13. supply 〈ply ②：満たす〉

さて、第13講の〈見出し語〉は supplyです。
「サプライ」と聞くと、一定年齢以上の方には「イオン・サプライ」という元祖・清涼飲料水のCMを思い出されるかもしれませんが、若い方たちには「サプリ（＝サプリメント）」のほうが耳慣れていると思います。いずれも、語源は-ply に関係します。

☑️記号のルール
1. 発音記号は使わずカタカナ表記をします。アクセントは太字で表します。
2.★マークは良く使われるカタカナ語、※マークはポイントです。

A. 「語源」で〈見出し語〉を覚える

◾️supply = sup（＝sub：下から）+ply（満たす）
→下から人の需要（要求）を満たす
（動）サプライ「供給する」「与える」
（名）サプライ「供給」⇔「需要・要求」はdemand（ディマンド）

※満たされるのは、あくまでも「人（の需要）」なので、supplyの目的語は「人」が来ます。「供給される物」はwith+物で表します。
→supply A（人）with B（もの）→A（人の需要）をB（もの）で満たす
→「AにBを供給する」
※なお、demand→de（強く）よこせと＋mand（命令する）＝「要求する」に対応するのがsupply（下からスッと満たす・差し出す感じ）なので、supplyは受動的・消極的な（くれ、と言われたからあげる）イメージです。
※一方、同じ「供給する」でも第6講で紹介したprovideは「pro（前もって）需要をvid（見て）あげる」なので、積極的・前がかりなイメージ。

▶語源<ply ②>＝「満たす」

※また、<-ply②：満たす>の変化形に<-ple>がありますが、これは「いっぱい」の-fulと同語源で発音も似ているので、「満たす」イメージはつかみやすいですね。
※あと、-ply,-ple語源の動詞は＜Aを「Bで」満たす＞という語法を取ることが多く、この場合の「～で」はwith「～を用いて」が使われる傾向が強いです。イディオムを覚える際にも語源からひも解くと納得し易いと思います。

B. 「接頭語」で〈同一語源の単語〉を覚える

①comply = com（完全に）法令・規則の要求を+ply（満たす）
＝（動）コンプライ「（法令・規則に）従う」→comply with~
★「コンプライアンス（法令順守：compliance）を重視する」はビジネスでは頻度が高いカタカナ語ですが、com（完全に）法令の要求を+pli（満たす）+ance（名詞化：こと）ですね。

②complete = com（完全に）+ple（満たす）+te（動詞化：する）
＝（動）コンプリート「～を完成する」
★「ゲームをコンプリートする」でおなじみ。

③ample  = am（=amb：まわりを=about）+ple（満たす）
→まわりを満たすような
＝（形）アンプル「十分な・豊富な」

④implement = im（=in：中を）+ple（満たす）+ment（名詞化：するもの＆動詞化：する）＝インプリメント
⑴（中を満たす＝「目的を達する」ようにするもの）
→（名）「手段・道具」
⑵（中を満たす＝「目的を達する」ようにする）
→（動）「実施する・実行する」→（名）はimplementation「実施・実行」
※接尾語-mentは「動詞を名詞化する」ことで知られていますが（例：achievement：達成）、これが更に発展して「別の動詞」を作ることがあります。（例：experiment：実験する）

C.「接尾語」で〈派生語〉を覚える

①supplement =sup（＝sub：下から）+ple（満たす）+ment（名詞化：するもの＆動詞化：する）※上記B⑤の解説参照。
→（栄養を）下から補って満たすようにするもの
＝⑴（名）サプリメント「栄養補助食品・サプリメント」「補足」
→下から補ってAをBで満たすようにする
＝⑵（動）サプリメント　supplement A with Bで「AをBで補足する・補う」

②supplementary ==sup（＝sub：下から）+ple（満たす）+ment（動詞化：する）+ary(形容詞化：ような）
→下から満たすような
＝（形）サプリメンタリィ「補足の」

③amplify  = am（=amb：まわりを=about）+pl（満たす）+ify（動詞化：ようにする）→十分・豊富にする
＝（動）アンプリファイ「増幅する」
★音楽をやっている方はご存じかもしれませんが「アンプ」は音を増幅する増幅器（amplifier：アンプリファイアー)の略語です。
→音量をample（十分な）+ify（動詞化：ようにする）+er（名詞化：もの）

▶️第13講では、8語の見出し語&関連語を確認しました。
▶️ただ「回す」のではなく、語源の意味を理解しながら繰り返し読めば、読んだ分だけ蓄積があります！