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「エンターテイメント」と「アート」

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アニメやアートや映画やドラマや音楽やイベントなどについて、書いてきた記事や、これから書いていく文章をまとめていこうと思います。
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#映画

「舘ひろしの30年」を勝手に振り返って思うこと。

 映画「あぶない刑事」の最新作は、2024年になって公開された。  主役は舘ひろしと柴田恭兵。  最初は、タイトルに「さらば」がついている映画が2016年にあって、その時の設定が2人の刑事が定年間近という設定もあって、これで完全に終わりだと思っていたし、主演の二人が70歳を越えているのだから、もう無理だと思っていたのに、どうやら映画はヒットしているらしい。  その作品を見ていないから、何かを言える資格はないのかもしれないけれど、その映画に関してなのか、ドラマ以外でも見か

「最愛のかたち」-----「シーナ&ザ・ロケッツ」

 言い訳のような言葉から始めるにはふさわしくないのは知っているけれど、それでも、書くことにちゅうちょがあるのは、私のような少し知っている人間が、もっと熱心に支えたりする人がいるのは容易に想像できる人たちのことを、何かしら語っていいのだろうか、と思うからだ。  それでも、「シーナ&ザ・ロケッツ」の映像を見るたびに感じることがある。 「シーナ&ザ・ロケッツ」 本当のファンとはとても言えないけれど、やっぱりこのバンドのことを知ったのは、他の人と同様に、1979年に発売された「ユ

北野武監督 『首』-------「武士の時代の再解釈」

 北野武監督には、海外を含めて熱心なファンが多いと思われるので、北野映画について、何かを語るときに、微妙に後ろめたさが生じるのだけど、それでも、最初に『その男、凶暴につき』を見たときの新鮮さと、驚きと、予算の少なさを突破するような可能性は覚えている。 リアル その画面には、リアルがあったように思えた。  今使うと、リアルという言葉に微妙な恥ずかしさもあるのは、それから、そうしたリアルな表現が進化したということもあるのだろうけれど、その映画の画面から伝わってくる不穏さや、抑

映画『ロストケア』批判。(後編)。

 映画『ロストケア』を見て、どうしても違和感がぬぐえなかった。  それは、元・家族介護者で、現在は、家族介護者の支援をしている人間の偏った視線かもしれない。だけど、その違和感の元は、家族介護者の気持ちへの理解が、あいかわらず進んでいない、ということだった。 描かれていないこと どんな話でも、基本的には、家族介護者は、弱い存在として描かれていることが多い。  家族介護者は、助けなくてはいけない。家族だから、いろいろな意味で知らないことが多いはず。色々と、専門家からの指導が

映画『ロストケア』批判。(前編)。

 予告編を見て、嫌な予感はしていた。 「ロストケア」という言葉。症状が重くなって、介護するのが大変になった人を殺めることに、フィクションとはいえ「ケア」という言葉を使われるのは、やっぱり嫌だった。  しかも、その「ロストケア」をおこなう人間を、松山ケンイチが演じるのだから、とても説得力を持つのだろう。  それも、なんだか嫌だった。  松山が、引きこもりの人を演じたドラマを見ただけでも、俳優としてすごいのは、それほど演技に詳しくない人間でもわかる。  さらに、ドラマ『

『シン・仮面ライダー』--------- 昔、見たかった「仮面ライダー」。

 かなり前から、気になっていた。  『シン・ゴジラ』があって、『シン・ウルトラマン』があって、それは、昔の、その映画や映像を知っている人間にとっても、見てよかったと思える作品だった。  『シン・仮面ライダー』も、庵野秀明がつくる、と知って、全部、庵野氏が関わることへの、どこかあきれたような気持ちと、一人だけに任せることへの重圧も想像したのだけど、それでも期待があったし、予告編を見て、これまでの「シン」の2作とは違うアプローチを感じて、それで、戸惑いも含めた気持ちになって、

『映画「教育と愛国」上映&トーク』が、立教大学で開催された。

 以前、「教育と愛国」の本を読んだ。  自分には子どももいないせいもあって、気がついたら、学校がこんな風になっていることに、驚きと怖さもあったが、元々は、テレビのドキュメンタリーで、それが映画になっていたのも知っていたが、コロナ感染者数が多いので、怖くて映画館に行けなかった。 映画上映会&トーク そんな、行きたかった気持ち自体を忘れる頃、ラジオから「教育と愛国」という言葉が聞こえてきて、映画を上映すると知った。  それは、立教大学での催しで、社会学部のゼミが主催している

