エアコンを買い替えるまでの気持ち。
義母が亡くなって3年以上が経つ。
103歳まで生きてくれて、20年近く妻と2人で介護をしたことになるから、亡くなってから1年ほどは、まだいるような気がしていた。
義母は1階の和室で、ベッドを設置して、そこで暮らしていた。
寒い時のために、いろいろと考えて、安全性を最優先にしてオイルヒーターを置いた。
ただ、古い木造家屋だから、換気は良くて、すきま風も入るので、もう少し暖房も必要ではないか、と思ったし、夏の暑さが年々厳しくなる一方だったので、扇風機だけでは熱中症になってしまうかも、と考えて、やっぱりエアコンも必要だと思った。
通販
だけど、冷蔵庫や洗濯機と並んで、大きめの家電は、それなりに値段もするし、家の経済状態は厳しいし、そんなことを思っていると気持ちは縮こまるばかりだったけれど、義母の健康状態を考えると、必要だし、などと迷っていると、誰も頼んでないのに、勝手にやや追い込まれるような気持ちになっていた。
そんな時に、ラジオか何かでエアコンの通販を話していた。
普段は、そういうコーナーが始まると、番組を変えたりしているのだけど、こういうときは、その知らせが朗報に響いた。
思ったよりも安かった。
だから、おそらく初めてラジオの通販で買い物をした。電話をかけるときは、恥ずかしながら、勇気が必要だったりもした。
家にエアコンがきて、義母の部屋にも空調が整った。
やっぱり少し安心した。
パイプ
最初のうちは、リモコンのスイッチのことを伝え、義母自身で気温によって調整をしてもらうようにしていたのだけど、年齢のせいか、あとは気温の変化に対して、少しずつ分かりにくくなってきたようなので、そのうちに、こちらが部屋に入って、寒いときは暖房をつけ、暑いときは冷房を入れて、なるべく快適な温度を保つ努力をした。
何年か経った頃、そのエアコンの調子が悪くなった。温まるのも、冷やすのもうまくいかない。そのときは、暑かったり、寒かったりする時ではなかったけれど、このままだと、やっぱり不安なので、近所の電気店にお願いをした。
和室から、室外機までは、廊下をはさむはど距離があって、通常よりもかなり長めになり、だからパイプが長くなるのだけど、そこに断熱のためのテープが巻かれていたのに、完全ではなかったようで、その補強と修理もしてもらった。
それで再び、使えるようになった。
故障
義母が生活している間は、なんとかエアコンは使えていた。
義母が亡くなった後に、その部屋は空いていて、でも仏壇もあるし、人が集まることもあった。寒い時に、エアコンをつけたが、なんとなく温まり方が弱くなっているのには気がついていた。
だけど、まだ効いているし、それほど、その部屋を頻繁に使わなくなったので、なんとなくみてみないような気持ちになっていた。
それが、今年の冬になって、風は出ていたけれど、温まる気はしなかった。でも、そんなに人が来るわけでもないし、それもごまかしごまかしていけばいいと思っていた。
夏は、風が出ているから、冷えなくても乗り切れるのではないか、という感覚だった。
見積もり
そのうちに、ご近所の方から、必要がなくなったエアコンをよかったら引き取ってもらえないだろうか、という話になった。
それはありがたいし、その和室のエアコンは壊れている感じがしたので、それの代わりに付けられればいいのでは、と思った。
最初は、電気屋さんに頼めば、それほど手間もかからずにやってもらえるのでは、というのと、購入もしないでそんな工事だけを依頼するのは無理ではないか、という両方の気持ちがあった。
何しろ、電気屋さんに聞けばいいんだ、とその後に思った。
そのことを、いつも頼んでいる近所の電気屋さんに聞いてみた。
この20年の間にも、他のエアコンも何台かお願いしたし、冷蔵庫も洗濯機も買ったので、普段はしないけれど、見積もりをしてくれるという。
待った。
取り外して付けるだけだけど、当たり前だけど技術がいるから、それで約4万円。さらに、今回の場合は、室外機へのホースが長いので、その分、プラス1万円くらい。
それと、同時に、もし新しくエアコンを購入し、設置するとしたら、いくらくらいかも、たずねた。そうしたら大体10万円ほど。
ご近所からいただくという話になっていたエアコンは、すでに何年かは経っていたし、値段の差があると言っても、これからの時間を考えて、新しく購入することにした。
ご近所の方には、その経過を説明し、お断りし、電気屋さんにはお願いすることにしたが、そのときは8月中旬だったけれど、工事は、8月下旬か、9月になってしまうという話を聞いた。
もしも、9月に決めてもらっても工事の空きが出れば、繰り上げます、とまで言ってくれたのだけど、最初の9月上旬でOKですと返事をする。
工事の日
まだ時間があると思っていたが、気がついたら季節も変わりそうになり、9月になって、工事の日は、予定通り午後1時半に来てくれた。
今日は1人だった。
そこから、古いエアコンを取り外し、室外機もどかし、室内に新しい機械を設置し、そこから、通常よりも長いホースを、うまく流れるように微妙な下り勾配をつけてもらい、それに新しい室外機を置いて、つないでいた。
特にトラブルもなかったようだけど、何しろ1人でやってもらっていたので、時間もかかっていた。飲み物を出して、時々、様子を見て、何か必要なことを聞いただけで、あとは任せても安心だったのは、これまでの信頼があるからだった。
終わったのが4時間くらいあとだった。
きれいにつけてくれたし、長めの室外機へのホースも勾配を考えてくれていて、以前のホースには流れ切れずに残っていたものがあったそうだ。
保証書を書いたりして、少し話をした。
今年の夏は、ベテランの店長でも、体が持つだろうか、と思うくらいきつい夏だったらしい。暑さのためかエアコンの取り付けも多く、だから、9月になったという話をしてくれた。
エアコンを取り替えた気持ち
古いエアコンは、完全に機能を失っていて、故障というよりは、もう買い替えないと無理、という状況だったと改めて聞いた。
古いものは処分をしてもらう。
その、ずっと動いてくれたエアコンは、義母が部屋で暮らしている年月を支えてくれた。それは家電で、電気で動いていただけだけど、暑い日や寒い日に、風の方向や、つけている時間や、温度設定など、いろいろと調整をし続けていた。
それで、なんとか少しでも快適な空間にしようとは思ったけれど、障子とふすまで仕切られ、木製のガラス戸が外との境目で、すきま風もあった場所で、どこまで実現したかわからない。
そんなあれこれしていた時間のことを、エアコンを処分してもらうことになり、少し変色したそのボディーを見て、やっぱり改めて思い出した。
今回、買い替えたから、できれば、長く10年単位で動いてほしいし、これで、今は人が来ても大丈夫なようなスペースになった。コロナ禍が続いているから、その行き来に限界はあるとしても、これで暑い時も、寒い時も大丈夫だと思うと、テスト運転で、きちんと空気を冷やしてくれることを実感させてくれるから、やっぱり少し安心する。
空気を調整できるのは、心強い。
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