本当に思ったことだけを、伝える。
最初に入社したのがスポーツ新聞社で、ゴルフ記者として働き始めた。
大学4年の3月上旬から出社し、最初は現場で先輩記者に、いろいろと教わったり、怒られたりもした。
そして4月中旬には、記者一人、カメラマン一人で、国内の女子プロゴルフの取材に出かけた。
そうやって、すぐに現場での仕事が始まったから「どうやって取材をするか?」については、他社のゴルフ記者の人達の仕事ぶりを見て、さらに学ぶしかない。実際に、プロゴルファーの人たちを相手にし、様々な失敗を繰り返しながら、自分で考えるしかない。
つまりは独学だった。
インタビュー
その後、会社を辞めフリーのライターになったが、インタビューの質が仕事の成否を決めるのは変わらなかった。
約15年、マスコミの世界にいて、独学で、その方法論を、自分なりに身につけたつもりだ。
それは、本当に思ったことだけを尋ねること。相手に話をしてもらいたいのであれば、その分、自分も心を開くこと。
そんな、言葉にしてしまえば当たり前で、本当に実践し続けるのは難しいことだった。それに普段から、そういう人間でないと、質の高い取材が難しいことにも気がついた。
つまりは、自分を変えなくてはいけなかった。
本当に思ったことだけを、伝えること
その後、仕事を辞めて、家族の介護に専念することになった。介護の現場でのコミュニケーションは、本当のことを超えて、魂の削り合いのようだった。
その10年以上の年月の中で、家族介護者にこそ心理的支援が必要だと考え、介護を続けながら資格をとり、介護者の心理的支援をする仕事を細々と始めた。
相手の話を聞く。本当に思ったことだけを、伝える。同時に、相手を傷つける可能性があったり、この場合に不適切だと感じられたら、「本当に思ったこと」でも、無理に伝えることをしない。
その大切さは、支援の仕事でも変わらなかった。ただ時代や環境の影響で、自分が本当に思ったことは見失いがちだから、より自分の心に敏感になり、大事に扱う必要があるし、そうしないと、相手の気持ちも見えなくなってしまう。
だからこそ、「本当に思ったことだけを伝える」という実践が、少しでも目の前にいる人の力になりやすく、同時に、未来のためになるはずだと信じて続けている。
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