映画 『キッズ・リターン』 …… とても怖く響く「親孝行」。

 怖い映画でもある、と思う。  リターン、というタイトルがついているけれど、彼らが戻ってこられることは、ほとんど無理ではないか、というような残酷な転落をしている。  そして、劇中、「親孝行」という言葉が繰り返し出てくるが、これもとても怖い意味を持つことになる。 (※ここからネタバレも含みます。映画未見で、これから鑑賞される方は、ご注意してくだされば、幸いです)。 親孝行  主人公である青年二人のうち、一人は反社会的組織に入ることになるのだけど、その組長がよく行くラーメ

初めて映画館で2回見た作品……『ダイ・ハード』。

 映画好きな人なら当たり前のことだろうし、今ならばライムスター・宇多丸氏がその方法をとって評論をしているのだけど、私のような一般的な人間だと、同じ映画を、映画館で2回見ることは、ほとんどない。  それが、個人的なことに過ぎないけれど、一回だけ、2回見たことがあった。  それが『ダイ・ハード』の第一作だった。1989年のことだった。 『ダイ・ハード』  見る前に、どうやら大がかりなアクション映画なのは知っていた。そして、その舞台が、日本の企業も絡んでいる設定になっているの

「シン・仮面ライダー」の予告動画を見て、期待がふくらんだ理由。

 ポッドキャストの番組で、何人もの人で「シン・ウルトラマン」について話をしていた。  それも、番組は前後半で、計4時間以上話をしていて、その幅の広い話に感心もして、その中で「シン・仮面ライダー」の話題も自然に出て、予告編についてのことや「仮面ライダー THE FIRST」のことについても触れていた。  だから、気になって、その動画を見た。 「シン・仮面ライダー」  そこに映っていたのは、50年前を思い起こさせるような後ろ暗い気配。表舞台で輝くのではなく、それほど広く知ら

映画館で起こった笑い声……「ターミネーター」。

 ゴルフ記者をしていたときは、国内のツアーを取材するために、思ったよりも日本全国を回っていた。月並みな表現だけど、北は北海道から、南は沖縄まで、基本的には、春から夏までは北上し、秋以降は南下していった。  仕事はだいたい夕方までに終わり、その後は、他社のゴルフ担当の記者の方たちと、焼き肉を食べにいったり、飲みに行ったりしていた。街は変わっても、行動は似ていた。  大学を卒業してからすぐに現場に出て、その生活が1年ほど続くと、たまに他の方々と一緒の行動をしない余裕もできた。

スクリーンの前で、子どもが走っていた映画館で見た映画…『レオン』。

 静岡に出張があって、夕方まで時間が空いて、それで、映画を見ようと思った。  見たいと思っていたのは「レオン」だから、もう30年ほど前のことになる。 スクリーン  入った映画館は、繁華街の中だったけれど、まだシネマコンプレックスが主流になる前だったし、古い造りの映画館も珍しくなかった。  スクリーンの前に、ステージのようになっている、木製の狭いスペースがあった。上映前で、まだ館内が明るいときに、小さな子供たちがそこに登って、追いかけっこをして、楽しそうに笑っていた。それ

テレビ番組の見出しに、(勝手に)翻弄された日。

 テレビ番組の録画がされていた。 広末涼子  時々、妻が録画する番組なので、それについては不思議ではなかったけれど、広末涼子にそれほど強い関心もないはずだから、理由を聞いたら、納得できた。  テレビ番組の紹介に短い見出しのような言葉が画面に映る。  「プレミアムトーク 広末涼子さん▽イチオシ映画▽グリーン」となっていた。妻にとってのポイントは、最後の「グリーン」だった。 グリーンブック  その2日前に、昼間にテレビ東京で放送されていた映画を録画して、二人で見た。 「グ

とても僭越ですが、『全ての「役名」を「木村拓哉」にすること』を、提案したいと思います。

 2021年の夏から秋にかけて、映画の宣伝のため、木村拓哉が主演するドラマの再放送が続いた。さらには、そのドラマをもとにした映画の放送もしていた。 木村拓哉の変わらなさ  再放送のドラマを録画して、毎日のように、妻と一緒に見ながら、お茶をして、楽しい時間を過ごせた。ドラマの「ヒーロー」は、第1期と、第2期の両方を続けて放送していたが、実際には、その間に13年の時間が流れている。  もちろん、主演の木村拓哉は、その分、年齢を重ねているものの、基本的には、その姿は変わらなかっ