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「孤独な危機感かもしれない」。2020.12.5.

 ここ何日かは、コロナに関して、重症化という言葉をよく聞くようになり、かなり怖さが増している。死亡者も増えているというニュースも聞く機会が多くなったように思う。

小雨の土曜日

 すっかり寒くなった。

 朝のテレビで、100円均一のショップのランキングを紹介していて、マスク入れが、すでに人気商品になっていることを知る。

 いつものように、午前9時前に家を出る。
 とても寒い。1月くらいの気温らしい。

 灰色の空で、微妙な小雨が降っているようだ。
 カサをさすかどうか迷って、外へ出てから、やっぱりカサをさして、歩き出す。

 駅まで向かう時に、いつもより、すれ違う人が少ない気がする。
 途中の美容院は開店準備をしていて、駅前の1000円カットを待つ人は寒いせいか、誰もいなかった。

 ホームにつくと、10人くらいの人たちは、みんなスマホをさわっている。
 若い背の高い男性は、おにぎりを食べている。
 元気そうだ。

 電車に乗ると、それなりに混んでいて、これだけ寒くなってきても窓は開いている。でも、いつもと同じような土曜日に見える。
 私鉄のターミナル駅に着いて、降りて、人がたくさん歩いて、改札を出て、また改札に入って、そこにあるアルコールを使ったのは、今日も私一人だった。

孤独な危機感

 電車を乗り換える。
 ここの窓は開いていない。

 立っている若い男性が重めのセキをしている。
 こわい。その男性は、そのまま、優先席に座った。

 ある病院のPCR検査の広告が少し増えている。
 値段は1回、15000円。自宅で検査。24時間以内。
 そんな言葉を見ると、この病院は儲かっているのではないか、という邪推をしてしまうが、この前の広告は、イラストだったけど、今日は、私も知っているタレントを起用しているし、同じ内容をテレビコマーシャルでも見た。

 それをぼんやり見ていたら、つり革につかまってしまい、焦って、すぐにはなす。

 今度は、違う座席の若い男性が、くしゃみを2回続けてする。
 こわい。

 次の駅について、乗ってきた幼稚園くらいの男の子と、おそらく母親。
 空いている席に、電車が何両も走っている模様の上着を着た男の子は、すぐにヒザ立ちで、窓の外を見ている。

 さっきセキをして優先席に座った若い男性は、マスクをはずして、ティッシュを片手に持っていて、前屈みで、少しぐったりしているように見える。
 
 また、電車がスタートして、過ぎ去る駅のホームが見えて、ベンチに完全に体を預け、傾き、酔っ払いによく見る姿勢で寝ている姿が遠ざかっていく。

 自分だけが、危機感を持って、びくびくしているのかもしれない、と思う。駅を降りたら、さっき、つり革をつかんでしまったから、トイレに寄って、石けんで手を洗う。

 駅について、構内を出ると、人はけっこう多く歩いていて、やっぱりカサをさしていたり、さしていなかったりする。たぶん、さしている人のほうが、微妙に少ないような割合だった。

夕方の電車

 用事が終わって、午後4時頃、駅へ向かう。
 曇り空の灰色は朝方より濃くなっているし、もう薄暗い。

 新しいビルの間には、クリスマスに向けてのイルミネーションが輝いていて、そこを歩く人たちを見ていると、自分だけが、怖がっているのかと、それで、不安になる。勝手に危機感を募らせているのだろうか。

 それでも、家族は持病を持っていて、重症化リスクが高いから、私も感染を避けたい。もし、私よりも、持病を持つ家族が感染したら、どうしよう。
 今の感じだと、もし重症化しても、医療崩壊という言葉とともに、結果として、切り捨てられることがありそうで、そう想像すると、やっぱり怖い。

 こんな状況で、トリアージといった「命の選別」のような言葉を、率先して発し始める政治家がいると、そんな不安だけがふくらむ。そんなことをしないですむようにするのが、政治のはずだけど、と無力な人間は思う。

 駅について、電車に乗ると、車両の真ん中に浅黒い短髪のがっしりした中年男性が仁王立ちのようにいるから、それを避けて、そこから遠い場所に移動する。

 孤独に危機感を募らせていると思っているけど、でも、今日は、ここまでマスクをしていなかった人を目撃したのは、一人だけだったのを、思い出す。

ドアの上のニュース

 電車のドアの上の小さい画面で、ニュースが流れる。

 ひとり親支援
 505人重症。死者45人。過去最多。
 ワクチンのこと。
 後期高齢者の医療負担2割の線引き。

 それが終わると、また旅に誘うようなCMの画面が多く流れていく。
 こんな状況で、旅に出ていく意味を考えると、こわいし、感染拡大防止を考えると、明らかにおかしなことが続いている。
 明日も冬本番のような気候だという天気予報がその後に流れる。

日常的な光景

 次の駅に着くと、蛍光色の明るい色のスニーカーをはき、黒いマスクをした若い男性が乗ってきて、空席に座る。

 すぐに、マスクをずらし、ペットボトルの飲み物を飲み始めると、目を閉じて、すごくおいしそうに、しみるような表情をして、飲み下してから、目をあける。それを何度か続けているけど、たぶんほうじ茶のような飲み物が、そんなにおいしいのだろうか、と思うほどの表情をしている。耳には白いイヤホンをして、何かを聞いているのだろう。

 駅について、電車を降りる。

 その電車に乗るために、ホームを走る人たちがいる。
 発車のベルが鳴り始めた頃、階段を急いで降りてくる人たちもいる。

 その一番うしろから降りてきたのは、おさえたオレンジ色のロングスカートのすそが下につかないように、右手でスカートを少しつまむように持ち上げる姿がきれいな若い女性だった。階段ですれ違い、振り向いたら、ぎりぎりで間に合わなかったようだ。

 日常的な光景だった。


 重症患者が、また過去最多になったのをニュースで知った。



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