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「エンターテイメント」と「アート」

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アニメやアートや映画やドラマや音楽やイベントなどについて、書いてきた記事や、これから書いていく文章をまとめていこうと思います。
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記事一覧

【展覧会感想】 「武井武雄 展 ~幻想の世界へようこそ〜」 目黒区美術館。2024.7.6~8.25

 美術やアートといわれるもの。  特に現代美術や現代アートと呼ばれる作品に急に興味を持つようになって20年以上がすぎた。 興味の持ち方 一時期は、美術の専門雑誌のようなものを頻繁に購入していた。それも現代美術を主なテーマにしているような雑誌で、今は月刊から季刊誌になっているし、自分自身も図書館で借りて読むことが多くなった。  その年月の中で、さらに昔の作品にも、当然ながらすごいものがあるのを知り、そして、今の時代にまで残ってくれているから、それは現在の作品として目の前に

【展覧会感想】 終わってしまった二つの展覧会の今も残る印象-----『翻訳できない わたしの言葉』・『ホー・ツーニェン エージェントのA』。東京現代美術館。~2024.7.7。

 東京都現代美術館に行くときは、現代アートを見に行く楽しさと覚悟がある。  あれだけ現代アート(いまだに現代美術と、どちらで呼ぶか、よくわからないが)ばかりを展示して、しかも広く、さらには作品に合わせた展示をしていたり、他では見られない作品も多いから、楽しみにもなる。  一方で、現代美術館は、自宅からは少し遠い。それに清澄白河駅ができたから、状況は少しかわったものの、どうしても駅から歩く印象もある。さらに、新しい作品を見るのはうれしくもあるのだけど、作家によっては少し緊張

「パリオリンピックの開幕式」で思い出す「一羽のハト」のこと

 2度目の東京オリンピックは、新型コロナウイルスの感染が拡大し、緊急事態宣言の中での開催となった。  このことの是非については、十分な検討もされないまま、そのときの汚職についても、本当に全てが解決したのか、よくわからないままだ。  そうしたこともあって、オリンピック、というイベントに対しては、年を経るごとに、興味を失いつつある。とはいっても、アスリートのすごいプレーに関しては、無意識に気持ちも反応してしまうのだけど、でも、それが見られる場所が、もうオリンピックという場所で

【展覧会感想】 『生誕140年 YUMEJI展』 2024.6.1~8.25 東京都庭園美術館。

 自分が生まれるずっと以前の有名な人で、当たり前のように作品も目にしてきた。  竹久夢二。  ペンネームに「夢二」とつけるセンスは最初はあまりにもあざといのではないか。自分の妻に店を開かせたり、その後も様々な女性との付き合いも華やかで、そうした存在だと少しでも知ると、勝手な話というか、モテない人間のひがみのようなだけど、「(モテない)男の敵」のように思ってしまっていた。 橋本治の指摘 橋本治の「ひらがな日本美術史」のおかげで、日本の美術作品にも興味を持てるようになったし

【オンラインイベント感想】 『保坂和志の小説的思考塾 #17』---山本浩貴という特異な作家

 時々、この「小説的思考塾」には「参加」する。  とはいっても、実際に現地に行ったのは一回だけで、その後はコロナ禍になったこともあり、オンラインイベントになり、そのうちにリアルと、オンラインのハイブリッドになり、オンラインだけで行われることもあった。  毎回、どうしようかな、と思うのだけど、保坂和志というのは、現代では、小説そのものについて考え続けているような、そういう特殊で貴重な小説家なので、オンラインといっても、ここでしか触れられないような言葉や思考があるので、やっぱ

【展覧会感想】 『梅津庸一 エキシビジョンメーカー』 東京・ワタリウム美術館    2024.5.12~8.4

 個人的なことだけど、アートに興味を持ち始めて、20年以上になる。それまで、全く興味がなかったのだけど、いわゆる現代アートを急に見るようになった。  それは明らかに、この展覧会↑以降のことなのだけど、それ以来、言葉にすると恥ずかしい表現だと今も思うけれど、何しろ「ウソのない作品」を見たいと思って、今まで足を運ぶことがほとんどなかった美術の展覧会や、入ったことのなかったギャラリーにも行くようになった。  それから20年以上が経つけれど、その間、ずっと作品を制作し続け、私のよ

「大人になっても友達ができる、という希望」---岡村靖幸+斉藤和義

 しばらく見ていなかった深夜の番組を録画したのは、ベテランで、とても音楽家らしいミュージシャンが二人で出る、ということを知ったからだった。  あのちゃんが、ゲストを招くというスタイルで、そこにネコに扮した粗品もからむ。最初は毎週見ていたのが、そのうちに見なくなってしまっていたのは、どうしてだか自分でもわからないのだけど、失礼ながらちょっと飽きてしまっていたのかもしれない。 岡村靖幸と斉藤和義 自分が情報に弱いだけかもしれないけれど、岡村靖幸と斉藤和義が二人で、このあのちゃ

