したら、その時には、革製の財布がなかった。

 この前、ショップに行った時もなかったし、もしかしたら、これから先も「無印」は革製の財布を取り扱わなくなるのではないか、などと思った。

 そうなると、他で買ったことがここ何年もなかったので、たちまち、ちょっと困ってしまった。いい歳になって、恥ずかしい話だけど、買い物のバリエーションが、無印とユニクロで、ほとんどが占められていて、あとは百円均一ショップに頼っていた。

 その時、自分が密かに決意していたことを、急に思い出した。

 何かブランドものを買う機会があった時は、「ディーゼル」で購入しようとしていたことだった。

ギャラリーへの「恩返し」な気持ち

 渋谷に「ディーゼル」があって、そこに行ったことがある。
 それは、そこにギャラリーがあったからで、そのブランドやファッションに興味があったわけではなかった。

 だけど、何年か前に複数回、ショップをうつむき加減で早足で通り過ぎて、そのギャラリーに行った。「お客」としては無力だったし、それも、分かっているはずだったのに、そのギャラリーに在廊しているスタッフが、展示されている作品について、とても正直に、だけどわかりやすく、さらには、アートが好きで説明していることも伝わってきたので、作品を見ることも含めて、そのギャラリーにいる時間が楽しく、新鮮だった。

 だから、今はこのショップで買う財力も、自分が似合いそうなものもないのだけど、何かあったら、「ディーゼル」で買おうという気持ちになっていたことを、何年かたっていたのだけど、思い出した。

 財布を買おうとして、無印では売っていないと思った時に、押し付けがましいのかもしれないけれど、あの時の「恩返しな気持ち」もあって、「ディーゼル」で買おうと思った。

満足感が高い理由

 サイトを見て、財布を探し、なるべく目立たないものを探して、いくつかに絞って、大体、これにしようと決めてから、妻に相談をした。
 私が第一候補に決めていたものは、とにかく一色の商品だったけれど、そうではなく、全体は黒だけど、2つ折りの財布の、開いて、小銭入れになっている部分が緑色になっているのを、明らかに妻に賛成された。

 それは、貧乏な自分としては、1万円を軽く超える価格でもあったし、色が入っていることで、自分には、似合わないのではないか、といったことも考えたりもしたけれど、そこで、さらに妻が思い出させてくれたのは、確か、プレゼントとしてもらった財布が、全体が茶色で、小銭入れのところが、同じように緑色だったことで、それを使っている時の気持ちだった。

 その時は、財布を使うたびに、その財布のその色が目に入り、それが、微妙だけど刺激になっていて、そういうアクセントがちょっと気持ちよかったことだった。

 迷って、他の色も見て、だけど、結局は、黒で、その部分が緑色のものにした。
 さらに、包装も、さらにお金がかかるものの、プレゼント仕様にして、注文をした。

 荷物が届いて、開けると、包装が素直にかっこよく思えて、そして、うれしくて、気持ちがちょっと浮き立った。コロナ禍で外出をなるべく控えているから、余計に、そんな思いになったのかもしれない。


(私が購入したものと、全く同じ製品は今は販売されていないようですが、これ↓も2色を使っているので、かなり感じは似ていると思いました)。


 財布が入っていた袋は、カッコよかったのだけど、自分には使いこなせないと思って、妻に使ってもらうことにした。そして、実際に、財布を使い始めた。値段はいつもの自分のものと比べたら、かなり高額だったものの、使うと、その緑色が目に入り、とても微妙だけど、やっぱり気持ちがよかった。さらに、肌触りが柔らかく、ズボンのポケットからもスムーズで取り出しやすかった。

 だから、外出は減っているままだけど、使い心地がいいので、何ヶ月かたった今でも、満足感の高さが続いている。

 何かを買うときに、少し前だけでなくて、もっと遡って、その品物が気持ちよかった「自分史」を慎重に思い出すと、満足できる買い物ができる確率を高められる、ということなのかもしれない。



(ちなみに、無印良品は、今は革製の財布も売っています。3つ折りの革製は、ちょっと気持ちが動きました)。




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