見出し画像

福岡県春日市の議会会議録、2022年度分ななめ読み

本日は統一地方選後半。私が5~20歳までを過ごした福岡県春日市では、市長選と市議選が行われます。
というわけで。議会会議録を斜め読みし、選択のご参考になろうかと思われる部分を抜粋します。
春日市のまだ選挙行ってない皆様、もう投票を済ませた皆様、もちろん春日市民ではない皆様、ご参考にしてくださいませ。

市長選より市議選に期待

今回は市長選も行われ、3名の方が立候補されています。現市長が当選すると7選目になります。もちろん、多選に伴うさまざまな問題があります。
私はむしろ、市長選より市議選にワクワクドキドキしています。現在までの路線は、いずれ、時代の流れによって変化を迫られるでしょう。その時にモノを言うのは、「市長が誰か」よりも「市議さんたちがどういう方々で、どういう議会運営がされているか」です。

独断と偏見で選んだ2テーマ

  1. 災害対策

  2. 市立小中学校の設備(ICT関連を除く)

派手さがなく「映えない」テーマですが、市民生活の現在と今後に関して極めて切実だと思います。
なお学校のICT設備は、家庭に充分な環境のない子どもたちには極めて重大な課題だと思いますが、あまりにも議員質問や発言が多いので除外しました。

対象は議員質問に限定(委員会の委員長発言は除く)

引用対象は、本会議と委員会の議員質問に限定しました。量的にそれが限界だからです。ご関心ある方は、ぜひ答弁もお読みください。

1.災害対策

2022年12月22日 米丸貴浩議員
「熊本地震のときからもう既に6年がたっておりまして、私も現場にも行きましたし、それから6年間、熊本じゃどうしたのかなと、障がい者の把握を、特に災害弱者と呼ばれる障がい者の方の把握をどうされたのかなということを、いろんなところから調べてみたんですけど、なかなかこれといった答えがないのも事実」

2022年9月20日 川崎英彦議員
「市民の命を守るために、避難誘導、避難指示、救護などに万全を期さなければならないわけです。 他国からの武力攻撃を受けた場合、自衛隊は自然災害と違い、国防のための軍事行動が主任務となります。市民救助や避難支援に十分な行動が取れません。ですから、地方自治体が警察、消防と協力してこれを行わなければ」
(引用注:春日市内には自衛隊基地があります)

2022年9月13日 西川文代議員
「決壊した場合は、浸水ハザードマップでは、もう広範囲にもう本当浸水して、もう逃げる場所がないっていうふうに、ちょっと私いつも怖いなっていうふうに思っていたんですけど、そういうものが示されてます。
 公民館とか小学校も全部つかってですね、その辺りのことを市民に、何というんですか、注意というかですね、配ってあるんですけれども、今回のこれ、調査でですね、一応今水害ですね、決壊による水害、その他の災害から市民の生命及び財産を保護するためっていうところでの、何ですか、劣化状況とかですね、耐震性等評価っていうのは、地震耐震性評価とかは、そこまで何か可能性としては低いというような評価が出たのか。ちょっとそこら辺をもうちょっと教えてください」
(引用注:春日市の水害リスクは比較的低いです。1970年代に新幹線の車両基地が設置されたおり、「福岡市全体が水浸しになるレベルの水害でなければ機能停止しない」とアセスメントされた様子(当時の私は小学校低学年だったので詳しくは知らない)。しかしながら、水害リスクは日本全国で高まっています。春日市でも、過去の防災計画での想定は通用しなかった事例が増えてきました)

2022年6月16日 野口明美議員(今回は立候補していない?)
「最後に、災害時のごみの出し方についてお尋ねをいたします。
 豪雨や地震等により大規模な災害が起きた場合、瓦礫や壊れた家具などが大量に発生をいたします。これらを災害廃棄物といいますが、一日も早い復興、復旧のためには、災害廃棄物を迅速かつ適切に処理することが不可欠になります。災害時に大量発生するごみの出し方、また、処理については日頃から考えておく必要があると思いますことから、災害時に発生するごみについてスムーズに収集するため、市民の目安が一目で分かるようなチラシを作成していただきたいと思いますが、このチラシの作成について御見解をお尋ねいたします」

