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単語はノートに書いて覚えるな! は、おかしい。なぜか?【効率的な暗記・勉強法】

 ここ最近インスタを見ていると、教育系のアカウントでこういう話をよく聞くようになってきた。英単語をノートに書いて覚えるのはダメだから辞めろ、というのである。これは正しいのか?

「単語をノートに書いて覚えるのは効率が悪い」
「単純な暗記のために、同じものを何度も書いて覚えるのはバカ」

 はじめに断っておくと、確かにそれは間違っていない。ただ、正しくない。

 私がおかしいなぁと感じているのは、以下のような口ぶりが見られる点だ。

「学校の先生が単語を書き取る宿題を出してきたら、そいつはバカだから信用しなくて良い」
「書いて覚えるなんて言っている先生がいたら、成績は上がらないから自分で頑張れ」
「歴史の用語、まだ書いて覚えてるの?」

 さて、なんでこれらがおかしいのか、順に考えを吐いていこうと思う。

書かせなきゃいけないときってあるよね

 さて、まず前提として、たしかに書いて覚えるのは非効率だ。しかしだからといって、書いて覚えるのを指示する教師がイコール無能とはなりえない。

 そもそも、教師は頭の良い、勉強にモチベーションのある生徒だけを相手していれば良いわけではない。仮にモチベーションの高い生徒であれば、読んで覚えるだとか、赤シートを使うだとかの指示も通るだろう。しかしそうはいかない。
 勉強したくない生徒の学力を上げるには、宿題をチェックする必要がある。そしたら、目に見える課題を出さなければならない。つまり、書かせるのは有効たり得る。

 まぁもちろん、生徒に暗記法のアドバイスを求められて、ひたすらに書けと指示する教師が有能でないのは変わらないが。

てかそもそも、なんで書くなって言われるか知ってる?

 たまに、「書かずに読んで覚えろ」と言っている人を見かけるが、大間違いだ。
 読んだところで頭に入るわけではない。

 同じ単語を連続して書いても勉強の効果が得られないのは、“脳が飽きて、重要だと思わない”からだ。だから、同じ単語を何度も読んだところで結果はさして変わらない。

 どうすれば良いかというと、“細かいテスト”を、“次々と変えて”行うのである。
 まず、脳は、“思い出そうとしているときに記憶する”性質を持つ。

 つまり、例えば「apple→リンゴ」を覚えるのであれば、赤シートなどでリンゴを隠し、appleを見てリンゴと答える(思うまたは声に出す)、という、いわば小さな問題を自分に課せば良い。
 このとき、思い出せなくてもしばらくは、思い出そうと悩むのがベターだ。考える時間が、答えを見たときの暗記を促進してくれる。

 また、単語帳で「apple→リンゴ」を終えたら、すぐに下にとりかかる。appleの下にaddが書いてあるなら、それを見て「加える」と答えれば良い。情報が次々と変わることで、脳は飽きることなく、重要な情報だと判断しやすくなる。

 このやり方は、英単語だけでなく、ほとんど全ての『暗記』で使用することが出来る。

 以上のようなことが、「書いて覚えるな」と言われる理由である。それを端折って、とりあえず「書くのがダメ!」と声だかに叫ぶのは、いささか疑問である。

しかし、書いたほうが良いときもある

 さて、ここが重要だ。“細かいテスト”を“次々と”は変わらない。
 だが、思ったり言ったりして答えるだけでは不十分な場合もあると私は考えている。

 それが、“漢字・綴りを覚えたいとき”だ。
 「聖像禁止令を出したローマの皇帝」と聞かれ、「レオン三世」と答えるなら、思う、または言うだけでかまわない。

 しかし、「大化の改新で活躍した、中大兄皇子の相方」と聞かれ、「中臣鎌足」と答えなければならない場合、“選択する問題”しか出題されないなら別だが、“漢字で記述する”必要があるなら、小さなテストには書いて答える必要がある。
 なぜなら、答えるときに回答を“書く”ことで、漢字に意識を向けることが出来るからである。これは皆さんも、「読めるけど書けない漢字」があるであろうことから、容易に理解できると思う。

 ここで、「臣」も「鎌」も完全に書けるのであれば、この操作が不要なのは言うまでもない。

 また、以上のことは、「apple」という綴りを“記述しなければならない”場合でも同様であるはずだ。私たちは基本、「apple」を「あっぷる」と言って覚えるのだから、「あっぷる→アップル」は出来ても、「あっぷる→apple」は出来ないことが多い。

 ある程度英語学習に慣れ、発音から綴りの変換が容易に出来るようになれば、“書いて答える”のも不要になるだろう。

まとめ

 さて、以上のことから、「単語は書いて覚えるな!」とことさらにそこだけを強調して主張がなされるのは、かなり短絡的だということがおわかりいただけたかなと思う。

 より高効率を求め、勉強していきたいところではあるけれど、「なんでその方法なん?」というところにも、注目すると良いかもしれない。自戒も含め。

【リンク】

サムネイル画像:『unsplash』より




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