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3.『3点バースト速習』メソッドによる「英単語速習法」

こんにちは。
前稿では、多くの大学受験生・英語学習者に支持されている「高速回転法」の問題点を考察しました。

まとめると、「高速回転法」は、単語帳1周めにしっかりインプットする努力をした単語を2周め以降に維持する(記憶にとどめる)ための方法論としては有効な方法だが、かんじんの英単語帳を「1周めにインプットするための方法論」が欠けているというのが、筆者の見立てでした。

少なくとも「1周めに目が単語を上滑りしただけで行う2周め以降の高速回転」は、「1周めに丁寧なインプットを行った後に2周め以降に高速回転を行う場合」に比べて記憶の定着率が格段に劣るのが普通なのではないか、というのが私自身の英単語学習経験・英語指導経験に基づく推測です。

この点、いろいろなご意見・ご異論もあるかと思いますが、以下、本稿では「英単語帳を1周めにインプットするための方法論」としての『3点バースト速習法』の特長について、ご説明させて頂きたいと思います。

英単語を「3点バースト」で速習すると?

「3点バースト速習法」とは、
「(1)あるテーマの学習対象を3点にしぼりこみ
   (2)その3点の「相互関係」と「体系的位置付け」理解することで、
   (3)①記憶の早期定着、②応用力、③体系的思考力が得られる学習法」です。

これを英単語の速習に当てはめたのが、これまで30講にわたり投稿させて頂いた「大学受験英単語・速習編」(「語源で覚える英単語」に改題)なのですが、具体的にはどのように当てはまるのか、以下に見ていきます。

 ✅(1)学習対象を3点にしぼりこみ

「英単語を3点に絞り込む」という時の、まず考えうる絞り込み方として、毎回取り上げる単語数を「3個」に絞るというやり方があり得ました。もちろん、相互に関連がある同語源の単語という縛りをかけて選別するつもりでしたが、それでも「毎回3語」ではいかにも少なすぎる。2000語の大学受験必修語の語源解説をするのに、全667稿もの記事を書く必要が生じます。(余裕で2年近くかかってしまいます・笑)

書くこと自体は問題無いのですが、2年もかかってしまうとその年の受験を目指している方のお役に立てないという問題があります。

そこで、単語の語源が①接頭語・②語幹・③接尾語に分類できることに着目し、この3点を対象絞り込みの最初の視点としました。また通常、③接尾語というのは主として「派生語」を構成するものですから、①接頭語もしくは②語幹を構成する語源を「見出し語」として、その「見出し語」と「同一語源の関連語」を並べれば、少なくとも1講で7~8語以上の単語は扱えるだろう、という見込みが立ちました。これなら執筆を頑張れば、何とか年内(2024年内)に主要な部分の解説(1500語程度)が終わることになります。

こうして、A.見出し語・B.関連語・C.派生語という「3点絞り込み」構成ができ上がりました。

 ✅(2)3点の「相互関係」と「体系的位置付け」

なぜ「3点」にそこまでこだわるのか、と不思議に思われるかもしれません。それは、次の「相互関係」「体系性」にかかわります。

A. 相互関係
世の中にはすでに多くの優れた「英単語の語源解説書」やブログがあります。当ブログの執筆にあたっても、専門的な英語辞書、語源辞典の他に、そのような優れた解説書・ブログも参照させて頂くことがあります。

ただ1点、常々不満を抱いていたのが、どの解説も1つの語源を挙げて同一語源の英単語を紹介する際に、「同一語源である」という1視点を除くと、ただダラーっと関連語が羅列されていて相互の関連性が見つけにくい、という難点があることでした。語源には、せっかく①接頭語・②語幹・③接尾語という分類方法があるにもかかわらずです。これは非常にもったいないことだと感じます。

・同一語源の単語でも、接頭語が変わるとこのように意味が変わるのか
・同一語源の単語では、(多分に発音とつづりの制約によるのですが)同じ 接尾語が後に続くことでおおよそ同じ品詞の派生語が形成されるんだ

このような気づきは、「同一語源である」という視点のほかに、あと2点、新たな視点を加えることで生まれることが多いのではないかというのが筆者の仮説です。

そのような視点を2点加えると、「➀接頭語と➁語幹」というグループと、「➁語幹と③接尾語」というグループができ、各グループに含まれる単語の間に「相互関係」が生まれます。ここで「相互関係」とは、主に(1)共通点(2)相違点に着目した関係性を考えています。すなわち、

(1) 「同一語源」という「共通点」、と
(2) 「接頭語」もしくは「接尾語」が加わることで生じる語義の「相違点」

です。このような「共通点」と「相違点」に着目し、個々の単語の相互関係を考えながら単語の意味を記憶していく。これにより、「字面を追うだけ」ひたすら「書きまくり、音読しまくるだけ」の記憶法よりはるかに➀記憶の歩留まりが良くなります。また、➁その単語の意味を忘れた時にも思い出す手がかりを身につけ未修単語の意味を予測することさえ可能になりうるのです。

B.体系的位置付け(体系性)
次に「体系的位置付け」です。英単語に体系なんてあるの?というギモンにお答えする前に、そもそも「体系」とは何か

「個々の知識を一定の原理にしたがって相互に関連づけた全体像」

である、と定義しておきます。要するにその科目の「全体像」です。
そして、「英単語に体系なんてあるのか?」という質問に対しては、私は当然「あります!」と明言します。『3点バースト速習法』では、英単語の「個々の知識」を、品詞という英文法の「原理」にしたがって英文法の全体像と関連付けて考えるのです。

すなわち、英文法では英文の構成要素を「語」・「句」・「節」に分けたうえで、「句」・「節」の機能(働き)を

  名詞句/節  形容詞句/節  副詞句/節

3品詞機能に分けています。これに別格上位の「動詞」を加えた4品詞『3点バースト速習法』では英文法のコア品詞として理解しています。(というか、これこそがオーソドクスな学校英文法であると理解しています。)

英文法という体系が、動詞・名詞・形容詞・副詞という4品詞の機能を英文理解の中心に据えて組み立てられたものである以上、その最小単位であるはずの英単語(特に動詞・名詞・形容詞・副詞)が英文法という全体像(=体系)の中で説明されない方がおかしい。

それでは、品詞の識別をするのにどういう着眼点があるか。これは必ずしも自明ではありませんが、「接尾語」に着目することは英語のオーソドクスな教授法として長い伝統を持っています。今の学校教育の中で丁寧に説明されていないだけで。(「英文法」の『3点バースト速習法』は、別シリーズで扱います。

接尾語を同一語源と結び付けて、取り扱い単語の語数を増やす」というブログ運営上の都合を別にしても、接尾語に着目することで英文法体系のコア(中核部分)を構成する動詞・名詞・形容詞・副詞の4品詞と関連づけて、英単語を考え、覚えることができるようになるのです。

C.「考えさせる学習法?」
ところで、文部科学省や「意識高い系」の教師・教育評論家の方たちは、しばしば、

生徒たちに「覚えさせる」のではなく「考えさせよ」!

などとおっしゃいますが、「生徒に考えさせる方法論」を彼ら彼女らは一向にお示しにならない

しからば、『3点バースト速習法』がお示ししましょう、ということで、
「考えさせる」とは

学習対象(例:英単語)の「相互関係」と「体系的位置付け」を考えさせ、理解させることである

と定義させて頂いているわけです。

長文をお読みくださいまして、誠にありがとうございました!
                             (つづく)

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