2022年6月16日 吉居恭子議員
「豪雨災害が、日本中で起きています。平成30年の西日本豪雨、令和元年の台風19号、そして令和2年の7月豪雨、昨年の大雨と、福岡県でも豪雨災害が後を絶ちません。
(中略)平成30年7月の九州北部豪雨では、7月6日の降水量は、観測地点、太宰府市で332ミリ、近隣自治体では床上・床下浸水などが見られ、本市においても土砂災害が2件ありました。こうした状況はこれからも変わることなく、日々の防災対策が重要となってきます。
 本市における治水は、雨水貯留施設やため池などで、かなりの成果を上げていると思いますが、現状、想定できる豪雨に対してどの程度の対応能力があると考えられますか。もちろん、これまでとは違い、どこまで対策をすれば大丈夫というふうにはならないと思いますが、市の認識と今後の具体的な対策についてお尋ねします」

2022年6月16日 吉居恭子議員
「豪雨災害で被災された住民への支援についてお尋ねします。
 今回、平成30年の星見ヶ丘の土砂災害に遭われた住民の皆さん、白水池地区のため池は私宅の敷地内ということでしたが、そののり面崩壊による被害に遭った方々のお話を聞いてまいりました。その中で、当時3歳だった子どもが、今でも雨が強く降ると「怖いね」と言うなど、被災したときのトラウマを少なからず抱えておられました。そうしたときに、物的・精神的支えとなる自治体の役割は大きいものがあると感じました。
 国・県の支援策は、大規模災害などに限られたものでしかありません。住民にとっては、自治体独自の被災者への支援を期待したいところですが、現状で、春日市における被災時の支援にはどのようなものがありますか、お尋ねします」

2022年6月15日 迫賢二議員
「春日市の大きな課題として私が取り上げてきたものは、まず、人口増加に対する抑制策でもあった既存不適格建築物の問題であります。今から26年前の平成8年に、人口増加に伴う水供給能力と廃棄物処理能力の不足、または交通渋滞や災害時における防災活動の障害を招くなど、快適で安全な都市環境を著しく悪化させないよう、(中略)敷地全体における建築物の最高限度を一律にしたものです。
 既存不適格は本来、法の不遡及の原則と、法改正のたびに既に建っている建築物全てを違反とすることで起きる社会的混乱を防ぐための制度であり、現行法に適合しない状態を半永久的に続けることを認めているわけではなく、まして、元どおりの規模で建て替えることができないものであります」

2022年6月15日 岩渕穣議員
「記者発表で言うところの近隣の住宅地は、平成30年の豪雨時、東浦西浦地区に隣接するゴルフ場から大量の雨水が土砂と共に住宅敷地内に押し寄せ、大きな被害を被っておられることから、お住まいの方々は毎年、土砂災害への心配を抱えながら梅雨時期を迎えており、平成30年以降も大規模な土砂の流出はなかったものの、豪雨時に大量の雨水があふれ出すことが度々あり、安心して暮らせる抜本的な対策を望んでおられます。
 そのような中で、令和4年5月6日付の西日本新聞において、住民の不安感をさらにあおりかねない、「東浦西浦地区の開発事業者に対する指導において、福岡県と春日市が対立している」との報道が大きく紙面を割き、なされており、今回の5月12日以降の一連の点検結果と対応についての報道を御存じない方々、取りも直さず、5月6日の新聞までしか読まれていない方々にとっては、このままの状況で梅雨入りを迎えることは不安でしかないのではないかと推察いたします」

