20年間無敗の雀鬼・桜井章一が、「強さ」について語った意外な言葉の記憶。
麻雀というゲームがよくわからない。
個人的には、将棋や囲碁やトランプなど、どちらかといえば、そういうルールのある戦略性のあるものが、全て理解力が届いてない。
麻雀で、同じ種類の牌が並ぶと、どうしたらいいか分からなくなるので、単純に、そうしたことに対して私は「頭が悪い」のだと思う。
「雀鬼」という存在
それでも、麻雀漫画は好きな作品がある。
「哭きの竜」や、「アカギ」は、私のように麻雀がよくわかっていなくても、とても面白く読めるのは、絵に魅力があったり、人の描かれ方が優れていると思うので、好みは分かれるけれど、人にも勧められると思う。
そんな漫画を読んでいたせいか、どこかで、「裏の麻雀界で、20年無敗の雀鬼」がいる、と知った。そんな、それこそ「マンガ」のような存在は、信じられなかったし、それは、とても怖い世界のことだと感じ、あまりにも自分から遠いと思っていた。
だから、そういう人の存在自体を知ることもないと思っていた。
テレビで見た「雀鬼」
ただ、どの番組か覚えていないけれど、その「雀鬼」を見ることがあった。
もしかしたら、昔のテレビの方が、様々な人が出演していた、ということかもしれない。
画面を通して見ただけなので、どこまで分かったかは自信もないが、凄みはあったものの、どこか澄んだ印象が伝わってきて、それは、自分にとっては意外だった。それで、その人の言葉に対して、かなり興味を持てた。
背筋が伸び、そして、口数はあまり多くないけれど、必要なことは話す。
そんな人にも見えた。
強さについて語った言葉
そして、何かについて、出演者が、一斉に答える、というコーナーになり、その内容の記憶はあいまいになってしまっているが、桜井章一氏の答えについて、比較的、はっきりと覚えているのは、その時に意外と思ったのと同時に、かなり納得したからだった。(少し表現は違うかもしれません)。
「心が、ぬくいのが最強」
強さについて、桜井章一氏は、そのように短い言葉で表現し、それについて、長く説明もしなかったから、あとは視聴者が自分で考えるしかなかったのだけど、その考える時間も、楽しかった。
私自身の「勝負師」のイメージはとにかく「冷静」であることだった。どのような状況でもあっても、そして、それが自分にとって「追い詰められている」場合であっても、今の状況を正確に把握し続けることができないと、勝負に勝つことはできない。
だから、どこまでもクールで、下手をすれば、「冷たい」イメージまであったから、「勝負師」から「心がぬくい」という言葉が出てくるのが、意外でもあったけれど、少し考えると、ほんのちょっと分かるような気がしてきた。
「心の温かさ」と「強さ」の関係
どんな勝負事であっても、基本的には「人間」が相手になる。
相手が、どのようなことを考えているのか。
それが分からなければ、勝つこともできない。
もしも、クールを極めて「冷たい」人間になってしまったら、実は、人の心が分からなくなるのではないか。
人の心は、比喩的に言えば、温かくなったり、冷たくなったりする。その気持ちの変化に対して、もし、少しでも理解しようとするのであれば、その「気持ちの温度変化」に対して、自分の気持ちも変化させないと、難しいのではないか。
冷たく、人の心と距離をとって、現象にだけ注意を払い、集中していれば、相手の心の動きまでわかる、というのではなく、自分の心も温かいところがないと、人の気持ちの変化に気がつかない。
気持ちの温かさが、勝負に勝つことにも必要というのは、勝負を極めるのにマシーンになってはダメだし、同時に、本当に強い人は、自分の心の温かさも勝負に使うと考えると、そこは凄みだけではなく、怖さも感じた。
それでも、桜井章一氏の言葉を逆に解釈すれば、「心が冷たい人間は弱い」とも言えるから、それについては、勝手に自分に引き寄せて考えると、冷たく合理的に進まなくてもいいと思えて、それは、ちょっとありがたかった。
それから、書籍も読んだ。
読んでよかった。
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