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「ゆうちょ銀行」の手数料が、やっぱり納得がいかない理由を考えた。

 一番近い駅前にある郵便局が閉まってしまった。そこにあったポストまで移動して、次にいつ再開するかがよく分からなかったし、他の郵便局は、ほぼ行ったことがなかったから、実際より遠く感じて、なるべく行かないようにしていた。

隣町

 それでも、ゆうちょ銀行を振込先に指定されることなどもあり、どうしても、行く機会ができてしまったのは、6月になると、国民健康保険など、公共料金の支払いが重なるからだった。

 その時、少し小高い場所よりも、広い道路に面した郵便局の方が、お金をおろして持ち帰るときは、それほどの大金でないとしても、防犯上のことを考えて、そちらに出かけることにした。

 自転車で10分くらいだけど、考えたら、一度も行ったことがなく、その道路を病院に行くときなどに通っているはずなのに、そこに郵便局があったことを覚えていない。

 天気予報を見て、雨が降らないはずの時間帯に出かけたのに、本当にポツポツと雨が降り始めて、だから、家に戻って、フードのついたウインドブレーカーを着ることにして、私は自転車で、隣町の病院に行く妻は歩きで、一緒にスタートする。

 このところ、梅雨時とはいえ、天気予報を見て外出する時を決めるのに、今日もついさっきまでは雨マークがなかったのに、急に雨が降って、なんだか嫌になり、ついてないと思って、グチってしまいながら、自転車をこいだ。

郵便局

 隣町の病院までは妻と一緒に行って、そこから目的の郵便局に向かう。今の場所に住んでから20年以上経つのに、行ったことがなかった。

 勝手に、広い道路の、こちら側だと思っていたら、向こう側に見えたから、慌てて横断歩道を渡り、駐輪スペースもないけれど、道路の端に自転車を止める。先客が1台すでに止まっている。

 雨は少し降り続けている。

 外に2人、人が並んでいると思ったら、ATMを待っている人たちで、その後ろに私も並ぶ。屋根も何もなく、ただ外に立っているのと一緒で、中で操作している人が、職員さんを呼んでいるようで、かなりの時間がかかっている。本を読もうとも思ったけれど、雨で濡れそうで、迷っているうちに少しずつ人が減って、それでも結構待ってから、やっと自分の順番になった。

 中にはATMが1台しかなかった。

 比べても意味がないのだけど、これまでの地元の郵便局には2台はあったので、他も最低2台はあると思っていたから、やっぱり、あ、少ないとは思った。

 それで、今回は、いろいろな支払いもあるので、お金をおろして、それからいったん外へ出てから、今度は郵便局の中に入る。

支払い

 フダをとって、少しだけ待って、すぐに呼ばれて、そして支払いをする。

 持って行った、公共料金や健康保険なども含めて6種類くらいの用紙を渡して、あとは待つだけだと思っていたら、声をかけられた。

 ビニールの向こうで、用紙を2種類に分けて、話を始めてくれた。

「こちらは、税金関係ですので、手数料はかからないのですが、こちらは、一件あたり110円がかかります」。

 ガスや電気や電話代の支払いに、それだけのお金がかかることを、初めて知った。

 ちょっと混乱して「どうしてですか」と聞いた。
 
「今年の1月から、そのようになっています」。

 私が知りたいのは理由だったのだけど、さらに「キャッシュレス化のために」という、よく分からないことを言われて、そのあとに“何しろ決まったことなので”というニュアンスのことだけを繰り返された。

 受付をしてくれている人に言っても仕方がないのかもしれないが、それでも、郵便局で働く人なので、その人に言わないと、全く何も伝わらないと思って「納得はいきません」と伝えた。

 そして、「じゃあ、別の場所で支払います」と言って、何枚かの用紙を返してもらおうとして、話を続けた。

 「コンビニだとかからないんですね?」。「コンビニによっては、かかります」。「それなら、どうしたらいいんですか?」。「口座から引き落とすのであれば、手数料はかかりません」。

 いったんカバンにしまった通帳を出して、また手続きをした。

 現金だと、手数料を取られることになったのは、最後まで納得がいかなかった。

「ゆうちょ銀行」の「変化」

 今年の1月に「ゆうちょ銀行」に変化があり、それは、硬貨の取り扱いに手数料がかかることは知っていた。さらに、これまでかからなかったATMの手数料がかかるといったことがニュースになったけれど、恥ずかしながら詳しくは知らなかった。

ゆうちょ銀行は2022年1月17日より、一部規定の改定を発表。大きなメリットであったATM手数料を含むいくつかの内容が改定、利用者側からすれば「改悪」されることになりました。
なぜ、このタイミングで、ゆうちょ銀行は評判の悪くなることが容易に予想される改定に踏み切ったのでしょうか。
利用のメリットが失われて顧客流出の可能性もありますが、それでも踏み切らざるを得ないゆうちょ銀行側の理由があります。それは、年々厳しくなるゆうちょ銀行の経営環境です。
今後、資金利益の増大が見込めない中、経費を賄うためにゆうちょ銀行は顧客流出のリスクを冒してまで、今回、手数料の値上げに踏み切ったわけです。