2022年5月19日 吉井恭子議員
「さっきですね、水の流れを緩やかにしたのでって言われたんですけど、今、一般的に言われているように、7月の1か月で降るような水の量が……、2か月分が1日で流れて熱海みたいな事故になったということが、あっちもこっちもあっているやないですか。九州でもずっと5年連続でね、土砂災害があっているわけで、結局、水が土を持ってきて土砂災害が起こるわけでしょう。
 私、今回新聞を見て、それまで自分の感覚としては砂が流れてきたんだろうなという感覚だったんですけど、今回新聞を見たので、星見ヶ丘のちょうど被害があったところを5軒ぐらいですね、ちょっと伺ったんですよね。写真も見せてもらったんですけど、それはひどかったですね。お家の庭にはどっさり入ってきて、そしてもう、何というか、若い方で、せっかく家を建てたのに……」

2.市立小中学校の設備(ICTを除く)

2022年12月6日 川崎英彦議員(今回は市長選に立候補)
「校内図書館がありますですね。校内図書館、学校の中の図書館があるんですけど、今、あれは教育の中に置かれているんですが、あそこ、当然、連携を取っていくんでしょうけど、今、指定管理者が図書館流通センターだったかな、学校にまで入っていろいろ連携を取ってね、事業を進めているんですけど、その辺はもう変わりなく、実施を続けられるということでよろしいですか」
(引用注:これは「学校教員が企業からの派遣でいいのか」という問題です。図書館の先生は「司書教諭」として学校教育の責任を担う存在です)

2022年9月13日 吉居恭子議員
「小中学校トイレ改修事業なんですが、大体この春日野小学校、中学校でトイレ改修というのは大体終わりになるのか、あと何校ぐらい残っているのか、分かれば」

2022年6月20日 西川文代議員
「私がお聞きしたのはですね、そういう状況だから、エレベーターがないから無理なんだと思って、問合せもせずに諦めているという事例(中略)インクルーシブというような観点でですね、先ほども言われたように、(中略)国のほうが打ち出して、エレベーター等はつける方向で(中略)それと春日市の施策というかですね、それをどう整合性を取っていくか(中途)予算もかかることですけれども、そこのあたりは大規模改修に合わせてということでしたけれども、じゃあ、今ついてないところというのは何校あるんですか。小中学校で」

2022年6月16日 西川文代議員
「(引用注:市立小中学校の)多目的ホールが早期に空調設備の整備も含め、全ての市民が集いやすい、集いたくなる拠点となるよう期待しますが、空調については具体的に検討しているところとのことですが、近い将来を考えておられるのでしょうか、お尋ねいたします」

2022年6月10日 西村澄子議員
「トイレの改修に対しても、小中学校の洋式化のほうの変更もありましたけど、今回この体育館に関しても、そこのトイレに関しても、和式・洋式の数に関しても、御意見を聞いた後にこのようにされたということでよろしかったですか」

2022年6月10日 西川文代議員
「プールですけれども、いろいろ今後プールを管理していくのにお金もかかるしということで、小学校等がですね、総合スポーツセンターのプールを使用してちょっと試行的にやってみようとかですね、ちょっとコロナでできなかったんですけど、何かそういう方向性も考えているところかと思いますが、中学校のプールに関してはそのような考えはないというふうに捉えてよろしいですか」
(引用注:今後の少子化を考慮しても「マジかよ!?」と驚く話。市内には小学校12校・中学校6校があり、市の総合スポーツセンターのプールで体育のプール授業を代替するのは無理ゲーと思われる)

学校の設備関連(ICT以外)では、他に屋上プールの水漏れ・教室不足・照明使用量などの論点もあります。

おまけ:福岡県の「選挙割」

投票に行って投票済証をもらってくると、商業施設の「選挙割」が利用できます。
福岡県、「選挙割」があることはありますけど、ふだん選挙に行かない人が「だったら行くか」と思うほどじゃないですね。春日市の地元徒歩圏にはないし。
やりすぎると、1970年代の地方選の
「演説会に行くとおにぎりが出てきて、そのおにぎりの中には小さくたたんでラップでくるんだお札が入ってた」
という世界に実質的に逆戻りする懸念もありますけど、福岡県の選挙割は、まだ「やりすぎ」を懸念する状況には程遠いです。
みなさま、ご奮起を。

ノンフィクション中心のフリーランスライターです。サポートは、取材・調査費用に充てさせていただきます。