『現代アートチーム・目[mé]』と、エジソンの似ているところ

 誰だって知っていることとして「エジソンは偉い人」という歌詞の歌が街のどこでも流れていたように思えたのは、バブル絶頂期からバブル崩壊の間の頃だった。  偉人伝の常連として「エジソン」は、今でもおそらく誰でもが知っていて、それは「発明王」としてすごいと言われてきた。ただ、同時に年月が過ぎるほどに、エジソンのネガティブな面も徐々に広く知られるようになってきた。  おそらくは大きな業績を上げた誰もが決してプラスの部分だけはないだろうと想像はできるけれど、エジソンのイメージは良か

ランジャタイの意味を知って、どうして、こんな変な感覚になるのだろう?

 ランジャタイ、の意味知ってる?  そんなことを妻に聞かれて、その単語が出てきた瞬間に、あの2人の顔が浮かんだ。  それだけで変な気持ちになるのは、それほど笑いに詳しいわけでもないから、そして、自分も、もう若くもないから、彼らをテレビで見て、戸惑うような感覚になるのだけど、でも、この面白さが分からないのは、もう古いと、誰も言わなくても誰かに言われているような気になってしまう。  そんな落ち着かない思いになっているけど、それを妻に伝えるのも変だから、そのまま妻の言うことを

「舘ひろしの30年」を勝手に振り返って思うこと。

 映画「あぶない刑事」の最新作は、2024年になって公開された。  主役は舘ひろしと柴田恭兵。  最初は、タイトルに「さらば」がついている映画が2016年にあって、その時の設定が2人の刑事が定年間近という設定もあって、これで完全に終わりだと思っていたし、主演の二人が70歳を越えているのだから、もう無理だと思っていたのに、どうやら映画はヒットしているらしい。  その作品を見ていないから、何かを言える資格はないのかもしれないけれど、その映画に関してなのか、ドラマ以外でも見か

『私が死ななければならないのなら、あなたは必ず生きなくてはならない』---ワコウ・ワークス・オブ・アート(六本木)。2024.5.17~6.29。

 この「私が死ななければならないのなら、あなたは必ず生きなくてはならない」という、とても強くて、しばらく忘れられないような言葉は詩の冒頭だった。  そういう詩が存在することを、この展覧会で初めて知った。 ギャラリー 30歳を越えてから、急にアートに興味を持つようになって、その中でも特に現代アートといわれる作品を見るようになったのは、今も生きている作家が制作しているから、自分にも近い感覚があったからだと思う。  美術館だけではなく、ギャラリーにも足を運ぶようになったけれど

『帰ってきた橋本治展』に、やっと行けた ------県立神奈川近代文学館。(2024.3.30~6.2)

 とても熱心なファンがいるのはなんとなく知っている。さらには、研究対象として読み続けている人もいる。まだ読んでいないけれど、そうした本が出ているのもわかっている。 橋本治 あれだけ膨大な作品を残している橋本治という人に対して、何かを語るには能力も、思いも足りない気がしているのは、noteでも、こうした本気の人がいるのも知っているせいだ。  だから、橋本治のことを書こうとするときに微妙な後ろめたさと恥ずかしさがあるのだけど、それでも、細々とながら長く少しずつ読んできた。読書

「陸路」(スピルオーバー#1)。2024.5.8~6.16。BUG -------「映像と音響の重要性」

 詳しい事情はわからないのだけど、ギャラリーは場所を移すことも多い。  それは、それまでの建物が古くなったから、という理由も多いらしいのだけど、それだけなるべく安い家賃の場所を探しているから移転も多くなるのだろうか、などと勝手な想像をしてしまう。  それは場合によっては寂しい気持ちにもなるけれど、そのギャラリーが新しい場所に移ったり、それが以前よりも華やかな、もしくは便利な街に来るのは勝手な話だけど、なんだかうれしい。  リクルートという会社は、外から見ている人間の勝

青山悟『刺繍少年フォーエバー』 永遠なんてあるのでしょうか? 2024.4.20~6.9。目黒区美術館----「ずっとつくり続ける人」。

 それほど頻繁に行くわけではないけれど、時々、この展覧会を開催するのか?といったちょっとうれしい気持ちになるのが、東京都の目黒区美術館だった。  私にとっては、30歳を超えて興味を持てたのが主に現代アートだったので、例えば東京都現代美術館のように現代美術を主に開催しているのではないから、目黒区美術館には、展覧会によって思い出した頃に出かけることになる。 名前の由来 目黒線に乗って、目黒で降りて、そこから少し歩く。権之助坂という坂を下っていく。その名前を見ると、通っていた高