 このように、現在、経営が厳しいから手数料を値上げします、もしくは、新しく手数料を取ります、といったスタンスだったら、納得がいった。そこにウソが少ないせいだ。

 この「変化」に対しては、さまざまな批判があるものの、私のように経済力の弱い人間には大した選択肢はないかもしれないが、それでも、ウソの少ない説明があれば、これからどうするかを、さまざまな記事にあるように、こちらで考えられるのに、と思った。

公式発表

「日本郵政グループ」が、2021年7月2日に「プレスリリース」を発表している。

『お客さまへの安定的なサービス提供に向けた料金の見直し・新設のお知らせ』
https://www.jp-bank.japanpost.jp/aboutus/press/2021/pdf/pr210702.pdf

安定的なサービス提供に向けて、送金決済サービスをはじめとした各種料金について、2022 年 1 月 17 日(月)から、料金の見直し・新設を行うことをお知らせいたします。 
 提供チャネルの利便性やコストに応じた料金とすることで、お客さまのニーズに応じたお取引チャネルやお取引方法をご提供するとともに、デジタル化・キャッシュレス化・ペーパ ーレス化を推進してまいります。

   自分自身の理解不足もあるのかもしれないし、ビジネス用語に慣れていないのもあるのだけど、それでも、とてもあいまいな文章だと思う。

 この「安定的なサービス提供に向けて」というのが、経営の苦しさを訴えているのかもしれないけれど、値上げのことを「料金の見直し・新設」という表現をするのは、ごまかしているようでいい印象は受けない。さらに、「提供チャンネルの利便性」以降からの文章は、かなり苦しい展開をしているように感じる。

 経営が苦しいので、手数料の値上げ、もしくは、これまで無料だったのも手数料を徴収するようにします、ご理解ください。

 そんなふうに書いてくれた方が、すっきりする。

書類の多さ

 さらに、納得ができなかったのは、言動一致してないところがあったせいだった。

 今回、現金口座。二つの方法で支払いをした。

 その場合に、それぞれ名前や電話番号や住所などを用紙に書き込んだ。さらに、支払いが終わった後に、また、新しく用紙が発行された。それだけで3枚の用紙が使われた。

 昔から、公共料金の支払いなどでも、毎回、名前を書き込んだりする手間があって、それは、不合理だと思っていた。コンビニなどで、そんなことをしたことは一度もないはずだからだ。

 本当に「テシタル化・キャッシュレス化・ヘーパーレス化を推進」する気があるのであれば、この用紙の撤廃から始められるはずなのに、そうしたことはまだ行われていない。それなのに、手数料を取ることは始めているので、余計に納得がいかないのだと思う。

 これだけペーパーを使っているのだから、これを使わなくなるだけで、どれだけの経費が節約できるのだろうかと、どうしても思ってしまう。

リストラ

 この記事でも、橋本治の発言に触れているのだけど、確か、別の場所で、橋本治が「リストラ」について書いていたことがあった。

 これは、今、自分の記憶だけなので、詳細の違いは許容してもらいたいのだけど、「リストラ」という言い方で、それが「解雇」とイコールになった時に、企業は真面目に考えていないのではないか、という指摘をしていたと思う。

 その理由として、こんな書き方をしていたはずだ。

「リストラ」は、「リストラクチャー」で、再構築という意味合いだから、たとえば企業がうまくいかなくなったときに、大げさに言えば企業のすべてをもう一度検討し、全体を組み立て直すようなことをするための考えだったはずだ。

 それなのに、企業にとってやりやすい「社員の解雇」による人員費の削減だけが、「リストラ」という略語になることによって、「リストラクチャー」がどこかにいってしまうから、真面目に「再構築」をする気がないのではないか。

 そんな思考の道筋を、橋本治は示してくれた。

ゆうちょ銀行

 今回の「ゆうちょ銀行」の変化に対しても、そんな視点で考えてしまう。

 本当に企業の立て直しをはかるのであれば、「キャッシュレス化、ペーパーレス化、デジタル化の促進」をすすめて、すでに「変化」から半年くらい経っているのだから、支払いの際の用紙を撤廃くらいはしててもいいのではないか。

 それはすすんでいないのに、手数料だけを取るのであれば、ただ、取りやすい場所からお金を集めることにしました、に思えてしまう。

 何の力もなく、貧乏な人間が、何かを言っても意味もないかもしれないけれど、同じ値上げにしても、そこにまつわる言葉に関しては、なるべく嘘がないように努力する企業の方が、やはり好感も持てるし、同時に経営的にも未来が明るくなるような気がするのだけど、それは経済を知らない人間の戯言に過ぎないのだろうか。

 

 それでも、筋が通った言葉は、それが残酷な事実を告げる場合でも、そこに、わずかでも希望を持たせることができる、と個人的には信じている。



(他にも、いろいろと書いています↓。よろしければ、読んでもらえたら、うれしいです)。



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