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2022年の終わりとCDムーブメントの始まり

2022年もあと少しで終了します。さよなら2022、3LAのyoutube配信の中で今年いちばん聞いた音源って何?的な企画をやろうとしており、みなさまにアンケートをお願いしております。ぜひご参加ください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSd-thlH2cD9uQ-WR9BaBZ-Igu-kiUWFri718-RRv0jcX-1V5A/viewform


2016年に日本にSpotifyが上陸、「サブスク」なんて言葉はそれまでまだ一般的に使われてはいなかった。10年も経たない内に、大方の予想通りすべてのサービスはサブスク化していった。結果としてはストリーミング配信によって音楽業界は不景気を脱し、レコードムーブメントにより、アーティストも音楽家も潤った。サブスクは業界の救世主となったのだ。

ということにしたい勢力は未だに多いようだし、しかしいずれ歴史修正がされ、上に書いたようなことが「本当にそうであった」かのように語られる日は近いだろう。
ところで今年もサブスクに関する話題は多かった。たぶん2023年も人々はフィジカルがどうとかサブスクがどうとか言い続けるのかもしれない。
川本真琴さんが「サブスク地獄」で炎上したのだけれど、なんとなく川本真琴を聴き直してみたらとんでもなく良かった。1stアルバムは才能の塊だ。まぁサブスクで聴いたんだけど。ごめんなさい。でもアナログがあるなら欲しいかも。

↑バカ言ってすみませんでした。俺が川本真琴さんのCDを買うべきだった。

ストリーミングで音を聴く事自体はもはやどうでもいい。そこで発見があることも確かなんだけど、どうしても慣れず、ストリーミングメインで聴く事を諦めてそしてSpotifyの契約を解除してしまった。
別にフィジカルが最高だからとか、強く思ってたわけではないけどこの感覚に従うのは正しかった。なぜなら全く困っていないからだ。サブスクにないなら買えばいい。俺はあんな貧乏ツールに頼らず音楽に時間と金を使うべき、音楽の神へ仕える者だからだ。これは戦いなのだ。サブスクの悪魔との。

というのは嘘で、実際にはストリーミング云々とは違くて、スピーカーで音楽を聴く、ということを重要視するべきなのではと思ったのだ。
サブスクはなんとなくPCやiphoneで、音質の良くないスピーカーや、イヤホンで聴くということになる。サブスク用の音楽マスタリング自体も、イヤホンで聴く事を想定したマスタリングになっていることが多く、ソフトウェア側の設計もおそらくそのようになっているのではないかと思う。
たぶんそのシステムの設計にとって、自分のような人間は合ってはいないのだ。そういう大衆的なシステムにずっと慣れないまま生きていたではないか。ストリーミングに慣れないのも当たり前だったのかもしれない。

「CD」というフォーマットも、基本PCヘ取り込んでライブラリ化した後、盤で聞かない(=ストリーミングと同じ環境で聞く)のがメインとなっていたのを改め、CDプレイヤーをちゃんと買って、アンプを通してスピーカーで鳴らして聴く事にした。音の立ち方が全然違うので、やっぱり音楽聴いた時の気持ちの上がり方も違う。これは錯覚なのではなかった。

昔、レコード屋で物色しているときに店内で流れている音楽がかっこよくて、「これなんですか?」と店員に聞いて買う事が何度かあった。
あれはなんでそうなるんだろう、と思うと、やっぱり良い機材で鳴らしていたからなんじゃないかという説がある。本当かどうかは知らない。
実際には聴く側がオープンになっていることもあるんだと思う。
大量に流れてくるリリース情報を全身で浴びながら、そしてSNSで広告の洪水に溺れながら、果たしてどこまでオープンでいられるのか。

そんなレコード屋体験とは関係もなく、今年に入って自分の人生的にはずっとやりかったレコ屋の実店舗、というものを死ぬ前に後悔するよりは、不完全でも始めたほうが面白いだろうと思ったこともあり、始めてみた。
店はレコード中心に売れるかと思ったが、予想外にみんなCDも買っていくので、いまCD棚を新たに注文した。店舗内の配置や売り場側のスペースなんかも来年に向けてすこしずつカスタマイズしていこうと思っている。
前々からCDはいずれ再評価されるだろうと言い続けているが、それは思ったより早く訪れるのかもしれない。3LAのリリースしているCDを見てくれ。手を抜いた仕様のものはひとつもない。この数年、ペラペラの紙ジャケットや、ライブの記念品やおまけのようなCDを数多く見てきたが、20年先を見ていないんだ奴らは。

その昔BOSSっさんが「肉体後に現れる理解者を待てないんじゃ いつまでたってもお前は俺には勝てないな」とラップしていたのだが、まぁ真理はそんなところだとも思う。

しかしレコードが素晴らしいんじゃなくて、レコードでもCDでもフィジカルで物を買おうという心構えという心理的な問題と、合わせてその音楽体験の価値を高めるために時間を使えるという余裕も大事かもしれない。
どちらかというと、3LAで扱っているレコードやCDを出す人たちは、レコードやCDを昔から今も変わらず買っている人たちであり、社会から外れている同じ種類の人たちへ音楽を作って売っている。大衆はサブスクで聴く。彼らを気にする必要はなく、俺たちは俺たちのコミュニティで音楽を育てている、カルチャー的なものだと思う。
カルチャー的、というと偉そうだが、要するに一般社会的の規定路線から外れてしまった文化圏のことをなんとなくかっこよさそうに言っているだけかも。でも、その言い換えが必要なんだと思っている。

しょぼしょぼの音で作った音楽を、5th Wave emoです、みたいに言い切るように。

そういや、最近Skramzについて人に説明する機会が何度かあったんだけど、やっぱり反応はそんなよくなくて「それってダメじゃない?」という反応になることが多い。
根本にはSkramzって、他人に理解してもらおうという姿勢がないんだと思う。だから他人のその反応は仕方ないんだけど、でも伝わる人にはその空気感が伝わるというか。そういう暗号なんだと思う。
無理して社会に合わせてもしゃーない。
人は変われないんだから迷惑をかけない範囲で好きにやっていったほうがいい。





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3LA -LongLegsLongArms Records-
web: http://longlegslongarms.jp/
bandcamp: https://longlegslongarms.bandcamp.com/


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